召喚毒師の巻き返し〜絶望の最弱職より〜

黒田さん信者

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第一章 毒師よ目覚めよ

1,召喚、そして騒動

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1,召喚、そして騒動


 ……ここはどこだ? 

 俺はぬるま湯のような温かさの暗闇を揺蕩いながら、ドロドロと溶けた思考で、考える。体の感覚も曖昧だ。

 何をしている? なぜここにいる? 俺は一体……?

 考えがまとまらない。ただ、ぐるぐると同じことばかりを考える。そして、何度も何度も意識を手放しかける。
 
 深い深い闇の中、俺は浮かんでいる。音も、光も無く、ただ闇が広がっている。

 ここはどこだ?
 
 何度目の問だったのだろうか。もう数えてすらいない。そんな時、暗闇以外何も無いこの世界に、白く、強烈な一筋の光が射した。

「……これは――」
 俺はそれに手を伸ばし、そして――









「…………成功だ! やったぞ!」
 気がつくと、強烈な光が俺の闇に慣れ親しんだ目に差し込む。そして、徐々に視界が光に慣れ、見えるようになってきた。

「ここは……」
 先程の闇にいたときとは違い、思考がクリアになっている。

「ようこそ勇者よ!」
 自分の状況を確認しているとき、前から鋭い声が飛んでくる。俺は慌ててその声の主を見る。その主は明らかに豪華な服を着て、頭には金色に輝く王冠を付けている。

「……えーっと……」
 目の前には、というより、周りには数十人の人が集まっており、口々に興奮したように俺を見ている。俺の足元には赤い絨毯。なんだか、高級ホテルみたいだな、なんてぼんやりと考える。作りもレンガ主体で、どこか中世を彷彿とさせる。

「ど、どうも……?」
 俺はとりあえず、挨拶をしてみる。

「うむ、思考などは正常なようだな。さて、勇者よ。状況はわかるな?」
 また目の前の男が話す。

「……えーっと、全くわかりません」
 すべてわかりやすく説明してください、という思いで目の前の男を見る。というか、勇者ってもしかして俺のことですか?

「な、なんと……記憶障害か……。まあよい。一から説明してやろう。大臣」

「はっ。不詳ながら私、シレル・ガバルドがご説明させていただきます」
 サッと一人の恰幅の良い男が俺の前に現れた。

「この世界は女神リリシア様とネレデス様が収める世界、『プレルナン』でございます。貴方様、勇者様には、我が世界の危機を救っていただくために、召喚させていただきました」

「召……喚?」
 俺はなれない単語に首をひねる。召喚の意味は知っているが、それが今の状況となんの関係があるのだろうか。

「ええ。つまり、勇者様の世界……『メルドギル』から我々の世界、『プレルナン』に来ていただいたというわけです」

「……はぁ」
 そのことを聞いて、若干読めてきた。要は、アレだ。異世界召喚ってやつかなるほど。…………って、は⁉

「異世界召喚⁉ 嘘だろ⁉」
 俺は未だに信じられず、目の前の恰幅の良い男に聞く。

「な、なあ、これって拒否とかできるとか――」

「いいえ、拒否権はございません。この世界に散らばる宝玉を十個集めたら戻ることは可能ですが」

「う、嘘だろ……?」
 俺はがっくりと膝をつく。

「えー、とりあえずはこれでよろしいでしょうか? そろそろステータスチェックに入らせていただきます」
 ゴホン、と大臣は軽く咳払いをし、また誰かを呼び寄せる。

「よろしくお願いします、神官様」

「ええ、お任せください」
 また一人、恰幅の良い男が出てきた。

「これから、ステータスチェックをさせていただきます。ああなに、変に構えなくて結構です」
 そう言って男は俺に視線を向け、手のひらを向ける。

「チェック・ステータス!」
 そう唱えると、ヴン、と静かに音がして、男の前に半透明で薄いガラスのようなものが出てきた。

「ふむ、大木 柊夜(おおき しゅうや)、十八歳。ステータスは平均。さて、固有職業は……なっ⁉」
 大きな声を上げ、血相を変える。そして、ドタドタと王冠を被った男に走って何やら耳打ちをする。

「……なに⁉ 職業『毒師』だと⁉」
 ハリのある大声で、皆に聞こえるように叫ぶ男。その途端、ザワッ、と辺りが騒然となった。

「……それは確かなのか、神官よ」

「は、はっ! 間違いようがございませぬ!」
 脂汗をダラダラと流しながら、神官? は男に頭を下げる。

「…………すまぬ、召喚の儀は中断とする。その者は一時、客室に警護を付けて通しておけ」

「は、はいっ!」
 俺抜きでどんどん話は進んでいく。

「あ、あのー……」
 俺が何か言おうとしたが、この騒ぎの中、かき消されてしまった。

「えぇー……」
 

 
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