中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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221、お家へゴー

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「……ねーえ、ネリア」
 サイフォスさんの家から出て少しした後、上機嫌で俺の前を歩いていたフェイウが足を止める。
「ん? どうした?」
 それに釣られ、俺も足を止める。
「なんかネリアさ……カッコよくなったよね」
「……マジ?」
 その言葉、素直にうれしいぞ。
「あ、顔とかそういうカッコよさじゃなくてね、安心して、そこは相変わらずよ!」
 ……前言撤回、涙が出てきたわ。
「なんていうの? その、雰囲気が落ち着いたというか、前とは比べ物にならないぐらい大人びたというか……」
「そうか? 変わらないと思うけどなぁ」
 まあ、自分の成長というのは自分で感じ取ることができないらしいし、俺も大人の魅力的な何かを身に着けたのだろう多分。
「変わったよ。うん、変わった。昔のネリアもまあそこそこカッコよかったけど、今の方がもっとカッコいいよ」
「そりゃどーも。ま、お前も可愛くなったよ」
「ほんとー⁉ やったー!」
 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。
「ファッションセンスは死んでいるけどな」
「そっ、それは何とかなると思うからいいの!」
 ……何とかなるのかねぇ……?
「でも、嬉しいな。そう言ってくれるなんて」
「まあ、な」
 少し前までならこんなこと、口が裂けても言うことは無かっただろう。ひょっとしたら女性陣との関わりによる対異性スキルのレベルアップがあったからかもしれない。そんなもんが存在しているかは知らんが。
「あ、そーだ。私、ネリアに言わなきゃいけないことがあったんだ」
 ポン、と軽く手を合わせる。
「言わなきゃいけないこと?」
「そうそう。でも、説明がすごーく難しいから、実際に見てもらったほうが早いかなーって思うんだけど、この後予定ある?」
「予定って予定は無いけど……」
「よかったー。じゃあ、家に来て?」






「お、おじゃましまーす……」
 俺はこわごわフェイウの家の敷居をまたぐ。
「あらー! ネリアくんじゃない! うちに来てくれるなんて久しぶりね~」
「あ、『例の件』ではお世話になりましたメーナさん」
 俺は黄色い歓声をあげるメーナさんに挨拶をする。
「やあ、ネリア君。久しぶりだね」
「どうもネフェルさん」
 俺が今挨拶したのは、フェイウの父親、ネフェルさんだ。本邦初登場なり。
「うむ、ついに我が家に婿入りか」
「ちっ、違いますって! 娘さんに呼ばれたんです!」
「息子と呼ぶ日も近いな……」
「だあああ! やっぱり会話が成立しねぇ!」
 毎回そうだ! 会話が成立しねぇんだよ!
「娘は少々……いや、かなりじゃじゃ馬だが君なら……」
「あー、はいはい。そこまでね。行くわよネリア」
 フェイウがハイハイと軽くテキトーにいなして二階へ誘う。
「おっ、おお」
 見慣れた光景だ。そういえば、フェイウの家に来るのは本当に久しぶりだ。
「ささ、部屋にどうぞ」
 そう言われ、俺はナナカに言われたことを思い出す。
「あーっとな、なんでも、ナナカが言うには男をホイホイ部屋に入れちゃダメらしいぞ」
 201話でナナカにドン引きされてましたよ。
「いーのいーの。どーせネリアには何かするような度胸はないだろうし」
「うぐ」
 なんか傷ついた。
「それに、ネリア以外は入れないし。ほら、入った入った!」
「ちょっ、押すなよ!」
 仕方がないので諦めて、フェイウの部屋に入る。
「……押しに弱いなぁ俺よ」
 もっと強い男になろう。
「じゃじゃーん! どう? 私の部屋。ちょっとリニューアルしたの」
 そう言われ、部屋を見渡す。……なるほど、たしかに家具の配置やらなんやらが変わっている。
「最後に来たのは一年前だっけ?」
 ギシッとベッドに腰掛け、俺に問う。
「忘れた。だけど、それぐらいだった気がする」
 行く日は連日通ってたぐらいだし。
「前はボードゲームをめちゃくちゃやったよな、夜通し」
「あー、覚えてるー。ネリア、毎回後半戦ボコボコにされるの」
「うぐ、でもたまに勝てそうになるとお前、盤面破壊! って叫んでボードひっくり返してただろ」
「……わ、忘れたわそんなこと」
 懐かしい話がポンポン出る。それくらい、この部屋で過ごした俺たちの時間は長いのだ。
「それで? 昔話をするために呼んだわけじゃないだろ? 俺としては一向にかまわないけど」
「私もそれでいいけどね。……そうだね、大切な話をするために呼んだんだったね」
 まっすぐとした瞳が俺を捉える。
「この話は、ネリアに聞いておいてもらわないといけないものなの。……ううん、聞いておいてほしいもの」
「……わかった。聞くよ」
「……ありがと。じゃあ、あと少し待ってね。そうしたら『変わる』から」
「変わる? それってどういうことだ?」
 俺がそう問うと、フェイウは途端にいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「秘密。時がたてば教えてくれる! ……って、もうその時みたいね。それじゃあ、おやすみ」


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