最後の涙

水雲 寿々

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大丈夫

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私は思わず泣いてしまっていた。
ジルがそんなこと思ってたなんて。

考えもしなかった。
いつもニコニコして私を連れ回したジルに記憶がないこと。それでも私の前で笑っていてくれたこと。

「ごめんね、全然気付かなくて」

声を震わせながら言うと、彼は小さく首を振った。

私にとってもジルは大切だ。
私が暮らしていた場所の誰よりも、連れてこられたばかりのこの世界のジルの方がずっと大事だ。

だから抱き締めている。
だから泣いている。

よりによってこいつに情が移るなんてって思ってる。
けどそんなことより今は

「ジルのことが大事。すごく大事」

抱きしめる腕に力を込めて言うと声を上げて泣き出した。
私の涙も一向に止まりそうにない。
拭っても拭っても溢れてくるからどうしようもなくて、私も泣いた。

こんなに泣くのは久しぶりだなぁ。
本当に、何年ぶりだろうか。考えるけど思い出せないくらい昔のことだった。

お母さんに頭を撫でられて、わんわん泣く私がいた。
お母さんの笑顔。もう記憶の中でしか見られない。

それを考えると涙は余計に引かなくなった。

私たちは子供のように泣いた。とても長い時間だったと思う。
この家は広いし丈夫だから外に声が漏れる心配はないけど、なんだか気にしてしまって私はピタリと泣き止んだ。

ああ、泣きすぎてうまく呼吸ができない。

「……大丈夫」

ひどくしゃがれた声だったけど、私はジルの背中を撫でながら言った。

「大丈夫だよ。ジルはなんにも悪くないよ」

そう言ってあげると少し落ち着いたらしく、そのまま私にもたれかかって眠ってしまった。

私は朝日が眩しくて眠れそうにないと思ってずっと起きていた。
しばらくしてからふと思いつき台所に立つ。

今日は私がご飯を作ってあげようかな。

料理はどちらかといえば苦手なほうだけど、オムライスぐらいは作れる。
エプロンをつけて、よしっ、と意気込むと私はフライパンを手に取った。
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