転部したら先輩が神だった

神河 斉

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幼馴染との別れ

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7月28日

とんでもないことが起きた。 凛人を推薦した幾つかのチームの中で、凛人を欲しいという高校が出た。
それは、北海道の超強豪の 私立高校だった。その旨と、監督の連絡先を伝えると、凛人はすぐさま連絡を取り、ある条件をつけ て編入することが決まった。そのあることというのが・・・ 


「結季を編入させること!?」


思わず驚いた。なんで?と思ったところに、凛人が

 「お前が、結季と一緒に・・・とかゆってたじゃねーか。それに、俺ら付き合ってるし。」 「・・・・え、う、は、はぁ?そんなの一言も聞いてないよ?え、ちょ、いつから?」 

「驚きすぎだろ。言ってなかったっけ?結構前から。そんなことより、去年全国2位のチームに編入 できるなんて信じられないぜ。さすがコウだな。ほんとありがとな。」

 ・・・なんだろう、この虚無感は。意識してなかったが、僕はやっぱり結季が好きだたんだろうか。 あまりのショックで、凛人の言葉にも
「あぁ、うん。気にしないで。」

 という生返事しかできなかった。2人とも北海道へ行くとしたら、もうぼっち確定だな・・・などと 思いつつ凛人との電話を切る。自分が推薦したとはいえ、まさか北海道に行くとは思ってはいなかった。その上結季までもがついていくと言う。
さらには、凛人と結季が付き合ってることを聞いた。そこまでたたみかけられるとさすがに響くものがあった。サッカーをやめたのが、2人の幼なじみを失うこ とにつながるなんて・・・柄にもなく後悔していると、いつもはピアノのせいで狭く感じる部屋が急に広くなったように感じた。

「よし。じゃ、頑張ってくるわ。コウも頑張れよ。」 
「あわわ、あー忘れ物ないかな。コウは体に気をつけてね。何かあったらでんわしてもいいんだ よー。盆と正月には返ってくるからねー。」 

「なんか、僕が一人暮らし始めるみたいな言い方じゃん。気をつけて、頑張って来いよ。」
  ここは、関西国際空港。9月から北海道での学校生活を始める2人の幼なじみを送りにきた。めんど くさい手続きも結季が済ませ、夏休み中には編入が正式に決まった。 さんざん泣いた。さんざん悩んだ。幼なじみとの別れがこんなにも辛いものだとは正直思ってなかった。

だからこそ、いつも通りの自分で見送ってやろうと思った。好きだった結季にもなかなか会えなくなる。そして、彼女は凛人のものだ。複雑な思いを抱きながら、エアコンのやけに冷たい風が吹く空港を後にする。
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