中途半端な俺が異世界で全部覚えました

黒田さん信者

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74,突然の強襲

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「んじゃ、わしらはここらで行くとしよう」
 ソアがよっこらせっと腰をあげた。
「もう行くの? せめてお昼ごはんぐらい食べていかない?」
「んー、すまんな。わしらはこの後、すいーつを食べに行くのでな」
 まだ話足りなそうなお母さんと別れ、車に乗り、高速道路に入ったのだが――
「全く動かないね……」
 車が動かずはや一時間。車は一ミリも動いていない。
「のうリサ」
「ん〜? テレポートはだめだよ〜?」
「違うわい。感じぬか?」
「感じるって何を――」
「魔力を、じゃ」
「ま、魔力!?」
「そうじゃ。しかも禍々しくて凶悪なヤツじゃ」
 そう言われて私は神経を研ぎ澄ませる。私が感じられるのは、ソアの体から発せられる魔力。あとは……この先から感じる。黒い。とてもどす黒い魔力を。
「もしかしてこの渋滞の原因って」
「ああ。間違いなくヤツじゃ。何が目的か知らんが、いい度胸じゃな。この魔法の概念がないこの世界でおおっぴらに魔法を使うとは」
 そう言いソアは、ポケットから何かが書かれた二枚の紙を取り出した。
「式神、急急如律令!」
 すると紙が光りポンッと白煙をあげた。そこからは……
「えええ! わ、私!?」
 後部座席に私が!?
「落ち着けい。式神じゃ。まあ、陰陽術じゃ」
「お、陰陽術ってことは、陰陽師?」
「うむ。まあ、これは本当に付け焼き刃なのじゃが、わしの式神れべるでも運転ぐらいできるじゃろ」
「……すご……」
 一体何者!?
「じゃ、その魔力の根源にテレポートするぞい」
「え、ちょっとま」
「転移!」






 シュン。周り景色が一気に変わった。
「リサ、油断するなよ」
 周りには炎上した車が何台も転がっている。
「グッウウ、ウガァァ!」
「な、何!?」
 何かが吠えた!
「ほう、魔獣とはな」
 慌てている私と違い、余裕のあるソア。
「ハッハッハッ! この魔獣を見て臆さないとは、君たちは魔術師なのかね?」
 何者かの声がした。
 め、めっちゃ臆してますぅ……。
「わしは違うぞい。わしは魔導師じゃ」
 ソアはあくまで冷静だ。掴みどころのない表情、しゃあしゃあとした喋り方。しかし、『眼』が違った。
「こんな大衆がいる前で魔法を使いよって。お主は何が目的じゃ?」
 ソアが問いかける。
「目的? そんなものはない! ただの命令だ!」
 謎の声は高らかに笑う。
「我々は黄金の夜明け団! この世界に祝福をもたらす!」
 今、黄金の夜明け団って言ったわよね?
「ま、まさか実在していたなんて!」
 ちなみに黄金の夜明け団とは、一九世紀末にイギリスで設立された近代西洋儀式魔術の秘密結社である。通称GD団。
「ほう女。知っているか、我々GD団を!」
 謎の声が感心した声を出した。
「我々はこの日本に、宣戦布告する! これがその第一歩だ!」
 宣戦布告!? いきなり!?
「ふん。隠れたまま喋るとは、礼儀を知らぬ奴め。まずは姿を表してもらおうかの」
 ソアが無造作に腕を振った。すると、魔獣の近くに、タキシードを着た男が立っていた。
「私の隠蔽術式が破られた? 年端もいかぬ小娘のくせして、なかなか才能のある。しかし、君らにはここで死んでもらおう。行くぞ、ベッガー!」
「グゥルォォオ!」
 魔獣が唸りをあげる。
「ひぃぃぃぃぃ!」
「リサ、防御術式を展開して下がっておれ。わしがこやつを倒す」
「わ、わかった! 気をつけて!」
 ソアの周りに、魔力の渦が巻き始めた。
「フフッ、クハハハハッ! この私を倒すだと? まだ世間を知らぬようだな幼子!」
「ふん、世間を知らぬのはお主じゃ若造」
 そう言ってソアは飛び出した。
「鎖の魔導書、ジェイル!」
 本を取り出し、開く。すると魔獣の足元に魔法陣が展開される。
「縛!」
 ジャララッ! 大量の鎖が魔法陣から出て来る。そして、魔獣に幾重にも絡みついた。
「ふ、こんなもので止まらんぞ!」
「グルァッ!」
 ビキンビキンと絡まった鎖を破壊していく魔獣。
「ちっ、これではだめか。ならば! 光の矢シャイニングアロー!」
 ズドドドと光の矢が魔獣に降り注ぐ。
「ぐっ……! だが、まだまだ甘いわぁ!」
 魔獣が横薙ぎに腕を振る。
「がっ……!」
 ソアがいとも簡単に薙ぎ払われた。そして炎上した車の山に飛んでいく!
「ソ、ソアー!」
 ドゴォン! 爆炎を上げ、車の山が崩れた。
「フハハハッ! どんなに魔力があろうとも、所詮は幼子! さあ、次は貴様の番だぞ? 女!」
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