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第2章 無限の力
尽きぬ後悔
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引き絞ったかのような、悲痛な声。
それを聞いた拓也と尚希の視線が、桜理に集中する。
桜理はユエの頭に顔をうずめたまま、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「ちょっと会っただけだけど……あの人、無駄な隙がないの。私が実の弱点になることも知ってたし、実を捕まえるために特注の薬まで用意してた。」
「それだけ、実のことを調べてたってことか。」
「いいえ。」
尚希の言葉を、桜理はきっぱりと否定する。
「あの人が私をさらったのは、私に引き寄せられるものを手に入れるためだったの。だから、実個人じゃなくて、〝鍵〟の力を持つ人を引き寄せたかったってことなんだと思う。実個人を罠にはめたかったのなら、実が〝鍵〟じゃない可能性も考えてたと思うけど、あの人にはあまりにも迷いがなかったわ。最初から〝鍵〟が目的なら、きっと……簡単には逃げられない。あの人は、それだけのことをしてると思う。」
あの男性の迷いのない言動。
実を追い詰めるまでの手際のよさ。
実が怯む一瞬を確実に突いた動き。
あの男性はきっと、実が本当に〝鍵〟なのかとは疑わない。
だからこそ、それ相応の環境を用意しているはず。
「その証拠に……実が、少し弱ってるの。」
「!?」
刹那の間に顔色を変えた拓也と尚希が、同時にソファーから腰を浮かす。
「大丈夫。無事だから。」
二人をなだめるように、桜理は間髪入れずにそう告げる。
「実が死んだら、私も死んじゃうもの。私が生きてるんだから、実も死んではいないわ。それに〝鍵〟の力が欲しいあの人に、実を殺す気はないと思う。……最悪、使い古して死んでしまうのは仕方ないと思ってるかもしれないけど。」
そこまで言って、桜理は唇を噛み締めた。
今しがた述べた自分の推測が、容赦なく自分の心を抉ってくる。
実は、自身の影響で誰かが利用されることを恐れていた。
自分は実自身の口からそれを聞いていて、彼がどれだけ苦悩していたかを知っていた。
知っていたはずなのに、その自分が利用されることになってしまった。
本当なら、実の話を受けて神殿の警護を厳しくさせたのと同じく、自分の認識も厳しく正さなければいけなかった。
それなのに〝いつものことだから…〟と、今までどおりの対応をしてしまうなんて。
「私、なんてことを……」
もう、言葉が続かない。
微かに震える桜理に言える言葉がなく、誰もが口を閉ざす。
息もつまりそうな沈黙の中で、おもむろに立ち上がったのは尚希だった。
そのまま、彼は無言で部屋を出ていこうとする。
「おい、待てって。どこ行くんだよ。」
反射的に、拓也はその後ろ姿を引き止めた。
「ちょっと、確認してきたいことがある。」
尚希の声は、あくまでも冷静だった。
振り向いてきたオレンジ色の目を見て、尚希が実を心配するあまり暴走しそうになっているわけではないのだと知る。
「確認してきたいことって? どこに行くんだ?」
「そんな遠くはないよ。ただ、少し時間がかかるかもしれないけどな。ちゃんと戻ってくるから、拓也はこっちを頼むよ。」
落ち込んでいる桜理と不安げなユエを頼むと、尚希の態度が語っていた。
確かに、こんな二人を放置というわけにもいくまい。
それは分かっているのだが、尚希の行動も気になるわけで。
「え……え…?」
板挟みで動けない拓也をよそに、尚希は颯爽と部屋を出ていってしまった。
それを聞いた拓也と尚希の視線が、桜理に集中する。
桜理はユエの頭に顔をうずめたまま、途切れ途切れに言葉を紡いだ。
「ちょっと会っただけだけど……あの人、無駄な隙がないの。私が実の弱点になることも知ってたし、実を捕まえるために特注の薬まで用意してた。」
「それだけ、実のことを調べてたってことか。」
「いいえ。」
尚希の言葉を、桜理はきっぱりと否定する。
「あの人が私をさらったのは、私に引き寄せられるものを手に入れるためだったの。だから、実個人じゃなくて、〝鍵〟の力を持つ人を引き寄せたかったってことなんだと思う。実個人を罠にはめたかったのなら、実が〝鍵〟じゃない可能性も考えてたと思うけど、あの人にはあまりにも迷いがなかったわ。最初から〝鍵〟が目的なら、きっと……簡単には逃げられない。あの人は、それだけのことをしてると思う。」
あの男性の迷いのない言動。
実を追い詰めるまでの手際のよさ。
実が怯む一瞬を確実に突いた動き。
あの男性はきっと、実が本当に〝鍵〟なのかとは疑わない。
だからこそ、それ相応の環境を用意しているはず。
「その証拠に……実が、少し弱ってるの。」
「!?」
刹那の間に顔色を変えた拓也と尚希が、同時にソファーから腰を浮かす。
「大丈夫。無事だから。」
二人をなだめるように、桜理は間髪入れずにそう告げる。
「実が死んだら、私も死んじゃうもの。私が生きてるんだから、実も死んではいないわ。それに〝鍵〟の力が欲しいあの人に、実を殺す気はないと思う。……最悪、使い古して死んでしまうのは仕方ないと思ってるかもしれないけど。」
そこまで言って、桜理は唇を噛み締めた。
今しがた述べた自分の推測が、容赦なく自分の心を抉ってくる。
実は、自身の影響で誰かが利用されることを恐れていた。
自分は実自身の口からそれを聞いていて、彼がどれだけ苦悩していたかを知っていた。
知っていたはずなのに、その自分が利用されることになってしまった。
本当なら、実の話を受けて神殿の警護を厳しくさせたのと同じく、自分の認識も厳しく正さなければいけなかった。
それなのに〝いつものことだから…〟と、今までどおりの対応をしてしまうなんて。
「私、なんてことを……」
もう、言葉が続かない。
微かに震える桜理に言える言葉がなく、誰もが口を閉ざす。
息もつまりそうな沈黙の中で、おもむろに立ち上がったのは尚希だった。
そのまま、彼は無言で部屋を出ていこうとする。
「おい、待てって。どこ行くんだよ。」
反射的に、拓也はその後ろ姿を引き止めた。
「ちょっと、確認してきたいことがある。」
尚希の声は、あくまでも冷静だった。
振り向いてきたオレンジ色の目を見て、尚希が実を心配するあまり暴走しそうになっているわけではないのだと知る。
「確認してきたいことって? どこに行くんだ?」
「そんな遠くはないよ。ただ、少し時間がかかるかもしれないけどな。ちゃんと戻ってくるから、拓也はこっちを頼むよ。」
落ち込んでいる桜理と不安げなユエを頼むと、尚希の態度が語っていた。
確かに、こんな二人を放置というわけにもいくまい。
それは分かっているのだが、尚希の行動も気になるわけで。
「え……え…?」
板挟みで動けない拓也をよそに、尚希は颯爽と部屋を出ていってしまった。
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