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「もう! びっくりしました! まさかお姉さまがルベルさんとこんなに親密な関係になっているなんて……」
「あのー、これは決してそういう訳では無くて……」
先程のスカーレットの説明聞いてました? とルベルはまた冷や汗をかく。
「うふふっ、冗談です! さて、ご紹介が遅れました。わたくしは第8王女、ガーベラです。会うのは二度目ですねルベルさん」
「あ、俺は……じゃない、私は第7王女の剣であり盾、近衛騎士のラベル・ライヴァーです」
すっかり名乗るタイミングを失ってしまっていたので、慌てて挨拶。
「はい、しっかりと存じ上げております! もちろん、欠落者ということも」
その言葉を聞き、ズキンとルベルの胸が痛む。
「ああ、ごめんなさい! 悪気があって言ったわけではありません!」
「いえ、慣れておりますので」
「違うのです、その、私はルベルさんをバカにしているだとか、見下しているわけではありません! むしろ、尊敬しているのです!」
「へ?」
「あの力はなくとも立ち向かう姿! 本来なら、私が選ぼうかと考えていました」
まあ、先にスカーレットお姉さまがルベルさんを選んでしまいましたが、と笑う。
「あと、その剣の開発にはわたくしも尽力しています!」
「そうなんですか⁉」
「はい、だってわたくしは『ガーベラ』ですから!」
先程も述べられたが、ガーベラの得意分野は工業である。彼女の父は鍛冶師だったので、彼女も鍛冶をする。腕は、国の鍛冶師の中でも1、2を争うほどであり、彼女の鍛えた剣は現国王も愛用している。
「メインフレームの設計はお姉さまが、わたくしがその剣を鍛えました」
「おお……」
素直にルベルは驚嘆の声をあげる。この剣はひと目見ただけでわかる業物だ。それをこの細腕の王女が仕上げたとは……と感心し、もう一度剣を見る。
「かなり苦労しましたが、わたくしも作っていて楽しかったです! それで、お姉さま、頼まれていたものです」
「ああ、すまないなありがとう」
そう言ってガーベラは金属のなにかをスカーレットに渡す。その姿を見て、ルベルは二つほど疑問を持った。
「あの……」
「何でしょうかルベルさん?」
可愛らしく小首をかしげるガーベラ。
「どうしてスカーレットと仲良くしているんでしょうか? 本来であれば敵同士のはずなのに。それに、近衛の姿が見当たらないような……」
多少不躾な質問かもしれない。でも、ルベルはどうしても気になったのだ。
「うふふっ、確かにそれは気になりますね。まず、最初の質問の答ですが、わたくしは王というものには興味はございません。面倒事が増えそうですし。他のお姉さま方を応援していますわ」
「な、なるほど……」
確かに、王女の中にも王になる気のない王女もいる。
「あと、わたくしの近衛、リリアンはそこにいますわ。リリアン」
「はい、姫様」
スッとガーベラの影から序列七位、リリアン・フランツが姿を表した。
「うおっ⁉」
ルベルは慌てて自分の剣の柄を握ったが、敵ではないので手を離す。
「影から失礼します第7王女様。第8王女、ガーベラ姫の近衛騎士、リリアン・フランツでございます」
リリアンはややくすんだ金髪を振り、頭を垂れる。
「楽にしてくれ。そうか、お前の能力は影潜だったな」
影潜。それは、影の中に水のように潜ることができる能力である。これには、綿密な魔力操作と、集中力を要求されるため、高位の魔道士でもできるのは数名ほど。
「はい。これは機密の会話だということはお聞きしていたので、お話は聞いておりません、ご安心ください」
そう言ってから、ルベルに軽く会釈をする。釣られてルベルも会釈を返す。
「姫様、そろそろお時間です。城にお戻りにならないと」
「あら、もうそんな時間でしたか? それでは、お姉さま、ルベルさん、失礼しますね」
彼女はお辞儀をした後、笑顔で帰っていった。
「あのー、これは決してそういう訳では無くて……」
先程のスカーレットの説明聞いてました? とルベルはまた冷や汗をかく。
「うふふっ、冗談です! さて、ご紹介が遅れました。わたくしは第8王女、ガーベラです。会うのは二度目ですねルベルさん」
「あ、俺は……じゃない、私は第7王女の剣であり盾、近衛騎士のラベル・ライヴァーです」
すっかり名乗るタイミングを失ってしまっていたので、慌てて挨拶。
「はい、しっかりと存じ上げております! もちろん、欠落者ということも」
その言葉を聞き、ズキンとルベルの胸が痛む。
「ああ、ごめんなさい! 悪気があって言ったわけではありません!」
「いえ、慣れておりますので」
「違うのです、その、私はルベルさんをバカにしているだとか、見下しているわけではありません! むしろ、尊敬しているのです!」
「へ?」
「あの力はなくとも立ち向かう姿! 本来なら、私が選ぼうかと考えていました」
まあ、先にスカーレットお姉さまがルベルさんを選んでしまいましたが、と笑う。
「あと、その剣の開発にはわたくしも尽力しています!」
「そうなんですか⁉」
「はい、だってわたくしは『ガーベラ』ですから!」
先程も述べられたが、ガーベラの得意分野は工業である。彼女の父は鍛冶師だったので、彼女も鍛冶をする。腕は、国の鍛冶師の中でも1、2を争うほどであり、彼女の鍛えた剣は現国王も愛用している。
「メインフレームの設計はお姉さまが、わたくしがその剣を鍛えました」
「おお……」
素直にルベルは驚嘆の声をあげる。この剣はひと目見ただけでわかる業物だ。それをこの細腕の王女が仕上げたとは……と感心し、もう一度剣を見る。
「かなり苦労しましたが、わたくしも作っていて楽しかったです! それで、お姉さま、頼まれていたものです」
「ああ、すまないなありがとう」
そう言ってガーベラは金属のなにかをスカーレットに渡す。その姿を見て、ルベルは二つほど疑問を持った。
「あの……」
「何でしょうかルベルさん?」
可愛らしく小首をかしげるガーベラ。
「どうしてスカーレットと仲良くしているんでしょうか? 本来であれば敵同士のはずなのに。それに、近衛の姿が見当たらないような……」
多少不躾な質問かもしれない。でも、ルベルはどうしても気になったのだ。
「うふふっ、確かにそれは気になりますね。まず、最初の質問の答ですが、わたくしは王というものには興味はございません。面倒事が増えそうですし。他のお姉さま方を応援していますわ」
「な、なるほど……」
確かに、王女の中にも王になる気のない王女もいる。
「あと、わたくしの近衛、リリアンはそこにいますわ。リリアン」
「はい、姫様」
スッとガーベラの影から序列七位、リリアン・フランツが姿を表した。
「うおっ⁉」
ルベルは慌てて自分の剣の柄を握ったが、敵ではないので手を離す。
「影から失礼します第7王女様。第8王女、ガーベラ姫の近衛騎士、リリアン・フランツでございます」
リリアンはややくすんだ金髪を振り、頭を垂れる。
「楽にしてくれ。そうか、お前の能力は影潜だったな」
影潜。それは、影の中に水のように潜ることができる能力である。これには、綿密な魔力操作と、集中力を要求されるため、高位の魔道士でもできるのは数名ほど。
「はい。これは機密の会話だということはお聞きしていたので、お話は聞いておりません、ご安心ください」
そう言ってから、ルベルに軽く会釈をする。釣られてルベルも会釈を返す。
「姫様、そろそろお時間です。城にお戻りにならないと」
「あら、もうそんな時間でしたか? それでは、お姉さま、ルベルさん、失礼しますね」
彼女はお辞儀をした後、笑顔で帰っていった。
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