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第2章
なんと言う、変わりよう!
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「片野、デザイアーがいないぞ!」
「えっ、恵いないの?」
もうすぐで出番なのに、何やってんだデザイアーは!
「おい、どうするよ?」
舞台の袖では、蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
「こうなったら、皆で手分けして探そう!」
一体何処へ行ったのやら…
まさか、逃げ出したとか?
「山本、あれもしかしてデザイアーか?」
龍也と一緒に校内を探していると、プールにデザイアーらしき人物が。
「あぁ、デザイアーだ。でも、何でプールに?」
「アイツ、水泳部だからな。とりあえずプールに行こう」
オレたちはプールに向かった。
プールサイドでデザイアーは膝を抱えて座っていた。
「おい、デザイアー。もうすぐ出番だ、行こう」
「…私、舞台に上がるのコワイ…」
参ったな、こりゃ。
「大丈夫だ。何かあっても、オレたちがフォローするから安心しろ」
デザイアーはその場を動こうとしない。
「…イヤだよ…私、行きたくない」
「山本、この際強引だけど、無理矢理連れていくしかない」
そうだな。
「デザイアー、行くぞ!」
オレと龍也はデザイアーの脇を抱えるようにして、体育館に連れて行った。
デザイアー、震えてるじゃないか…
何だか可愛そうになってきた。
「恵、何処行ってたの?」
「片野、やっぱりデザイアーは無理だ!こうなったら、お前が主役やるしかないよ」
デザイアーを連れてきたけど、こんな状態で舞台に上げるなんて、無理だ。
「ちょっと待ってて」
そう言うと、片野はバッグからタッパーを出した。
「おい、片野。それ何だ?」
タッパーには漬物らしき物が入ってる。
片野はニヤッとして、タッパーを開けた。
「ジャジャーン、奈良漬け~っ!」
ドラえもんのモノマネをしてるつもりなんだろうが、全く似てない!
「ナラヅケ…?何だそれ?」
「何だ、この匂い?」
奈良漬けを知らないのか?
「酒粕に漬けた漬け物だよ」
「酒粕?」
あ"っ!!
酒粕と言えば!
「まさか、片野!これをデザイアーに食べさせるってのか?」
片野は頷いた。
「ダメだよ、そんな事したらデザイアーは…」
コイツ、これが秘策だと言うのか?
「恵、これ食べてみて」
「何…漬け物?」
デザイアーは恐る恐る奈良漬けを一切れ食べた。
「あ…美味しい」
「恵、一切れだけよ!後は食べちゃダメだから」
片野はタッパーの蓋を閉じ、再びバッグにしまった。
「おい、片野。これって…ヤバくないか?」
泰彦が不安な表情を浮かべた。
しかし、片野は余裕の表情だ。
「さぁ、これが恵の真の姿よ!」
『真の姿~?』
そして、オレたちの出番となった。
【ただ今より、2年C組の催し物です。タイトルは、アイドルを目指せ!です】
…始まっちゃったよ…
『パチパチパチパチ…』
「ようこそ、ここへ~♪遊ぼうよパラダイス♪」
龍也がローラースケートを履いて、歌いながら登場した。
て言うか、モロに光GENJIなんだが。
すると、龍也はターンを決めた後、バク転をした。
『おぉ、スゲー!』
『キャーっ、カッコイイ!』
キレっキレで踊ってる。
アイツ、イキイキとしてるなぁ…
これで、つかみはOKだ!
「いや~、今日も良かったよセイヤ!」
泰彦の登場だ。
「ありがとう、ジャーマネ!それと、明日確かCMの撮影だったね?」
「そうだよ、セイヤ。明日からCMの撮影でワイハーへ行くんだ」
…泰彦w
「OK、ジャーマネ!ボクはアイドルだからね!CMでも何でも全力でやるよ」
「さすがセイヤ!そうだ、収録が終わったら、ザキんでシースーでもどうだい?」
「いいね、ジャーマネ!ボクはお寿司が大好きなのさっ!」
龍也wノリノリだな。
そして、舞台は暗転する。
次、デザイアーの出番だ…
「私、アイドルになりたいっ!」
デザイアー、ちゃんとセリフ言えてる…
表情もカンペキだ…スゲー…
これって、奈良漬けの影響?
「片野!デザイアー、セリフカンペキじゃん」
片野は当然、という顔をしている。
「だから言ったでしょ?恵は以前、ウチでウイスキーボンボンを食べて、笑い上戸になった事があったの。この前、金澤くんの家で甘酒飲んだ時もそうだったけど、あの娘はアルコールが入ると豹変するでしょ?それを利用したってワケ」
「いや、それを利用するって言っても、アイツ酒乱じゃないか!」
ヤバいだろ!しかも、バレたら大問題だぞ!
「そう、アルコールが入ると暴れるでしょ?そこで私は少量のアルコールが入ってる奈良漬を食べさせたの。あの程度なら暴れるって事は無いし、むしろ明るくなってハキハキとしてるでしょ?まぁ、あれが恵の本来の姿なんだけどね」
「少量なら、薬になるってワケか…」
何だか、マンガみたいだな。
「でも、あれが本来の姿ってのはどういう事だ?」
何かあったのかな、過去に。
「恵って、今はおかっぱ頭でボソボソと喋って暗い感じだけど、前は話好きで活発な子だったの」
…信じ難い話だ!
だが、舞台でのデザイアーはいつもとは真逆でイキイキしてる!
「じゃあ、何でそんな活発だったのが、ああやってコミュ障みたいになったんだ?」
そこが一番知りたいとこだ。
「それはね…あっ、そろそろ山本くんの出番よ!ほら、早く行きなさい!」
えっ、オレの出番?
ヤベーっ、急に心臓がバクバクしてきた!
オレ、先生役なんだよな…
よし、じゃあ行ってくる!
オレは教科書を持って舞台に出て行った。
「はい、静かに!それじゃ教科書の36ページを開いて」
オレ、セリフ棒読みじゃないよな?
それもそうなんだが、デザイアーの過去が気になって、気になって仕方ないっ!
「えっ、恵いないの?」
もうすぐで出番なのに、何やってんだデザイアーは!
「おい、どうするよ?」
舞台の袖では、蜂の巣をつついたような騒ぎだった。
「こうなったら、皆で手分けして探そう!」
一体何処へ行ったのやら…
まさか、逃げ出したとか?
「山本、あれもしかしてデザイアーか?」
龍也と一緒に校内を探していると、プールにデザイアーらしき人物が。
「あぁ、デザイアーだ。でも、何でプールに?」
「アイツ、水泳部だからな。とりあえずプールに行こう」
オレたちはプールに向かった。
プールサイドでデザイアーは膝を抱えて座っていた。
「おい、デザイアー。もうすぐ出番だ、行こう」
「…私、舞台に上がるのコワイ…」
参ったな、こりゃ。
「大丈夫だ。何かあっても、オレたちがフォローするから安心しろ」
デザイアーはその場を動こうとしない。
「…イヤだよ…私、行きたくない」
「山本、この際強引だけど、無理矢理連れていくしかない」
そうだな。
「デザイアー、行くぞ!」
オレと龍也はデザイアーの脇を抱えるようにして、体育館に連れて行った。
デザイアー、震えてるじゃないか…
何だか可愛そうになってきた。
「恵、何処行ってたの?」
「片野、やっぱりデザイアーは無理だ!こうなったら、お前が主役やるしかないよ」
デザイアーを連れてきたけど、こんな状態で舞台に上げるなんて、無理だ。
「ちょっと待ってて」
そう言うと、片野はバッグからタッパーを出した。
「おい、片野。それ何だ?」
タッパーには漬物らしき物が入ってる。
片野はニヤッとして、タッパーを開けた。
「ジャジャーン、奈良漬け~っ!」
ドラえもんのモノマネをしてるつもりなんだろうが、全く似てない!
「ナラヅケ…?何だそれ?」
「何だ、この匂い?」
奈良漬けを知らないのか?
「酒粕に漬けた漬け物だよ」
「酒粕?」
あ"っ!!
酒粕と言えば!
「まさか、片野!これをデザイアーに食べさせるってのか?」
片野は頷いた。
「ダメだよ、そんな事したらデザイアーは…」
コイツ、これが秘策だと言うのか?
「恵、これ食べてみて」
「何…漬け物?」
デザイアーは恐る恐る奈良漬けを一切れ食べた。
「あ…美味しい」
「恵、一切れだけよ!後は食べちゃダメだから」
片野はタッパーの蓋を閉じ、再びバッグにしまった。
「おい、片野。これって…ヤバくないか?」
泰彦が不安な表情を浮かべた。
しかし、片野は余裕の表情だ。
「さぁ、これが恵の真の姿よ!」
『真の姿~?』
そして、オレたちの出番となった。
【ただ今より、2年C組の催し物です。タイトルは、アイドルを目指せ!です】
…始まっちゃったよ…
『パチパチパチパチ…』
「ようこそ、ここへ~♪遊ぼうよパラダイス♪」
龍也がローラースケートを履いて、歌いながら登場した。
て言うか、モロに光GENJIなんだが。
すると、龍也はターンを決めた後、バク転をした。
『おぉ、スゲー!』
『キャーっ、カッコイイ!』
キレっキレで踊ってる。
アイツ、イキイキとしてるなぁ…
これで、つかみはOKだ!
「いや~、今日も良かったよセイヤ!」
泰彦の登場だ。
「ありがとう、ジャーマネ!それと、明日確かCMの撮影だったね?」
「そうだよ、セイヤ。明日からCMの撮影でワイハーへ行くんだ」
…泰彦w
「OK、ジャーマネ!ボクはアイドルだからね!CMでも何でも全力でやるよ」
「さすがセイヤ!そうだ、収録が終わったら、ザキんでシースーでもどうだい?」
「いいね、ジャーマネ!ボクはお寿司が大好きなのさっ!」
龍也wノリノリだな。
そして、舞台は暗転する。
次、デザイアーの出番だ…
「私、アイドルになりたいっ!」
デザイアー、ちゃんとセリフ言えてる…
表情もカンペキだ…スゲー…
これって、奈良漬けの影響?
「片野!デザイアー、セリフカンペキじゃん」
片野は当然、という顔をしている。
「だから言ったでしょ?恵は以前、ウチでウイスキーボンボンを食べて、笑い上戸になった事があったの。この前、金澤くんの家で甘酒飲んだ時もそうだったけど、あの娘はアルコールが入ると豹変するでしょ?それを利用したってワケ」
「いや、それを利用するって言っても、アイツ酒乱じゃないか!」
ヤバいだろ!しかも、バレたら大問題だぞ!
「そう、アルコールが入ると暴れるでしょ?そこで私は少量のアルコールが入ってる奈良漬を食べさせたの。あの程度なら暴れるって事は無いし、むしろ明るくなってハキハキとしてるでしょ?まぁ、あれが恵の本来の姿なんだけどね」
「少量なら、薬になるってワケか…」
何だか、マンガみたいだな。
「でも、あれが本来の姿ってのはどういう事だ?」
何かあったのかな、過去に。
「恵って、今はおかっぱ頭でボソボソと喋って暗い感じだけど、前は話好きで活発な子だったの」
…信じ難い話だ!
だが、舞台でのデザイアーはいつもとは真逆でイキイキしてる!
「じゃあ、何でそんな活発だったのが、ああやってコミュ障みたいになったんだ?」
そこが一番知りたいとこだ。
「それはね…あっ、そろそろ山本くんの出番よ!ほら、早く行きなさい!」
えっ、オレの出番?
ヤベーっ、急に心臓がバクバクしてきた!
オレ、先生役なんだよな…
よし、じゃあ行ってくる!
オレは教科書を持って舞台に出て行った。
「はい、静かに!それじゃ教科書の36ページを開いて」
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