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32,新たな力

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 詠唱が終わると同時に、炎が俺とヴィーオを包み込んだ。
「うおっ!」
 熱いかと思ったが、全然熱くなかった。いや、暖かいと言うべきか。そして、炎が左腕の肘から先に集まってきた。
「炎の腕……?」
 そして、ヴィーオも炎に包み込まれた。
「なんだか、力が湧いてくるぜっ!」
 ヴィーオの刀身が伸びていく。そして大剣ぐらいの大きさになった。フォルムも大きく変わっている。
「すげぇー!」
 そして俺の左腕に集まった炎は籠手を形作った。
「セリア、これは?」
 俺は左手をぐっぱぐっぱしながら聞く。
 そもそも迦具土って何? 
「あー、迦具土ってのはね、神様」
「……神様?」
「うん、神様」
 マジで?
「さっき唱えた呪文あるでしょ? あれは祈祷なの。神様の力の一部を貸してくださーい、ってね」
「……それ、凄くね?」
「うん。並大抵のマナじゃできないし、万一にも神様の機嫌を損ねたら死んじゃうこともあるんだよ?」
「……マジかいな……」
 結構危ない橋を渡ってたんだ……。
「ま、でも迦具土様は、私達の一族と縁が深いから大丈夫だったよ……多分」
「多分かい」
 まあ、でも、力が手に入ったってことだ。結果オーライだ。
「じゃあ、ひと暴れしますか」
 俺が鎧――もとい迦具土の籠手を纏った左腕をぐるんぐるん回すと、セリアが慌てて止めてきた。
「待った待った! そんなに力を出せないから!」
「え? なんで?」
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