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しおりを挟む「さて、少し本題から話が逸れてしまったが、これがどういうものか理解したな?」
「まあ、多少は」
「うむ、良い。これはまだ改良の余地はあるものの、概ね完成品だ。まあ、イジるとしても弾のほうだろうな。それともう一つの機能のほうだ」
「もう一つ? ってことは、まだなにかあるということか?」
「ああ、楽しみにしておけ。ただ、まだ実用段階ではないから秘密だ。さあて、ルベル。一つ聞くがお前は物覚えはいいほうか?」
「えーっと、人並み……かな」
そんなことを聞かれたことがないので、ルベルは曖昧な答えをスカーレットに返す。
「なんだ、なんとも中途半端な返事だな。まあいい。これからお前には、この剣を使いこなせるようになってもらう」
剣をヒュンヒュンと振りながらスカーレットをニヤッと笑う。
「本来の銃であれば、トリガーを引けば弾が発射されるが、これはあくまで『剣』だからな。銃は補助的機能に過ぎん。そこで、剣を振りながら撃てるようにした」
こういうことだ、とスカーレットはトリガーを引いた状態で、剣を無造作に振る。
「うおっ⁉」
パァン! とまた乾いた音がし、別の訓練用のカカシが弾けた。
「トリガーを引いた状態で、特殊な捻りを入れると発射されるようになっている。普通に振っているときに暴発したら困るからな」
「な、なるほど」
「だが、そのせいで本当に扱いづらい。私もこの振り方のクセを理解するのに三ヶ月はかかった」
「三ヶ月⁉」
「ああ。まあ、努力あるのみだな。ちなみにある程度の狙いをつけれるようになるまでは半年がかかっている」
「なんっ⁉」
その期間を聞いて、顔を引きつらせるルベル。
「なに、私が使っていたのは試作品だったからな。色々なトラブルと戦いながらだったし、精度も甘かった。ま、ルベル次第だ」
いい笑顔で、要はお前の腕次第だ! と言われて、更に顔が引きつるルベル。
「ということで、初任務だルベル。この剣をマスターしろ! 護衛任務はその期間やらなくていい。ここの演習場は私の貸し切りにしておく。そうだな……とりあえずは三日だ。なに、三日で仕上げろということではない。三日で何かを掴んでくれということだ」
「ま、まじか……」
ルベルは冷や汗をかく。
「撃ち方はまず、横についている安全装置、セーフティを解除してからそのトリガーを引き、捻りを加えて振る! それだけだ、わかったな?」
「え、ああ、まあ」
そこまで難しくない手順だったのでルベルはトリガーを引くところまでおさらいしてみせた。
「そうだ、できているな。あと、弾薬はまた後に届ける。では、健闘を祈る」
またな、とルベルに言い残しスカーレットは去っていってしまった。
「……うっそだろ、おい……」
ルベルは残された剣をまじまじと見つめ、数分間その場に固まっていた。
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