愛縁奇祈

春血暫

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深雪の空

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「では、俺は仕事があるから。社長、健介のことをよろしくお願いしますね」

 と、俺は社長に笑いかける。
 社長は「うむ」と頷く。

「梔さんでしょ? 最近、安定しているような気がするけど。やっぱり、不安定だったりするの?」

「んー、そういうのは当事者ではないとわからないんだがな。神呪さんが言うには、不安定らしい。その辺りも、本人に聞いてみるよ」

「そうだね。じゃあ、頑張ってね」

「うん」

 と、俺は言って、会社を出た。

 梔さんと話をするのは、大体病院である。
 病院にある空き病室で話をする。

 内容は、基本的に世間話。
 あとは、悩みごとを聞いて解決方法を探す。

 それ以上のことは、しないようにしている。

 深入りはしたくないのだ、あまり。

 と、思いながら歩いていると、すぐに病院に到着する。
 従兄弟の悠生に声をかけると、悠生は「あ」と言う。

「患者さん、いるよ」

「うん、ありがと。何号室?」

「一〇五」

「ありがと」

 俺は悠生にお礼を言って、病室に向かった。
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