世界の十字路

時雨青葉

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第3章 始めの一歩

痛みの記憶

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 何かがしなるような音が聞こえて、肩に衝撃と激痛が走った。


 一瞬頭が真っ白になって、自分の体が床に倒れる。
 間髪入れずに、背中に大きな足が乗ってきた。


(ああ、まただ……)


 もう慣れたことだから、抵抗しない。
 次々と繰り出される暴力に、身を折って唇を噛み締めながら耐えた。


 泣いたらだめだ。
 泣けば、余計に痛い目に遭ってしまう。
 だから、目を閉じてじっと我慢した。


 この暴力に、意味はないと思う。


 自分が何もせずに部屋のすみで大人しくしていたとしても、暴力はいつだって唐突にやってくる。


「いい子になったな、お前も。」


 暴力とは正反対の優しい声が、満足そうに言った。


「そうだ。お前はいつもそうやって、オレに逆らわずに大人しくしていればいいんだ。」


 思う存分殴った後に、その手はいつも優しく自分の頭をなでた。


 仕草だけが優しいその手に、決して感情が込もっていないことは分かっていた。
 それでも、仕方なかった。


 だって、自分はこの人に逆らえないから。
 逆らっちゃいけないから。
 だから耐えるしかない。


 これまでも。
 そしてこの先も。


 きっと、ずっと―――

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