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第二十話
しおりを挟む勾玉のアクセサリーをしっかりと身に着けて大蛇の横をジャンプして乗り越えた。
そのまま一目散に鶴姫はダッシュした。
後ろを振り返るのが怖い。
聞いたことのないような咆哮が後ろで聞こえる。
右の通路を今度は左に曲がって入り口に向って更に走った。
角を横切るときに瞬間後ろを見たら、大蛇が鎌首を立てて体を左右にくねらせて猛スピードで後を追ってきている。
岩に大蛇の体があたるような音も聞こえる。
入口の明かりが見えてきた。
ただここからは上り坂だ。
足がもつれる。息が上がって早く走れない。しかし、こんなところで貧乳呼ばわりされる蛇に捕まるわけにはいかないわ。
「経好様っ。」
穴から紐が出ているのが見えた。
外から声が聞こえる。「鶴姫がこの紐につかまったら、一気に引き上げるぞ。」
大蛇の咆哮がすぐ近くまでになった。
坂を上りながら紐に手が届きそうになった。
左手に何か感触がある。
「鶴姫様が紐を持たれました。」
「よし、引き揚げろ。早くしろ。」
体が引き上げられる。
助かったと思ったら、大蛇の咆哮のあとで物凄い力で下に引っ張られた。
布が破ける音がした。
噛まれたのか。
後ろを見ると大蛇の冷たい眼が長襦袢をかみ砕いている。
鶴姫は全裸のまま再び紐で引き上げられる。
紐は左手だけ持っているに過ぎない。絶対離さない私の左手は。
鶴姫は、右手に持ったスマホのような物のアイコンを親指で操作をして大蛇女の眼に向けた。
何か光線のようなものが見えた。
劈くような声がして一瞬大蛇が後退する。
その隙に紐で鶴姫は引っ張り上げられ、入口で左手が男の手に触れて持ち上げられた。そのまま鶴姫は地上に戻った。
鶴姫が洞穴の隙間から全身が出た瞬間、洞穴の岩に大蛇の体が何度も当たる音と身の毛もよだつ咆哮の鳴き声が聞こえた。
経好がさっと鶴姫の体に着物を羽織らせた。
家来が歓声を上げる。
洞穴の入口の岩は地震のように物凄い振動だ。
しかし大蛇でもこの洞穴の岩々を破壊することはできなかった。
「経好様、赤龍の紋がある勾玉でございます。」
鶴姫は首飾りを誇らしげにイケメン大名に見せた。
「ありがとう。鶴姫。心配したぞ。本当によくやった。」
経好は鶴姫をきゅっと抱きしめた。
洞穴が静かになったと思ったらスマホの高機能集音装置から声が漏れた。
『貧乳女を許さん。高嶺山で必ず勾玉を取り返す。
ついでに大内という若い男も誘惑しておこう。何かの役に立つかもしれないからな。
勾玉が無いとすると人間に化けるのは一苦労だが大内を誘惑できれば女に化けられるかもしれないな。』
「大蛇と大内を相手にしないといけないのか。」
「次は高嶺山ね。」
鶴姫は経好の唇にそっと口を添えた。
経好一行は浮島の南の湊に戻った。
「経好様、高嶺山まで船と籠で移動します。途中の湊で補給しますので今夜は船の個室でお泊り下さい。」
家来が経好に報告している。
鶴姫は船の中の個室で行水をして身を綺麗にした。
「鶴姫、美しい。本当に美しい。
鶴姫のおかげで勾玉が手に入ったし、今宵は長い夜になりそうだ。鶴姫を抱きしめたい。」
ツインテールの髪を梳かした鶴姫は、小袖の下に透け透けの白襦袢を身に着け、一人で白粉と紅で中世のお姫様イメージの化粧をした。
令和のアヒル口と上目使いで誘惑ポーズを取ってイケメン大名に船の個室を案内された。
もう貧乳とは言わせない。
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