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「……風呂、入ってねぇ……」
ルベルは扉を閉め、寝る支度を整え出した途端思い出してしまった。
「昨日汗拭いたけど流石に風呂に入りてぇ……」
水浴びでもいいのだが、ルベルの気分は風呂なのだ。熱々の熱湯に疲れ切った体を投げ入れ、疲労を抜きたい。それと、この不安定な心を落ち着けたい。
「なんとかならねぇかなぁ……」
どうにかして風呂に入りたい。その欲求がルベルを突き動かした。
「たしか近衛騎士が住む塔にでけぇ浴場があるって聞いたな……」
うろ覚えだが、どうしても入りたいので、最低限の着替えとタオルを持って部屋を出る。
「この塔か……?」
少し歩き、城の横にある巨大な塔に到着した。
「やべーよ、マジで。ハードルたっけぇ……」
しかしルベルには風呂に入るという確固たる信念があったので、意を決して塔の中に入る。
「おじゃましまーす……」
本来であればルベルはここに住んでいるはずなのだが、どういうわけか(スカーレットの我儘のせいか)ここに住んでいないので、若干気後れしつつ小声でおじゃましますと述べてから中を散策する。
「……ひっろ」
中は、外の冷たく無機質な印象を受ける石造りの塔とは思えないほど鮮やかで、温かみのある空間だった。二度ほど歩いている近衛専用の使用人に出くわしたが、それ以外は特に人影も無く、かえって不気味なほどだった。
「おっ、ここか?」
ついに浴場らしい場所を発見した。
「間違いねぇ! ここだぜここ……!」
恐る恐る戸を開けて見てみると、確かに浴場だった。時間は十時までと書いてある。先ほど九時を知らせる鐘が鳴ったのを覚えているので、ルベルはウキウキ気分で、なんならスキップまでして脱衣所まで行った。
「おっ、誰もいないじゃん」
正直、正攻法で近衛騎士に選ばれていないルベルは、序列八位までの近衛騎士達に対して若干のコンプレックスを抱いており、できれば遭遇したくないと考えていたのだが、どうやら杞憂に終わったらしい。
「ラッキーラッキー貸し切りだぜ」
先刻のこともあり、無理にでもテンションを上げよう! と考えていたルベルのテンションは、変な方向に向かっており、普段であれば自分でも引くであろうテンションで風呂場に突撃した。
「ひれぇ……! すげぇ……!」
ガラリと引き戸を開けると、顔にじんわりとした湯気が当たる。
「たまんねぇぜ!」
手ごろな椅子に座り、熱々のお湯が俺を待っている~と鼻歌まで披露しながら体を洗っていく。
「いい石鹸を使ってやがる。高級品だぞ、これ」
ルベルの家は下級貴族であったので、こういう高級品には目ざとい。下級貴族は、貴族といってもほとんど平民と変わりがない。いわば、少し裕福な平民と言ったところだ。普通の符合の方が断然いい暮らしをしている。
「うし、これでいいだろう、文句ないだろう……!」
体と頭を洗い終わり、ごくりと喉を鳴らしてたっぷりと張られた湯に足先をちょんと付ける。
「熱ぃ……! でも、それがいい!」
ゆっくりと徐々に足先、膝、太もも、腰と湯に浸かっていき、やがて肩までたっぷりと浸かった。
「……うあー、極楽……」
じんわりと体の芯から温まっていく感覚をルベルは楽しみ、堪能した。
「疲労が抜けていく……」
ここ数日の不安感、今日の失態、悔しい思い、それらが熱々の湯に溶けてくのを実感していく。それに、この二日間で酷使し、固くなってしまった身体の筋肉、凝り固まった心がゆっくりとほぐれていく。
「俺、近衛騎士になってよかった……」
しみじみとルベルは感慨深くそう呟いた。
ルベルは扉を閉め、寝る支度を整え出した途端思い出してしまった。
「昨日汗拭いたけど流石に風呂に入りてぇ……」
水浴びでもいいのだが、ルベルの気分は風呂なのだ。熱々の熱湯に疲れ切った体を投げ入れ、疲労を抜きたい。それと、この不安定な心を落ち着けたい。
「なんとかならねぇかなぁ……」
どうにかして風呂に入りたい。その欲求がルベルを突き動かした。
「たしか近衛騎士が住む塔にでけぇ浴場があるって聞いたな……」
うろ覚えだが、どうしても入りたいので、最低限の着替えとタオルを持って部屋を出る。
「この塔か……?」
少し歩き、城の横にある巨大な塔に到着した。
「やべーよ、マジで。ハードルたっけぇ……」
しかしルベルには風呂に入るという確固たる信念があったので、意を決して塔の中に入る。
「おじゃましまーす……」
本来であればルベルはここに住んでいるはずなのだが、どういうわけか(スカーレットの我儘のせいか)ここに住んでいないので、若干気後れしつつ小声でおじゃましますと述べてから中を散策する。
「……ひっろ」
中は、外の冷たく無機質な印象を受ける石造りの塔とは思えないほど鮮やかで、温かみのある空間だった。二度ほど歩いている近衛専用の使用人に出くわしたが、それ以外は特に人影も無く、かえって不気味なほどだった。
「おっ、ここか?」
ついに浴場らしい場所を発見した。
「間違いねぇ! ここだぜここ……!」
恐る恐る戸を開けて見てみると、確かに浴場だった。時間は十時までと書いてある。先ほど九時を知らせる鐘が鳴ったのを覚えているので、ルベルはウキウキ気分で、なんならスキップまでして脱衣所まで行った。
「おっ、誰もいないじゃん」
正直、正攻法で近衛騎士に選ばれていないルベルは、序列八位までの近衛騎士達に対して若干のコンプレックスを抱いており、できれば遭遇したくないと考えていたのだが、どうやら杞憂に終わったらしい。
「ラッキーラッキー貸し切りだぜ」
先刻のこともあり、無理にでもテンションを上げよう! と考えていたルベルのテンションは、変な方向に向かっており、普段であれば自分でも引くであろうテンションで風呂場に突撃した。
「ひれぇ……! すげぇ……!」
ガラリと引き戸を開けると、顔にじんわりとした湯気が当たる。
「たまんねぇぜ!」
手ごろな椅子に座り、熱々のお湯が俺を待っている~と鼻歌まで披露しながら体を洗っていく。
「いい石鹸を使ってやがる。高級品だぞ、これ」
ルベルの家は下級貴族であったので、こういう高級品には目ざとい。下級貴族は、貴族といってもほとんど平民と変わりがない。いわば、少し裕福な平民と言ったところだ。普通の符合の方が断然いい暮らしをしている。
「うし、これでいいだろう、文句ないだろう……!」
体と頭を洗い終わり、ごくりと喉を鳴らしてたっぷりと張られた湯に足先をちょんと付ける。
「熱ぃ……! でも、それがいい!」
ゆっくりと徐々に足先、膝、太もも、腰と湯に浸かっていき、やがて肩までたっぷりと浸かった。
「……うあー、極楽……」
じんわりと体の芯から温まっていく感覚をルベルは楽しみ、堪能した。
「疲労が抜けていく……」
ここ数日の不安感、今日の失態、悔しい思い、それらが熱々の湯に溶けてくのを実感していく。それに、この二日間で酷使し、固くなってしまった身体の筋肉、凝り固まった心がゆっくりとほぐれていく。
「俺、近衛騎士になってよかった……」
しみじみとルベルは感慨深くそう呟いた。
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