27 / 160
scene004
3
しおりを挟む
その間、保川さんは俺に話しかける。
「石野くんてどんな人なん?」
「光珠さんですか?」
「そう」
「うーん、と。そうですね、普段から口数が少ない方で、多くなるのは何か心配事とかあるとき、とかで……」
「ほぅ」
「私が父親を亡くしたとき、傍で私と母親を支えてくれた、私たち親子の恩人のような人です」
「へぇ。ここでの石野くんからは、あんま想像できひん」
「そうですか? 当時からほぼ変わらず、こんな感じでいてくれて」
父さんを亡くし、ショックで精神を病んだ母さんを支えてくれた。
大学を諦めて働こうとする俺に、諦めんな、と言うてくれて。
それで、大学の学費を全部出してくれた。
今もこうして、特に何も言わず、俺ら親子を支えてくれる。
「とても尊敬してる人です」
「へぇ」
だってさ、と保川さんは笑って光珠さんに言う。
「尊敬してるて、良かったやん。石野くん」
「……うん」
「あ、石野くん。照れとる~」
「え、ええから!」
はい、と光珠さんは保川さんの前にウインナーコーヒーを置く。
「ちょっと奥の方行ってくる。お客さん来たら、呼んで」
光珠さんはそう言うと、エプロンを外し、それを綺麗に畳んで置き、奥の方へ行った。
「石野くんてどんな人なん?」
「光珠さんですか?」
「そう」
「うーん、と。そうですね、普段から口数が少ない方で、多くなるのは何か心配事とかあるとき、とかで……」
「ほぅ」
「私が父親を亡くしたとき、傍で私と母親を支えてくれた、私たち親子の恩人のような人です」
「へぇ。ここでの石野くんからは、あんま想像できひん」
「そうですか? 当時からほぼ変わらず、こんな感じでいてくれて」
父さんを亡くし、ショックで精神を病んだ母さんを支えてくれた。
大学を諦めて働こうとする俺に、諦めんな、と言うてくれて。
それで、大学の学費を全部出してくれた。
今もこうして、特に何も言わず、俺ら親子を支えてくれる。
「とても尊敬してる人です」
「へぇ」
だってさ、と保川さんは笑って光珠さんに言う。
「尊敬してるて、良かったやん。石野くん」
「……うん」
「あ、石野くん。照れとる~」
「え、ええから!」
はい、と光珠さんは保川さんの前にウインナーコーヒーを置く。
「ちょっと奥の方行ってくる。お客さん来たら、呼んで」
光珠さんはそう言うと、エプロンを外し、それを綺麗に畳んで置き、奥の方へ行った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる