転部したら先輩が神だった

神河 斉

文字の大きさ
23 / 30
文化祭編

幼馴染がやばい

しおりを挟む
次の日、教室に入ると、そこには誰もいなかった。
元々家にいるのがあまり好きでないこともあって、いつもはある程度早く来る。今日に関してはしたいことも多くあって、大分早く家を出てきてしまった。まだ7時になったばかりということもあってか、廊下にはそこそこ涼しい風が吹いている。一晩中締め切られた教室の淀んだ空気を換えるために、窓という窓を開け放つ。
昨日の孔太の言ったことと自分の役割について反芻しつつ、何をするかを考えているとドアの方から、
「おはよー、海!今日も早いね!」
といつも通りの、女子にしてはすこし低いシャープな挨拶が聞こえてくる。
「お、おはよ。もうこんな時間か。」
と呟きながらドアの方に体を向ける。そこには笑顔の幼馴染が立っていた。

彼女は北野恵(きたのけい)、赤ちゃんの頃からの知り合いだ。
彼女の父親は俺の父との大学での同級生だったらしい。国会議員になったうちの親に対し、恵の親は県議会議員になった。今となっては副県知事。そんなこともあって、竹内家と北野家の交流は20年以上続いているらしい。お互いのしんどさがわかることもあって、恵は俺の数少ない理解者だ。

物心ついた時から彼女を知っているわけだが、ここまで可愛くなるとは思っていなかった。
何というか、ボーイッシュな可愛さ。少しくしゃっとしていて短い髪。目尻の上がった瞳。キリッとした表情をしていることが多く、見とれてしまうこともしばしばだ。
小さい頃から女顔がコンプレックスだった自分には憧れしかない。そんなこともあって、俺という1人称を使っているのだが、呆れるほどみんなに受け入れられない。何度、似合わないからやめてほしいと言われたことか。まぁいつも恵が男前に慰めてくれるのだが。


「今日はなんでこんなに早いの?」
恵は自分の席にカバンを置いてから俺の席に歩いてくる。
「色々考えなきゃなことがあってな。家じゃうるさくてなんもできないし。何しろ俺はこのクラスの頭脳だからな。」
そう言ってニコッと笑いかける。恵の横にいると自然に元気になれる。幼馴染というのはなかなかにすごいものだ。
「あ、そっか。海も大変だね。」
「もう、全くだ。」
そう返事して前を向くと恵がいない。振り向こうとした瞬間に両肩に鋭いのか鈍いのかよく分からない痛みが走る。今度こそ振り向くと真面目な顔をした恵が両肘を肩に乗せていた。

彼女には合気道の心得がある。小さい頃から毎日のように道場に通っていたらしい。その上、彼女は整体師を目指しており、たびたび研究と称する実験をしてくる。実際ある程度は良くなるのだが、これがとんでもなく痛いのだ。

「相変わらずべらぼうに痛いな。まぁ目が覚めてちょうどいい・・・ということにしとこう。」
「もう!せっかく体を心配してあげてるのに!もう知らないよ?」
そう言って、頬を膨らます彼女。女の子っぽい仕草はなかなか見ることができないので、もう少し見ておきたいところだが、生憎俺にそんな技術はない。せいぜい怒らせないようにするのが限界だ。
「ごめんごめん、いつもありがとね。」
あれ?いつもならこれでどうにかなるのに、表情が変わらない。この表情が続くのも悪くないと思ってそのままにしておくと、彼女の表情はどんどん曇っていく。
「なんかおごったげるから許してっ!」
「よっしゃ!粘り勝ちっ!」
文句を言おうとしたところで、みんなの視線を感じる。
気づくとクラスの3割くらいの人が笑いをこらえていた。
そこに孔太が爆弾を投下。
「ほんと仲良いよね。二人って。付き合ってたりしないの?それとも文化祭マジック?」
孔太の言葉にみんながこらえきれなくなる。
恵はニコニコしているし・・・。ほんとにひどい朝だ。
俺のため息は笑い声に埋め尽くされる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話

そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん! 好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。 ほのぼのラブコメというか日常系小説 オチなどはなく、ただひたすらにまったりします 挿絵や文章にもAIを使用しております。 苦手な方はご注意ください。

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

処理中です...