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第3章 過去に刻まれた罪
次元の狭間で
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まず感じたのは、急激な眩暈と吐き気。
そして、甲高い耳鳴りだった。
今さらどうこう言うことではないが、やはり次元移動に伴うこの感覚には慣れそうもない。
その次に、間を置かずに浮遊感が襲った。
固く踏んでいたはずの地面の感触が一瞬で消え、体が浮き上がる感覚と共に意識までもがさらわれそうになる。
ここが一番の山場だ。
ここで意識を手放してしまおうものなら、永遠にこの次元の狭間から出られなくなる。
運よくどこかに出られたとしても、行き着いた先が目的地や出発地点である可能性は限りなく低い。
まあ、地球とアズバドル以外に移動したことがない自分としては、それ以外の世界がどんなところなのか、その存在すらも定かではない。
だからといって、次元の狭間を冒険する気には到底なれないけど。
過去に異世界を夢見て次元の狭間へと旅立ち、帰ってこなくなった人間は数えきれないくらいいるそうだ。
辿り着いた先から戻ってこられなくなったのかもしれないし、次元の狭間に囚われてしまったのかもしれない。
そう考えると、地球に初めて辿り着き、なおかつちゃんとアズバドルへ戻ってくることができた人は、かなりの強運の持ち主だったと言えるだろう。
そして、両世界間の間に確実な道を作っていった先人たちも、相当な技量を持っていたものと推測できる。
移動を繰り返すことで道が強固に繋がった後は、比較的簡単に両世界間を移動できるようになった。
それでも、魔力に乏しい者や精神力が弱い者は、次元の狭間に突入するショックで意識を持っていかれ、やはり戻ってこられないのだという。
比較的簡単とは言うものの、次元移動が一部の限られた人間にしかできない高等技術であることには変わりなかった。
……とまあ、そういう話も、常識をひっくり返す技術が普通に存在する世界でしか通用しないわけで。
次元を渡る術を持たない地球の人間にとっては、次元移動はおろか異世界すらも架空の存在。
技術がないから、その存在を証明できない。
故に、故意的な次元移動は常にアズバドルから地球への一方通行である。
アズバドルの人間が地球へ行くことはあっても、その逆はほとんどありえない。
稀にそういうことがあったとしても、例えば次元移動の場に偶然居合わせてしまって巻き込まれたという事故か、悪意ある者による人為的な誘拐か。
多くは、その二つのどちからに当てはまるだろう。
「……狭間に来たか。」
実は、ぽつりと呟いた。
本来ならここであるべき道を辿り、自分が強く思い浮かべる場所に出口を繋ぐ。
しかし、今回は出口が分からないので、ここで待機だ。
周囲にはただ漆黒の闇が広がっていて、何もなかった。
「………」
実は目を伏せた。
この何もない空間にいると、どうしても複雑な気持ちになってしまう。
拓也たちも一緒に巻き込んだので、きっと自分の近くにいると思う。
というか、自分から離れないように自分の魔法領域に取り込んであるから、近くにいないわけがない。
それなのに、近くにいるはずの二人の気配が全く感じられない。
何人で移動しようとも、この狭間の中では誰だって独りだ。
何もない空間に、自分だけがただ独り放り出されてしまったかのような感覚。
ずっとここにいたら、大抵の人は狂ってしまうのかもしれない。
実は黙したまた、自分の胸にそっと手を当てた。
ほとんどの人はこの空間を嫌うのだろうが、自分はどうだろう。
狂う予兆もなければ、その前触れとなりえる不安や恐怖も感じていない。
穏やかで静かな鼓動が、それを物語っていた。
昔は人を信じることを放棄していたのだ。
もしかしたら、潜在的に独りというものに慣れている自分がいるのかもしれない。
そんな自分の心に複雑になりつつも、実は顔を上げた。
「ほら、お望みどおり来てやったよ。これで満足か?」
上も下も、右も左も分からない空間の向こうに、不機嫌全開で言ってやる。
あいつのことだ。
こちらの移動を感じ取って、呼ばれるのを笑いながら待っているに違いない。
自分の声が消えたかと思うと、急にどこからか引っ張られる感覚がした。
目を閉じて、その力に抗わないようにする。
目に見えない力は、迷うことなく自分をどこかへと導いていた。
彼は、素直に自分を桜理の元へと連れていくつもりなのだろうか。
少し意外に思うと同時に、新たな疑問が頭をかすめる。
彼の目的は何なのだろう。
自分が桜理と再会を果たすことが、彼にとってメリットになるとも思えないのに。
一体、彼は何を企んでいるというのか。
その疑問に思考を巡らせようとしたが、中断せざるを得なかった。
どこかに放り投げられる感覚がしたかと思うと、浮遊感が落下感に変わったからだ。
そして、甲高い耳鳴りだった。
今さらどうこう言うことではないが、やはり次元移動に伴うこの感覚には慣れそうもない。
その次に、間を置かずに浮遊感が襲った。
固く踏んでいたはずの地面の感触が一瞬で消え、体が浮き上がる感覚と共に意識までもがさらわれそうになる。
ここが一番の山場だ。
ここで意識を手放してしまおうものなら、永遠にこの次元の狭間から出られなくなる。
運よくどこかに出られたとしても、行き着いた先が目的地や出発地点である可能性は限りなく低い。
まあ、地球とアズバドル以外に移動したことがない自分としては、それ以外の世界がどんなところなのか、その存在すらも定かではない。
だからといって、次元の狭間を冒険する気には到底なれないけど。
過去に異世界を夢見て次元の狭間へと旅立ち、帰ってこなくなった人間は数えきれないくらいいるそうだ。
辿り着いた先から戻ってこられなくなったのかもしれないし、次元の狭間に囚われてしまったのかもしれない。
そう考えると、地球に初めて辿り着き、なおかつちゃんとアズバドルへ戻ってくることができた人は、かなりの強運の持ち主だったと言えるだろう。
そして、両世界間の間に確実な道を作っていった先人たちも、相当な技量を持っていたものと推測できる。
移動を繰り返すことで道が強固に繋がった後は、比較的簡単に両世界間を移動できるようになった。
それでも、魔力に乏しい者や精神力が弱い者は、次元の狭間に突入するショックで意識を持っていかれ、やはり戻ってこられないのだという。
比較的簡単とは言うものの、次元移動が一部の限られた人間にしかできない高等技術であることには変わりなかった。
……とまあ、そういう話も、常識をひっくり返す技術が普通に存在する世界でしか通用しないわけで。
次元を渡る術を持たない地球の人間にとっては、次元移動はおろか異世界すらも架空の存在。
技術がないから、その存在を証明できない。
故に、故意的な次元移動は常にアズバドルから地球への一方通行である。
アズバドルの人間が地球へ行くことはあっても、その逆はほとんどありえない。
稀にそういうことがあったとしても、例えば次元移動の場に偶然居合わせてしまって巻き込まれたという事故か、悪意ある者による人為的な誘拐か。
多くは、その二つのどちからに当てはまるだろう。
「……狭間に来たか。」
実は、ぽつりと呟いた。
本来ならここであるべき道を辿り、自分が強く思い浮かべる場所に出口を繋ぐ。
しかし、今回は出口が分からないので、ここで待機だ。
周囲にはただ漆黒の闇が広がっていて、何もなかった。
「………」
実は目を伏せた。
この何もない空間にいると、どうしても複雑な気持ちになってしまう。
拓也たちも一緒に巻き込んだので、きっと自分の近くにいると思う。
というか、自分から離れないように自分の魔法領域に取り込んであるから、近くにいないわけがない。
それなのに、近くにいるはずの二人の気配が全く感じられない。
何人で移動しようとも、この狭間の中では誰だって独りだ。
何もない空間に、自分だけがただ独り放り出されてしまったかのような感覚。
ずっとここにいたら、大抵の人は狂ってしまうのかもしれない。
実は黙したまた、自分の胸にそっと手を当てた。
ほとんどの人はこの空間を嫌うのだろうが、自分はどうだろう。
狂う予兆もなければ、その前触れとなりえる不安や恐怖も感じていない。
穏やかで静かな鼓動が、それを物語っていた。
昔は人を信じることを放棄していたのだ。
もしかしたら、潜在的に独りというものに慣れている自分がいるのかもしれない。
そんな自分の心に複雑になりつつも、実は顔を上げた。
「ほら、お望みどおり来てやったよ。これで満足か?」
上も下も、右も左も分からない空間の向こうに、不機嫌全開で言ってやる。
あいつのことだ。
こちらの移動を感じ取って、呼ばれるのを笑いながら待っているに違いない。
自分の声が消えたかと思うと、急にどこからか引っ張られる感覚がした。
目を閉じて、その力に抗わないようにする。
目に見えない力は、迷うことなく自分をどこかへと導いていた。
彼は、素直に自分を桜理の元へと連れていくつもりなのだろうか。
少し意外に思うと同時に、新たな疑問が頭をかすめる。
彼の目的は何なのだろう。
自分が桜理と再会を果たすことが、彼にとってメリットになるとも思えないのに。
一体、彼は何を企んでいるというのか。
その疑問に思考を巡らせようとしたが、中断せざるを得なかった。
どこかに放り投げられる感覚がしたかと思うと、浮遊感が落下感に変わったからだ。
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