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第五話
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兵庫県警では焼死体と並行して、林田桜里瑛女流棋士の行方について捜査を進めている。
吉川は、神戸オーハシポートホテルの焼死体は事故や自殺の可能性も否定できないものの遺書が無いことから、当日ホテルから失踪した林田が何らの関係があるのではないかと考えている。
吉川は林田の自宅を捜索するチームのリーダとして朝早くから林田の自宅に来た。
林田は神戸市垂水区の学園都市近辺の賃貸マンションに住んでいる。
神戸市営地下鉄の学園都市駅から徒歩で数分の利便性の良いマンションである。上の階なら淡路島や明石海峡大橋も望めるところだ。
朝9時から管理人や近隣に聞き込み捜査をしようとして林田のマンションのドアノブを回すと玄関ドアが開いた。
「林田さんですか」
吉川は驚き大声を発した。林田は自宅に戻っていたのか。
ノートパソコンの前に座っている人物が帽子とゴーグルとマスクを取るとツインテールの髪型と三島美都留の顔が現れた。手にはビニールの手袋をしている。
「パソコンや部屋は一通り調べたわ。
一階の大家さんには友人の林田さんと連絡が取れないので心配だといったら、ドアを開けてくれた。
全日本女流棋士協会にも
『友人の林田さんが心配で様子を見に行きたい』と言ったら、
林田さんの住所を教えてくれた。
部屋の現状を変えないように防護服をして部屋にも入ったから」
「林田さんとはプライベートで接点は無いはずだが。」
「部屋を調査して色々情報あるわよ。聞きたい?さあ中に入って」
吉川は憮然とした。
一番怪しいのは目の前の女流棋士じゃないか。
「林田さんの部屋で興味深い点と奇妙な点が見つかったの。どちらがいい?」
「どちらも話してくれ。素人が現場を荒らすと危険だし、いくらアリバイがあるそうだといっても今や君も十分参考人の資格がある」
「興味深い点は、ノートパソコンの机の下の引き出しからは名刺があったわ。七色不動産株式会社川田直久。
名刺には携帯電話番号とメールアドレスも書いてある。
林田さんとの関係はわからない」
美都留は一息つくと「奇妙だと思うのは部屋に将棋に関するものが極端に少ないの。
パソコンのアプリやブックマークを調べても将棋に関するものが全く無かったわ。
メールソフトのアドレスも将棋の団体以外だと2人のアドレスしかなかったわ。一人は日時と場所だけ書いたような文面だし、もう一つは変態メールね」
美都留は顔を赤らめて、
「林田さんの押し入れにはSMグッズがあったわ。
メールボックスには『もう一度会えないか。断れば週刊誌に売り込んでもいいのだが』の内容だった」
「読まなくていいから」
吉川も顔を赤らめた。
「閲覧履歴を見てもファッション関係ばっかりだし本棚もファッション雑誌ばかり。
手紙も全日本女流棋士協会以外には住民税、固定資産税等の通知書だけだったわ。
将棋の雑誌は協会から送られる月刊誌最新号が一冊だけで、将棋盤だけはあったわ。
いくら林田初段が天才でも、将棋についてはAIソフトやコンピューターネットワーク研究が流行りの時代なのに将棋盤しかないというのも非常に奇妙よ」
美都留は前髪を触りながら、早口で瞳を輝かせて吉川を見上げた。
「あとコンタクトレンズや洗浄液も無いし予備の眼鏡も見当たらなかったの」
吉川は腕を組んだ。
「名刺の人物はこちらですぐ調べる。捜査の邪魔はしないこと」
吉川は、神戸オーハシポートホテルの焼死体は事故や自殺の可能性も否定できないものの遺書が無いことから、当日ホテルから失踪した林田が何らの関係があるのではないかと考えている。
吉川は林田の自宅を捜索するチームのリーダとして朝早くから林田の自宅に来た。
林田は神戸市垂水区の学園都市近辺の賃貸マンションに住んでいる。
神戸市営地下鉄の学園都市駅から徒歩で数分の利便性の良いマンションである。上の階なら淡路島や明石海峡大橋も望めるところだ。
朝9時から管理人や近隣に聞き込み捜査をしようとして林田のマンションのドアノブを回すと玄関ドアが開いた。
「林田さんですか」
吉川は驚き大声を発した。林田は自宅に戻っていたのか。
ノートパソコンの前に座っている人物が帽子とゴーグルとマスクを取るとツインテールの髪型と三島美都留の顔が現れた。手にはビニールの手袋をしている。
「パソコンや部屋は一通り調べたわ。
一階の大家さんには友人の林田さんと連絡が取れないので心配だといったら、ドアを開けてくれた。
全日本女流棋士協会にも
『友人の林田さんが心配で様子を見に行きたい』と言ったら、
林田さんの住所を教えてくれた。
部屋の現状を変えないように防護服をして部屋にも入ったから」
「林田さんとはプライベートで接点は無いはずだが。」
「部屋を調査して色々情報あるわよ。聞きたい?さあ中に入って」
吉川は憮然とした。
一番怪しいのは目の前の女流棋士じゃないか。
「林田さんの部屋で興味深い点と奇妙な点が見つかったの。どちらがいい?」
「どちらも話してくれ。素人が現場を荒らすと危険だし、いくらアリバイがあるそうだといっても今や君も十分参考人の資格がある」
「興味深い点は、ノートパソコンの机の下の引き出しからは名刺があったわ。七色不動産株式会社川田直久。
名刺には携帯電話番号とメールアドレスも書いてある。
林田さんとの関係はわからない」
美都留は一息つくと「奇妙だと思うのは部屋に将棋に関するものが極端に少ないの。
パソコンのアプリやブックマークを調べても将棋に関するものが全く無かったわ。
メールソフトのアドレスも将棋の団体以外だと2人のアドレスしかなかったわ。一人は日時と場所だけ書いたような文面だし、もう一つは変態メールね」
美都留は顔を赤らめて、
「林田さんの押し入れにはSMグッズがあったわ。
メールボックスには『もう一度会えないか。断れば週刊誌に売り込んでもいいのだが』の内容だった」
「読まなくていいから」
吉川も顔を赤らめた。
「閲覧履歴を見てもファッション関係ばっかりだし本棚もファッション雑誌ばかり。
手紙も全日本女流棋士協会以外には住民税、固定資産税等の通知書だけだったわ。
将棋の雑誌は協会から送られる月刊誌最新号が一冊だけで、将棋盤だけはあったわ。
いくら林田初段が天才でも、将棋についてはAIソフトやコンピューターネットワーク研究が流行りの時代なのに将棋盤しかないというのも非常に奇妙よ」
美都留は前髪を触りながら、早口で瞳を輝かせて吉川を見上げた。
「あとコンタクトレンズや洗浄液も無いし予備の眼鏡も見当たらなかったの」
吉川は腕を組んだ。
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