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21,マギ
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「……ソアから聞いたんだね?」
「はい」
長老はやれやれと肩をすくめながら、椅子に座った。
「いいよ、教えよう」
「やった!」
「――だけど、君がどこまで修行についてこれるか僕にはわからない。だから加減ができずに『殺して』しまうかもしれない、それでもいいかい?」
「ッ――!?」
ゾッとした。
殺す? 修行で死ぬことなんてあるのか?
俺は、はい、と言うのを躊躇した。でも――
「はい、望むところです」
俺の覚悟はそんなことでは揺るがない。ソアさんは俺の可能性を肯定してくれたんだ。ソアさんの思いに答えたい!
「……わかった。君の覚悟、確かに受け取った。じゃあ、君の先生になる、孫娘でも呼ぼうか」
「孫娘?」
「うん、大体今年で百歳ぐらいかな?」
「……さいですか」
期待しないほうが良いかな、なんて考えていたら――
「セリアー、来てくれー」
「はーい」
ポンッ、と音がして長老の横に金髪の女の子が出てきた。
「どうも、はじめましてー! セリア・クレルでーす、よろしくお願いしますー」
……なんともまあ超絶美少女だった。フェイウにも負けず劣らない。
「き、君、百歳なんだよね?」
「あー、正確には百六歳だねー」
にこやかに答えてくれるセリアさん。
「……長老、この娘にも若返りの秘術を?」
こっそり長老に耳打ちし、聞いてみた。
「いいや、エルフの平均寿命は大体二千年、僕も若返りの秘術なんか使ってないよ? というよりそんなものはない」
「え? 無いんですか? それならどうしてソアさんは若いんですか?」
あの幼女、じゃない老幼女はどうして若いんだ?
「僕、つまりエルフの血を飲んだからだよ」
「エルフの血?」
「そうよ、私達エルフの血は若返りの効果があるのよー。ま、あの娘は特に強く効果が出たみたいだけど」
「へぇ~、そうなんですか」
そいつは凄い。
「じゃ、僕はキャバクラ、じゃなかった、友達の家に行って来るから後は若い二人でごゆっくりー」
長老は友達の家、もといキャバクラに行ってしまった。その姿で行くんですか? かなり危ない香りがするんですけど……
「もー。おじいちゃんたらー」
はぁ、とため息をこぼすセリア。
「じゃあ、マギの基本から始めよっか。君――あ、名前聞いてなかった!」
てへ、とセリアは自分の頭を小突いた。可愛い。
「俺はネリア・ハラベストです」
もうこの話が始まってから幾度となく繰り返してきた自己紹介を済ます。
「おー、私と名前が似てるね。ネリアとセリア」
「そうですね、そっくり」
一文字しか変わらないね。
「それと、私に敬語は使わなくていいよー」
「あ、うん、わかった」
なんか凄いフレンドリーな娘だな。でも、このほうが俺的にはありがたい。敬語って苦手。
「で、もう本題に入っちゃうけど、ネリアはどこまでマギについて知ってる?」
セリアは椅子に座り、腕を組んだ。
「うーん、俺が知っているのは、マギは魔法より凄いってことぐらいかな。ソアさんが、後は自分で確かめろって言って、教えてくれなかった」
「おーけー、つまり何にも知らないんだね?」
「その通り」
知識ゼロです。ゼロでごめんなさい!
「マギっていうのはね、魔力を形作る技術の総称。魔法の技術、通称『魔技』。魔法とあんまり手順は変わらないけれど、魔力消費効率は段違い。例えば魔力が100必要な物を作ろうとする。マナだったら20、つまり五分の一の消費で済むの」
「うぉー、すげぇな!」
超便利じゃん!
「詳しく説明すると、ネリアの使う魔法は、火、水、草、土、雷、光、闇の七属性のアークから成り立ってるの。だからネリアが使う魔法は水魔法、つまり、水のアークだね。ここまでわかった?」
「あー、うん。この話は、前にサイフォスさんから聞いた」
一応魔術の基本だからね。
「ならおーけー。で、このマギは、その概念に無い属性を作るのが得意なの。例えばネリア、水魔法の派生系、氷の生成ってできる?」
「氷か……」
出来ないことはない。ただ、手間がかかるのだ。まず、水を生成。その水に冷却の魔法を当て、凍らせる。で、当てるときに、中心から当てなければいけないので、めっちゃ難しい。その間、魔力を放出しっ放しだから、消耗が半端ない。まあ、大体二十分ぐらい必要だろうか。つーか冷却の魔法を覚えてないから俺には無理。
「サイフォスさん――俺の魔術の師匠なら、簡単に生成できると思うけど、俺にはちょっと……」
そう言うと、セリアはニヤッと笑った。
「ふっふっふっ、その手順の多さ故に難しい氷生成。でもね、マギは違う。マギでは氷そのものの生成から始めるから、シンプルで消耗が少ない! 説明すると、ネリアは多分、水を生成するところから始めるよね?」
「そうだな。これは基本なんじゃないのか?」
「まあ、魔法では基本だね。でも、マギは違う。マギでは、水は生成しないの。氷そのものを頭でイメージして、その性質を魔力に与えるだけ。氷の性質は、冷たい、固い、溶ける、透明……とかね」
「う、ううん? 少しわからなくなってきたぞ?」
きっと今、俺の頭の上には、クエスチョンマークが浮いていることだろう。
「ざっくり言ってしまうと、魔力という粘土をこねくり回しいて、自分の好きな形にするの。おーけー?」
「おー、まあ、わかったような、わからないような……」
「まあ、そんなものだって思ってくれていればいいよ」
「そ、そうか」
次行くね次とセリアは話を進める。
「でもその代わり、習得したてだと、ものを形作る時間がものすごーくかかるの」
「ほー」
「あと習得が大変なの。才能が無いと、魔力に性質の付与が出来ないの」
「…………うげっ」
才能。俺の一番嫌いなやつじゃねーか。
「俺、才能なしのレッテルを貼られてるんだが」
素直に俺の才能のことを話す。
「……本当?」
「本当です」
隠していたって、習得できるわけじゃないしね。こういうのは、正直なのが一番!
「うーん……とりあえず、感覚派じゃなさそうだから、しっかりと理屈と論理で習得まで導いてみるよ」
「お願いします」
こうして、俺とセリア先生とのマギ習得の戦いが始まったのであった!
「とりあえずまあ、夜も遅いし、寝ようか?」
熱くなった俺とは対象的に、気の抜けた声を出したセリア。
「んー? ああ、確かに」
そういえば気が付かなかったが、今は深夜だ。この集落に来たときで九時ぐらいだったから、もう十二時を過ぎているんじゃないか?
「ふわぁ~、もう眠くなっちゃった。その他もろもろの話は明日ねー。あ、お布団用意してなかったね。それ」
シュッとセリアが指を一振り。すると、なんということでしょう! 虚空から布団が!
「これがマギね~、ねむ……じゃ、おやすみー」
「お、おう、おやすみ」
俺が言い終わった瞬間、セリアはドロンと消えてしまった。
「……マギ凄え」
温かい布団の中で俺はマギへの憧れを抱いた。
「はい」
長老はやれやれと肩をすくめながら、椅子に座った。
「いいよ、教えよう」
「やった!」
「――だけど、君がどこまで修行についてこれるか僕にはわからない。だから加減ができずに『殺して』しまうかもしれない、それでもいいかい?」
「ッ――!?」
ゾッとした。
殺す? 修行で死ぬことなんてあるのか?
俺は、はい、と言うのを躊躇した。でも――
「はい、望むところです」
俺の覚悟はそんなことでは揺るがない。ソアさんは俺の可能性を肯定してくれたんだ。ソアさんの思いに答えたい!
「……わかった。君の覚悟、確かに受け取った。じゃあ、君の先生になる、孫娘でも呼ぼうか」
「孫娘?」
「うん、大体今年で百歳ぐらいかな?」
「……さいですか」
期待しないほうが良いかな、なんて考えていたら――
「セリアー、来てくれー」
「はーい」
ポンッ、と音がして長老の横に金髪の女の子が出てきた。
「どうも、はじめましてー! セリア・クレルでーす、よろしくお願いしますー」
……なんともまあ超絶美少女だった。フェイウにも負けず劣らない。
「き、君、百歳なんだよね?」
「あー、正確には百六歳だねー」
にこやかに答えてくれるセリアさん。
「……長老、この娘にも若返りの秘術を?」
こっそり長老に耳打ちし、聞いてみた。
「いいや、エルフの平均寿命は大体二千年、僕も若返りの秘術なんか使ってないよ? というよりそんなものはない」
「え? 無いんですか? それならどうしてソアさんは若いんですか?」
あの幼女、じゃない老幼女はどうして若いんだ?
「僕、つまりエルフの血を飲んだからだよ」
「エルフの血?」
「そうよ、私達エルフの血は若返りの効果があるのよー。ま、あの娘は特に強く効果が出たみたいだけど」
「へぇ~、そうなんですか」
そいつは凄い。
「じゃ、僕はキャバクラ、じゃなかった、友達の家に行って来るから後は若い二人でごゆっくりー」
長老は友達の家、もといキャバクラに行ってしまった。その姿で行くんですか? かなり危ない香りがするんですけど……
「もー。おじいちゃんたらー」
はぁ、とため息をこぼすセリア。
「じゃあ、マギの基本から始めよっか。君――あ、名前聞いてなかった!」
てへ、とセリアは自分の頭を小突いた。可愛い。
「俺はネリア・ハラベストです」
もうこの話が始まってから幾度となく繰り返してきた自己紹介を済ます。
「おー、私と名前が似てるね。ネリアとセリア」
「そうですね、そっくり」
一文字しか変わらないね。
「それと、私に敬語は使わなくていいよー」
「あ、うん、わかった」
なんか凄いフレンドリーな娘だな。でも、このほうが俺的にはありがたい。敬語って苦手。
「で、もう本題に入っちゃうけど、ネリアはどこまでマギについて知ってる?」
セリアは椅子に座り、腕を組んだ。
「うーん、俺が知っているのは、マギは魔法より凄いってことぐらいかな。ソアさんが、後は自分で確かめろって言って、教えてくれなかった」
「おーけー、つまり何にも知らないんだね?」
「その通り」
知識ゼロです。ゼロでごめんなさい!
「マギっていうのはね、魔力を形作る技術の総称。魔法の技術、通称『魔技』。魔法とあんまり手順は変わらないけれど、魔力消費効率は段違い。例えば魔力が100必要な物を作ろうとする。マナだったら20、つまり五分の一の消費で済むの」
「うぉー、すげぇな!」
超便利じゃん!
「詳しく説明すると、ネリアの使う魔法は、火、水、草、土、雷、光、闇の七属性のアークから成り立ってるの。だからネリアが使う魔法は水魔法、つまり、水のアークだね。ここまでわかった?」
「あー、うん。この話は、前にサイフォスさんから聞いた」
一応魔術の基本だからね。
「ならおーけー。で、このマギは、その概念に無い属性を作るのが得意なの。例えばネリア、水魔法の派生系、氷の生成ってできる?」
「氷か……」
出来ないことはない。ただ、手間がかかるのだ。まず、水を生成。その水に冷却の魔法を当て、凍らせる。で、当てるときに、中心から当てなければいけないので、めっちゃ難しい。その間、魔力を放出しっ放しだから、消耗が半端ない。まあ、大体二十分ぐらい必要だろうか。つーか冷却の魔法を覚えてないから俺には無理。
「サイフォスさん――俺の魔術の師匠なら、簡単に生成できると思うけど、俺にはちょっと……」
そう言うと、セリアはニヤッと笑った。
「ふっふっふっ、その手順の多さ故に難しい氷生成。でもね、マギは違う。マギでは氷そのものの生成から始めるから、シンプルで消耗が少ない! 説明すると、ネリアは多分、水を生成するところから始めるよね?」
「そうだな。これは基本なんじゃないのか?」
「まあ、魔法では基本だね。でも、マギは違う。マギでは、水は生成しないの。氷そのものを頭でイメージして、その性質を魔力に与えるだけ。氷の性質は、冷たい、固い、溶ける、透明……とかね」
「う、ううん? 少しわからなくなってきたぞ?」
きっと今、俺の頭の上には、クエスチョンマークが浮いていることだろう。
「ざっくり言ってしまうと、魔力という粘土をこねくり回しいて、自分の好きな形にするの。おーけー?」
「おー、まあ、わかったような、わからないような……」
「まあ、そんなものだって思ってくれていればいいよ」
「そ、そうか」
次行くね次とセリアは話を進める。
「でもその代わり、習得したてだと、ものを形作る時間がものすごーくかかるの」
「ほー」
「あと習得が大変なの。才能が無いと、魔力に性質の付与が出来ないの」
「…………うげっ」
才能。俺の一番嫌いなやつじゃねーか。
「俺、才能なしのレッテルを貼られてるんだが」
素直に俺の才能のことを話す。
「……本当?」
「本当です」
隠していたって、習得できるわけじゃないしね。こういうのは、正直なのが一番!
「うーん……とりあえず、感覚派じゃなさそうだから、しっかりと理屈と論理で習得まで導いてみるよ」
「お願いします」
こうして、俺とセリア先生とのマギ習得の戦いが始まったのであった!
「とりあえずまあ、夜も遅いし、寝ようか?」
熱くなった俺とは対象的に、気の抜けた声を出したセリア。
「んー? ああ、確かに」
そういえば気が付かなかったが、今は深夜だ。この集落に来たときで九時ぐらいだったから、もう十二時を過ぎているんじゃないか?
「ふわぁ~、もう眠くなっちゃった。その他もろもろの話は明日ねー。あ、お布団用意してなかったね。それ」
シュッとセリアが指を一振り。すると、なんということでしょう! 虚空から布団が!
「これがマギね~、ねむ……じゃ、おやすみー」
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