軍用AIアリス、当機はこれから悪役令嬢

黒田さん信者

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37,戦斧の嵐

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「ふーん、なら事故って死んじゃっても知らないからね!」
 長槍を腰だめに構え、クリスティーナは突撃する。

「おっ、おい!」
 慌ててレブナートが止めようとするが、アリスも突撃してしまった。

「ああもう……!」
 レブナートは結局、ハラハラしながら二人の戦いを見守ることしかできなかった。

「えいっ!」
 クリスティーナはまず、最小限の動きで突きを繰り出した。流石に命を狙うほどの鋭さは無いものの、確実に心臓の方に槍の穂先は伸びていく。

「っ!」
 アリスは下から木刀を持ち上げるように振り上げ、穂先に近い柄の部分を弾いた。弾かれた長槍は大きくしなり、たまらずクリスティーナは反動で少し地面から浮き上がった。

「反応速度はお見事! でもっ! 防御に力を注ぎすぎじゃないのっ⁉」
 浮いた足をもう一度地面に付け、一呼吸置き突きを今度は浅く、何度も繰り出した。

「うっ、くっ……!」
 先ほどよりも踏み込みも浅く、威力は少ないがその分手数が多いため先ほどのような弾き方では到底間に合わない。

「くぅぅぅ!」
 たまらず槍の攻撃範囲外に退避する。

「ハッ……ハッ……!」
 
「ま、こんなものかしら?」
 荒く息をするアリスと違い、まだまだ余裕のありそうなクリスティーナ。

「これが槍の長所よ。一方的に攻撃をすることができて、さらに最小限の動きでもそこまで疲れることが無い。まあ、デメリットとしては長くてかさばるのと、至近距離戦が弱いことかしらね」
 次、行きましょと今度は体とほぼ同じくらいの大きな戦斧をよいしょと持ち上げる。

「やっぱこれ重いわねこれ……」
 そう言い持ち上げるのをやめ、柄は握ったまま刃の部分を地面に降ろした。

「あ、これはちょっと危ないから近寄らないで。少し振り回してみるから、それで間合いを掴んで」
 近づこうとしたアリスを止める。

「ふぅうー……」
 大きく息を吸い、吐き出し――

「せああぁぁぁ!」
 気合と共に、戦斧を振り回し始めた。

「うっそだろおい……」
 レブナートがその光景を見て冷や汗を流す。レブナートの目の前の光景を見れば、誰だってそう思うだろう。

「はあぁぁぁ!」
 小柄なシナの体で戦斧をまるで竜巻のように軽々振り回しているのだ。いや、正確に言えば戦斧を振り回し、そのまま振り回されている、というべきか。彼女を中心に嵐が形成されている。風切音は雷鳴の如く、戦斧が振り回されることで起こる風圧は本当に荒れ狂う嵐と遜色がない。

「せいっ!」
 特別気合の入った掛け声と共に戦斧が地面にめり込み、勢いを殺さずクリスティーナはそのまま柄から手を離し、地面に着地した。
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