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第2章
頼む、やってくれ!
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オレたちは電車に乗って3つ先の駅に着いた。
「ホントにこの場所にいるのかよ、デザイアー?」
駅の周辺はちょっとした繁華街で賑やかだ。
「うん…多分いると思う」
デザイアーには解るのだろうか。
「スタジオって何処にあるんだ?」
「えっと…確かこの先に」
デザイアーが記憶を辿りながら歩く。
スタジオっていうからには、やっぱり芸能人なんかが出入りしてるのだろうか。
「あ…ここ」
ん?この建物か…
【フォトスタジオ XYZ】
ここで撮影してるのかよ。
そこは洋館のように、白亜の壁が印象的な外観だ。
「へー、ここに片野がいるってのか。んじゃ中に入るか」
「あ…私たちは中へは入れないよ」
じゃあ、中なら出てくるのを待つしかないって事なのか。
「あ…あれ」
デザイアーは隣の駐車場を指した。
いた!
駐車場の金網のフェンスにもたれ、物思いに耽っている片野がいた。
「悠…」
その声に気づくと、片野はバツの悪そうな顔をした。
「おぉ、片野!探したんだよ」
「何で来るのよ?恵が来るのはわかるけど、何でアンタが一緒に来るのよっ!」
オレ?
「だって、お前を探しにデザイアーと一緒に来たんだよ。なぁ、片野。頼むから、皆と一緒に文化祭やろうぜ」
「断る!」
「何でっ!」
「言ったでしょ、私はあんなシロートと一緒に芝居なんて出来ないの!」
「ねぇ、悠…そんな事言わないで、仲良くやろう…」
そうだよ、デザイアーだってこう言ってるんだし。
「イヤよ!何度言ったら解るの?あんな、おままごとみたいな劇に関わるつもりは無いの!」
「おままごとねぇ…まぁ、プロのお前からすればオレたちのやる事はおままごとかもしれないなぁ」
こればっかりは否定できない。
「でもさぁ、同じクラスなんだよ。皆がやろうとしてるんだから、少しぐらい手伝ってもいいじゃん」
「何を手伝うっていうの?冗談じゃないわ!」
ホントは芝居やりたいんだろうが。
「芝居やりたいんだろ?でも、今のままじゃとてもテレビに出られない。そうだろ?」
知ってるんだぜ、こっちは。
「な…何、テキトーな事言ってんの!アンタに何が解ると言うの!」
何故か解っちゃったんだよなぁ…
と言っても、いつ最近までコイツの名前すら忘れてたけどw
「お前さぁ、今悩んでるんだろ?子役のイメージが強くて、この先どういう役者になるか、それを考えると、恐いんだろ?」
「悠…悠は大丈夫だよ。きっといい女優になれる…だから、自信もって」
そうだよ、デザイアーの言う通りだ!
「勝手な事言わないで!何も知らないくせ!」
「そりゃ、知らねえよ!だって、オレはお前じゃないもん。じゃあ、お前はオレやデザイアーの事知ってるとでも言うのかよ?」
「て言うか、アンタの事、別に知りたくないし」
ありゃ…
「将来の事だけじゃねえだろ、不安なのは!」
こっからが本題だぜ~っ!
「な…何の事?」
「お前…役者なら、ちゃんと自己管理しろよな。この先は言わなくても解るよな?」
「…」
以前、梅が【あの娘、子役の頃と比べると随分と太ったわね】と言ったのを思い出し、もしやコイツは太る事を気にしてテレビに出ないのではないか、と思った。
多分、太りやすい体質なのだろう。
とは言え、それは本人が一番気にしてる事だし、ハッキリと言って傷つけるのも、アレだし。
ましてや思春期、色んな事に多感な時期だ。
ダイエットしろ!と言えばいいのだが、それは本人が1番よく解ってるはず。
だからオレは【自己管理】という言葉を使った。
梅は太ったと言うが、それはあくまでも子役だった頃と比べていただけで、実際はそんなに太ってはいない。
むしろ成長して、子供から大人の体型に変化していく過程故に、本人も太っていると思い込んでいるのだろう。
「あんまりゴチャゴチャ言うつもりは無いけど、いずれお前は芸能界に復帰するんだろ?なら、ブランクがあるんだし、リハビリみたいな感じで皆と一緒にやってみないか?」
オレって、良いこと言うよな~っ!
ダテにサラリーマンやってないんだ、こっちは!ウワハハハハハ!
「リハビリ?例えが悪すぎ!」
「…そ、そうなの?」
アチャー、怒らせちゃったかな?
「やるからには、徹底的にやるから!私の指導は厳しいけど、いい?」
「大丈夫だと思う…」
ホントかよ、デザイアー!
「要望があれば、何でも言ってくれ!何なら、カントクやってもいいし、脚本もキャスティングも全て片野に任せる!」
その方がいいだろう。
片野の表情が少し明るくなった。
「恵。主役やってくれる?」
「デザイアーが主役か。それはいいね!……って、デザイアーが主役かよ!」
マジかよ!
「…え、私が主役…?」
どんな内容の芝居になるんだろうか…?
「ホントにこの場所にいるのかよ、デザイアー?」
駅の周辺はちょっとした繁華街で賑やかだ。
「うん…多分いると思う」
デザイアーには解るのだろうか。
「スタジオって何処にあるんだ?」
「えっと…確かこの先に」
デザイアーが記憶を辿りながら歩く。
スタジオっていうからには、やっぱり芸能人なんかが出入りしてるのだろうか。
「あ…ここ」
ん?この建物か…
【フォトスタジオ XYZ】
ここで撮影してるのかよ。
そこは洋館のように、白亜の壁が印象的な外観だ。
「へー、ここに片野がいるってのか。んじゃ中に入るか」
「あ…私たちは中へは入れないよ」
じゃあ、中なら出てくるのを待つしかないって事なのか。
「あ…あれ」
デザイアーは隣の駐車場を指した。
いた!
駐車場の金網のフェンスにもたれ、物思いに耽っている片野がいた。
「悠…」
その声に気づくと、片野はバツの悪そうな顔をした。
「おぉ、片野!探したんだよ」
「何で来るのよ?恵が来るのはわかるけど、何でアンタが一緒に来るのよっ!」
オレ?
「だって、お前を探しにデザイアーと一緒に来たんだよ。なぁ、片野。頼むから、皆と一緒に文化祭やろうぜ」
「断る!」
「何でっ!」
「言ったでしょ、私はあんなシロートと一緒に芝居なんて出来ないの!」
「ねぇ、悠…そんな事言わないで、仲良くやろう…」
そうだよ、デザイアーだってこう言ってるんだし。
「イヤよ!何度言ったら解るの?あんな、おままごとみたいな劇に関わるつもりは無いの!」
「おままごとねぇ…まぁ、プロのお前からすればオレたちのやる事はおままごとかもしれないなぁ」
こればっかりは否定できない。
「でもさぁ、同じクラスなんだよ。皆がやろうとしてるんだから、少しぐらい手伝ってもいいじゃん」
「何を手伝うっていうの?冗談じゃないわ!」
ホントは芝居やりたいんだろうが。
「芝居やりたいんだろ?でも、今のままじゃとてもテレビに出られない。そうだろ?」
知ってるんだぜ、こっちは。
「な…何、テキトーな事言ってんの!アンタに何が解ると言うの!」
何故か解っちゃったんだよなぁ…
と言っても、いつ最近までコイツの名前すら忘れてたけどw
「お前さぁ、今悩んでるんだろ?子役のイメージが強くて、この先どういう役者になるか、それを考えると、恐いんだろ?」
「悠…悠は大丈夫だよ。きっといい女優になれる…だから、自信もって」
そうだよ、デザイアーの言う通りだ!
「勝手な事言わないで!何も知らないくせ!」
「そりゃ、知らねえよ!だって、オレはお前じゃないもん。じゃあ、お前はオレやデザイアーの事知ってるとでも言うのかよ?」
「て言うか、アンタの事、別に知りたくないし」
ありゃ…
「将来の事だけじゃねえだろ、不安なのは!」
こっからが本題だぜ~っ!
「な…何の事?」
「お前…役者なら、ちゃんと自己管理しろよな。この先は言わなくても解るよな?」
「…」
以前、梅が【あの娘、子役の頃と比べると随分と太ったわね】と言ったのを思い出し、もしやコイツは太る事を気にしてテレビに出ないのではないか、と思った。
多分、太りやすい体質なのだろう。
とは言え、それは本人が一番気にしてる事だし、ハッキリと言って傷つけるのも、アレだし。
ましてや思春期、色んな事に多感な時期だ。
ダイエットしろ!と言えばいいのだが、それは本人が1番よく解ってるはず。
だからオレは【自己管理】という言葉を使った。
梅は太ったと言うが、それはあくまでも子役だった頃と比べていただけで、実際はそんなに太ってはいない。
むしろ成長して、子供から大人の体型に変化していく過程故に、本人も太っていると思い込んでいるのだろう。
「あんまりゴチャゴチャ言うつもりは無いけど、いずれお前は芸能界に復帰するんだろ?なら、ブランクがあるんだし、リハビリみたいな感じで皆と一緒にやってみないか?」
オレって、良いこと言うよな~っ!
ダテにサラリーマンやってないんだ、こっちは!ウワハハハハハ!
「リハビリ?例えが悪すぎ!」
「…そ、そうなの?」
アチャー、怒らせちゃったかな?
「やるからには、徹底的にやるから!私の指導は厳しいけど、いい?」
「大丈夫だと思う…」
ホントかよ、デザイアー!
「要望があれば、何でも言ってくれ!何なら、カントクやってもいいし、脚本もキャスティングも全て片野に任せる!」
その方がいいだろう。
片野の表情が少し明るくなった。
「恵。主役やってくれる?」
「デザイアーが主役か。それはいいね!……って、デザイアーが主役かよ!」
マジかよ!
「…え、私が主役…?」
どんな内容の芝居になるんだろうか…?
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