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167,ネコミミブーム到来の予感
しおりを挟むリースト流第四の技、双牙。猛虎をイメージしたこの技は、内臓に多大なダメージを与える。踏み込む瞬間、全体重を拳に乗せ、二つの拳を同時に腹に叩き込む。喰らえば体内に衝撃が走り、内臓を痛めつける。
其の牙は全てを切り裂き、貫く絶対最強の矛なり――
「か……はっ!」
俺が放った二つの拳は、タイミングを外すことなく真芯に入った。腹筋という壁も、難なく乗り越え、衝撃波が男の内臓を揺らした。
「ぐっ……」
俺の双牙を受けた事により、男は膝をつく。だが――
「ぐ、うぐぐ……」
「倒れねぇのか……アンタも大概化物だな……」
この前の後藤といい、なんで俺の周りには、体力バカばっかりなのかねぇ……
「……ははっ、世界は……広いなぁ……」
そう言って男は膝立ちの状態で気絶した。
「……っし!」
俺は男が完全に気絶したのを確認し、勝利の歓声を上げた。
「す、凄いよネリアくん! 大金星だよ!」
結界を解いた梨沙が俺のもとに走ってくる。
「おつかれ梨沙」
まだクロスユニゾンしたままなので、ネコミミがついたままの状態の梨沙は俺に抱きついてきた。
「ちょっ!」
「これは私とネリアくんへのご褒美! 一石二鳥でしょ? それとも嫌?」
ぴこぴことネコミミを動かしながら、ちらっと上目遣いで見てくる梨沙。
「べ、別に嫌じゃないけど……」
いかん、俺の中でネコミミブームが巻き起こりつつあるぞ。だってネコミミ梨沙すっげぇ可愛いんだもん。ネコミミの魔力って凄いわ。
「まあ、今はこれぐらいにしておこうか。ほら、犯人が気がついたら困るし」
「だ、だな……」
と若干後ろ髪を引かれる思い出はあるが……いや、とてつもなく後ろ髪を引かれるが、致し方ない。魅惑のネコミミから離れようではないか。
「さて、リーちゃん、人質になっていた人たちに怪我とかは?」
「大丈夫です。誰も怪我はしていないようです」
「それは良かった」
そして、梨沙はクロスユニゾンを解き、椅子の上に置いていたカバンからスマホを取り出す。
「まずは本部、自衛隊に連絡して、この男たちをなんとかしてもらいましょ。で、そのあとは、もみ消し工作しないと」
梨沙は手慣れた手つきでスマホを操作し、どこかに電話をかける。
「あ、もしもし、お父さん? いや、その、出先でトラブルにあって、銀行強盗グループを確保したんだけどね、魔法で対処したからその……もみ消すから、魔法を知ってる人、数人よこしてもらえる?」
……お父さん? あの眼光が鋭いおっかないおじさん?
「……銀行強盗!? 一人で対処したのか!? 怪我は!? 無茶してないか!?」
スマホから物凄い大声が流れてきた。もう本当に耳が痛いぐらい大きな音。
「だ、大丈夫だって、ほら、あの異世界からの留学生君と一緒にやったから」
「そういう問題ではない! 折角戦闘とかからは無縁な役職にしたのに!」
必死そうな声が聞こえてくる。ってあれ? 本当にあの眼光が鋭い、おっかない人なの?
「もー、そのことはまた後でね。じゃ、よろしく」
「待て! 話はまだ終わってな」
えいっ! と通話終了を押す梨沙。
「……いいお父さんじゃないか」
てっきりもっと冷たいのかと思ってたぜ。
「はー!? どこがいいの!? 私の意見なんてだいたい無視するのに! 目つき悪いし! 体ごついし!」
……最後の二つは許してあげてよ……。
「ま、まあ、とにかく、間違いなく梨沙のことを思ってはいるみたいだからさ」
「むー……納得行かない。ま、それはまたあとで」
梨沙は追加で電話をかける。
「もしもしー? あ、一つ仕事頼みたいんだけど」
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