中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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213,隊長との戦闘

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213,隊長との戦闘



「え? 隊長とやるんですか⁉」
 こんな優男な隊長と⁉
「ええ、遠慮は無用ですよ。それとも僕では力不足ですか?」
「いやいや、そんなこと無いです。ただ驚いてしまって」
「では、問題無いということで、僕とやりましょうか」
 麻田隊長はカツカツと音を鳴らして執務室を出た。
「さ、行きましょうか。……おや、どうもこんにちは、お疲れさまです」
 隊長は入口のそばに立っていたリーヴァとナナカに挨拶をする。
「あ、あら、こんにちは」
「どうも、お久しぶりです!」
 リーヴァとナナカも挨拶を返す。
「では、二十分後にグラウンドで」
 そして隊長は着替えるのか、更衣室の方まで歩いていった。


「……いやー、お待たせナナカ、リーヴァ」
「いえ、大丈夫なのですが……」
「ん? どうしたリーヴァ」
 珍しく歯切れの悪いリーヴァに問いかける。
「その……あの方は一体何者なのですか?」
「あー、そういえば初めてだったな、あの人は俺の隊長で、名前は麻田 哲(てつ)。それで――」
「いえ、そうではなく、あの方は一体何者かというお話です。先程、しっかりと隠密結界を発動させていたのですが、それがまるで機能していないかのように平然と話しかけられました」
「…………え?」
 そういえば、二人共さっき展開した隠密結界の中にいたのか。
「まさか、麻田隊長、なにか能力を持っているのか?」
 リーヴァの結界を看破するなんて、並大抵の人間には不可能だ。魔眼を行使したとしても、そうそう看破出来ない。
「いえ、なにか能力を持っているというより、感覚が鋭いと言うか……ごめんなさい、なんといっていいのか……」
「そーですね、不思議な雰囲気ですよね。魔眼を持っていると言われても不思議には思わないですが」
「まあ、たしかに」
 とにかく、隊長には何かがある。そう考え、俺は先程までの気持ちを切り替えて、気を引き締め直した。












「準備は出来たみたいですね」
 先にグラウンドに出ていた隊長がタンクトップ姿で、いつもと変わらぬ笑顔を俺に向ける。
「……ええ、まあ」
 ……ってか、あれ? 隊長ってこんなに筋肉あったの⁉
「着痩せするんですね」
 いつもは細いなー、って思ったんだけど、脱いだら凄かった! ムッキムキのムキ! 特に胸筋とかヤバイよ。はちきれそうだよ。
「そうですか? まあでも、人に鍛えろ鍛えろと言うなら自分がまずは鍛えていないとね」
「たしかに……」
 ぐぅの音も出ない。
「今回は試合とかでは無いので、僕がいいと思うまでやります。大丈夫ですか?」
「もちろんです。胸をお借りしますね」
 俺も足だの手足のの筋を伸ばし、ストレッチをする。
「……よし、OKです! お願いします」
 ふぅ、と呼吸を整え、まっすぐ隊長を見る。
「では……行きますよ」
 静かに、でも力強く一歩を踏み出した。
「ふっ!」
 そしてお手本にしたいような、惚れ惚れするストレートが飛んできた。
「うおぉ……」
 俺はまだ手で弾くなどの受けに入る段階ではないと考え、軸をぶらさずに最小限の動きで避ける。師匠のように数ミリ先スレスレで避けるなんて神業は無理です。
「シッ! シッ!」
 脇を閉め、コンパクトなスウィングで牽制のジャブが飛んでくる。
「これはっ……!」
 全部スウェーで避けきるのは不可能なので、数回スウェーで避け、残りは手で払う。
「じゃあ、今度はこっちから……!」
「させませんよ」
「はっ⁉」
 俺が攻撃に転じようとした瞬間、俺の裾を掴み、投げ飛ばした。
「ッ⁉」
 慌てて猫のように全身を使って衝撃を逃がすように着地をする。多分あとコンマ数秒遅れていたら今頃地面におねんねしていた。
「逃しませんよ!」
 まだ着地の衝撃でうまく動けない俺に、今度はローキックが飛んできた。
「ちょっ⁉」
 もう避けようが無いのであえてローキックを両の手のひらで柔らかく受け止め吹き飛ばされる方向に飛ぶ。
「ぐぅぅ……!」
 吹き飛びはしたが、目立ったダメージは無く、距離を取ることに成功した。……だが、予想よりもこの一撃が重く、呼吸を整える。
「まだまだ終わらせ無いですよ!」
 俺の考えを読んでいるのか、休ませまいと数歩ですぐ詰めてきた。
「まったく、スパルタだな隊長!」
 本当なら足を使って細かく動いて的を絞らせないようにしたいのだが、先の一撃が足に来ている。
「仕方ない……」
 俺は動かずに回復することを選び、右の手のひらを隊長に向ける。そして、左手はゆるく拳を構え、チャンスがあれば反撃に転じる。
「シィッ!」
 それをチャンスと見た隊長が大技である右フックを繰り出す。
「はっ!」
 俺は右の手のひらで今度は弾くようなイメージで隊長の右手を弾く。
「ふぅー……」
 自分の周りを包み込む球体を意識し、それに触れさせないように攻撃を弾いていく。
「なかなかしつこいですね」
 顔色一つ変えずに、あの手この手で攻撃を止めない。辛い。
「……少し変えましょうか」
 急に攻撃をやめ、足を開き腰だめに構え直した。
「ヤバい……!」
 俺が身の危険を感じ、警戒をした瞬間――
「せいっ!」
 しっかりと腰を落とし、体重の乗った正拳突きが飛んできた。
「ぐぉっ⁉」
 先程の攻撃と同じように弾き飛ばそうとしたが、体重の乗った拳は弾き飛ばすことが出来ず強引に俺のガードを破り腹に直撃した。
「がっ……はぁ……!」
 
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