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楽しい中2ライフ
オレたちだけでクリスマスパーティーやろうぜ!
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有馬記念の翌日は2学期の就業日だった。
この日のホームルームには、担任代理の北川と一緒に梅が教室に来た。
「えー、3学期からは佐伯先生が戻ってこられるが、今まで佐伯先生の代わりに国語の授業を受け持った綾野先生は来年から、このクラスの副担任として学校に残る事となった」
「マジで!」
「サヤカちゃん、学校に残るんだ?」
「バンザーイ!」
「静かにしろっ!では、綾野先生からも一言」
北川に促され、梅は改めて挨拶をした。
「今、学年主任の北川先生が仰った通り、3学期から副担任としてこのクラスを担当することとなりました。
皆さん、よろしくお願いします」
北川の前だからなのか、梅は就職活動をしている女子大生みたいなリクルートスーツに身を包んでいる。
「よろしくーっ!」
「来年もよろしくねーっ!」
「サヤカちゃん、卒業するまでこの学校にいてよ!」
『パチパチパチ』
「コラっ、先生に向かってサヤカちゃんとは何だ!」
「うるせーな、アイツ。さっさと消えろよ」
「てか、ジャマだよな」
ヒソヒソと北川をdisっている。
【キーンコーン、カーンコーン】
「いいか、明日から冬休みだが、間違っても問題を起こすんじゃないぞ!」
『はーい』
【起立!】
【気をつけ、礼!】
日直の号令で就業日が終わった。
北川はさっさと教室を出た。
「サヤカちゃん、明日は何時頃に行けばいいの?」
「オレら、何時でも構わないよ」
明日は梅の家でクリスマスパーティーを行う。
ホントにあれだけの人数を招待するのだろうか?
「そうねぇ、遅くならないようにしないとだから、お昼過ぎに来てくれるかな?」
90点取ったヤツら全員行くつもりなのだろうか?
「りょーかい!」
「それじゃ、皆で駅で待ち合わせしようぜ!」
「オッケー!」
「あ、オレたちもケーキとか買ってきた方がいいかもな」
「じゃあ、皆で金出してデカいケーキ買おうぜ」
「ところで、サヤカちゃんはどんな料理を作るの?」
料理出来るのかよ、ホントに?
「うーん、そうだなぁ…皆は何がいいかな?」
「オレ、七面鳥食ってみたい!」
「オレは美味い物なら、何でもいいよ」
「何でもいいよって、それが1番困るんだよなぁ?具体的にどういうのが食べたいのか、ちょっと皆の意見を聞かせて欲しいな」
そう言うと、梅は黒板に食べたい物を書いていった。
「オレ、肉が食べたい!」
「はい、吉田くんは肉ね」
梅が肉と書いた。
「七面鳥も肉だよな?」
「いいよーっ、それじゃ加藤くんは七面鳥ね」
肉の下に七面鳥と書く。
「オレ、よく知らないけど、イタ飯食ってみたい」
「イタ飯って何?」
「金澤くんはイタリアンね…イタ飯って、イタリア料理の事よ。ほら、イカ墨のスパゲティとかあるでしょ?後はピザとか、モッツァレラチーズを使ったサラダや料理なんかもあるわね」
更にその下にイタ飯と書き込んだ。
「うおーっ、腹減ってきた!」
「明日何も食わないで行こうっと」
「後は何が食べたいかな?」
「あっ、ティラミスなんかいいな!」
「牛島くんはティラミス?」
「あ、でもサヤカちゃんって、そんなに作れるの?」
食費だけでも、かなりの金額になるだろ。
「大丈夫よ、先生前にも言ったけど、料理は得意だし…あっ、そうだ!いい事思いついた!」
「何、何?」
「どうした、サヤカちゃん?」
梅はチョークを手にこちらを向くと、ニッコリと笑顔で話を続けた。
「私1人じゃ、料理をするのに時間が掛かるから、良かったら女子の何人か、手伝ってくれないかな?」
「えっ?」
「私たちが料理?」
女子達はザワついた。
「この中で料理した事ある人っている?」
すると、女子の中から何人か手を挙げた。
優希とデザイアーも手を挙げた。
「皆で一緒に料理しようよ!いいでしょ?料理した事ない人もどう?先生が料理の仕方教えるから」
成程な、それなら女子ともコミュニケーションを取れるし、距離を近づけるにはうってつけの機会だ。
「サヤカちゃん、それならオレたちもやるよ」
「そうだよ、女子だけじゃなく、オレたちも手伝うよ」
「賛成!」
「ありがとう!じゃあ、皆で一緒に料理しましょう!」
そんなワケで、招待されたヤツらは梅と一緒に料理をする事になった。
まぁ、オレは呼ばれてないし、無関係だ。
それにしても、龍也達は招待されて、オレだけ参加されないって、何だかイヤだな…
オレを含めて、90点以下なのは6人か。
やっぱり、オレと一緒でイヤな気分なのかな?
…思いついた!その連中とクリスマスパーティーやればいいんだよ!
金なら、昨日の有馬記念で儲けた180000円がある。
それでケーキやチキン、何ならティラミスだってたくさん買ってパーッとやろう!
場所は…ええっと、何処にしようか。
あっ、前回は龍也の家でやったんだ。しかも、デザイアーが酔っ払って散々だったんだよな。
今回はデザイアーもいないし、バレたらヤバいから酒は止めよう。
「はーい、オレいい事思いついた!」
「あれっ、山本くんどうしたの?」
「智、お前は招待されてないだろ」
「残念だったなぁ、山本!」
うるせー、バカヤロ!
「そんなんじゃないよ。サヤカちゃんとこに呼ばれなかった連中で、クリスマスパーティーやろうぜ!」
「ええっ!」
「集まるのかよ?」
「えっと、山本くん?どうしたの?」
フン、こっちにはコッチのやり方でパーッと楽しもう!
「オレ、ヒマだし参加するけど、何処でやるんだ?」
おっ、マサ!お前はかなり食いそうだな!
「私も」
えっと、あの女子は田中唯(たなかゆい)オレがこの中学に入学して、初めて隣の席になった女子だ。
アイツもオレと同じ88点で呼ばれなかった。
「じゃあ、私も」
次に手を挙げたのは、内海沙織(うつみさおり)コイツは少しヤンキーっぽい外見の女だ。
皆とは積極的に絡む事は無く、どっちかと言えば独りでいる事が多かった。
別に仲間外れにされてるワケでは無いが、個人行動が多く、謎な人物だった。
コイツも僅かの差で梅に招待されなかった。
「じゃあ、私も」
「はーい!」
「やろう、やろう!」
「よーし、じゃあオレたちだけでクリスマスパーティーをしよう!」
「場所は何処で?」
それが問題でもあるんだが…
いっその事、カラオケルームでやろうか。
この時代はカラオケルームが出来て間もない頃だし。
「私んちでやる?6人ぐらいなら、家に呼ぶ事出来るし」
沙織の家って、何処にあるんだ?
「いいけど、大丈夫なのかよ?」
「うん、大丈夫。でも、ケーキとか買うとなれはそれなりにお金必要でしょ?」
何言ってんだ、そんなもんオレに任せろって!
「それなら大丈夫。オレが全て費用を出すから」
「智が?」
「どうした、お前そんなに金持ちなのかよ?」
「いいから、いいから。じゃあ、オレたちは色んな物買って行こう」
「何買うの?」
「そりゃ、ケーキとかケンタッキーでチキン買ってコンビニでジュースとか買ってだから…皆で買いに行こう!」
「いいよーっ!」
「よし、じゃあ明日は内海の家に行く前に店に寄っていっぱい買おう!」
「山本くん、大丈夫なの?」
お前らは、梅の家で楽しくやってくれ、オレたち落ちこぼれは落ちこぼれ同士で楽しくやるから!
この日のホームルームには、担任代理の北川と一緒に梅が教室に来た。
「えー、3学期からは佐伯先生が戻ってこられるが、今まで佐伯先生の代わりに国語の授業を受け持った綾野先生は来年から、このクラスの副担任として学校に残る事となった」
「マジで!」
「サヤカちゃん、学校に残るんだ?」
「バンザーイ!」
「静かにしろっ!では、綾野先生からも一言」
北川に促され、梅は改めて挨拶をした。
「今、学年主任の北川先生が仰った通り、3学期から副担任としてこのクラスを担当することとなりました。
皆さん、よろしくお願いします」
北川の前だからなのか、梅は就職活動をしている女子大生みたいなリクルートスーツに身を包んでいる。
「よろしくーっ!」
「来年もよろしくねーっ!」
「サヤカちゃん、卒業するまでこの学校にいてよ!」
『パチパチパチ』
「コラっ、先生に向かってサヤカちゃんとは何だ!」
「うるせーな、アイツ。さっさと消えろよ」
「てか、ジャマだよな」
ヒソヒソと北川をdisっている。
【キーンコーン、カーンコーン】
「いいか、明日から冬休みだが、間違っても問題を起こすんじゃないぞ!」
『はーい』
【起立!】
【気をつけ、礼!】
日直の号令で就業日が終わった。
北川はさっさと教室を出た。
「サヤカちゃん、明日は何時頃に行けばいいの?」
「オレら、何時でも構わないよ」
明日は梅の家でクリスマスパーティーを行う。
ホントにあれだけの人数を招待するのだろうか?
「そうねぇ、遅くならないようにしないとだから、お昼過ぎに来てくれるかな?」
90点取ったヤツら全員行くつもりなのだろうか?
「りょーかい!」
「それじゃ、皆で駅で待ち合わせしようぜ!」
「オッケー!」
「あ、オレたちもケーキとか買ってきた方がいいかもな」
「じゃあ、皆で金出してデカいケーキ買おうぜ」
「ところで、サヤカちゃんはどんな料理を作るの?」
料理出来るのかよ、ホントに?
「うーん、そうだなぁ…皆は何がいいかな?」
「オレ、七面鳥食ってみたい!」
「オレは美味い物なら、何でもいいよ」
「何でもいいよって、それが1番困るんだよなぁ?具体的にどういうのが食べたいのか、ちょっと皆の意見を聞かせて欲しいな」
そう言うと、梅は黒板に食べたい物を書いていった。
「オレ、肉が食べたい!」
「はい、吉田くんは肉ね」
梅が肉と書いた。
「七面鳥も肉だよな?」
「いいよーっ、それじゃ加藤くんは七面鳥ね」
肉の下に七面鳥と書く。
「オレ、よく知らないけど、イタ飯食ってみたい」
「イタ飯って何?」
「金澤くんはイタリアンね…イタ飯って、イタリア料理の事よ。ほら、イカ墨のスパゲティとかあるでしょ?後はピザとか、モッツァレラチーズを使ったサラダや料理なんかもあるわね」
更にその下にイタ飯と書き込んだ。
「うおーっ、腹減ってきた!」
「明日何も食わないで行こうっと」
「後は何が食べたいかな?」
「あっ、ティラミスなんかいいな!」
「牛島くんはティラミス?」
「あ、でもサヤカちゃんって、そんなに作れるの?」
食費だけでも、かなりの金額になるだろ。
「大丈夫よ、先生前にも言ったけど、料理は得意だし…あっ、そうだ!いい事思いついた!」
「何、何?」
「どうした、サヤカちゃん?」
梅はチョークを手にこちらを向くと、ニッコリと笑顔で話を続けた。
「私1人じゃ、料理をするのに時間が掛かるから、良かったら女子の何人か、手伝ってくれないかな?」
「えっ?」
「私たちが料理?」
女子達はザワついた。
「この中で料理した事ある人っている?」
すると、女子の中から何人か手を挙げた。
優希とデザイアーも手を挙げた。
「皆で一緒に料理しようよ!いいでしょ?料理した事ない人もどう?先生が料理の仕方教えるから」
成程な、それなら女子ともコミュニケーションを取れるし、距離を近づけるにはうってつけの機会だ。
「サヤカちゃん、それならオレたちもやるよ」
「そうだよ、女子だけじゃなく、オレたちも手伝うよ」
「賛成!」
「ありがとう!じゃあ、皆で一緒に料理しましょう!」
そんなワケで、招待されたヤツらは梅と一緒に料理をする事になった。
まぁ、オレは呼ばれてないし、無関係だ。
それにしても、龍也達は招待されて、オレだけ参加されないって、何だかイヤだな…
オレを含めて、90点以下なのは6人か。
やっぱり、オレと一緒でイヤな気分なのかな?
…思いついた!その連中とクリスマスパーティーやればいいんだよ!
金なら、昨日の有馬記念で儲けた180000円がある。
それでケーキやチキン、何ならティラミスだってたくさん買ってパーッとやろう!
場所は…ええっと、何処にしようか。
あっ、前回は龍也の家でやったんだ。しかも、デザイアーが酔っ払って散々だったんだよな。
今回はデザイアーもいないし、バレたらヤバいから酒は止めよう。
「はーい、オレいい事思いついた!」
「あれっ、山本くんどうしたの?」
「智、お前は招待されてないだろ」
「残念だったなぁ、山本!」
うるせー、バカヤロ!
「そんなんじゃないよ。サヤカちゃんとこに呼ばれなかった連中で、クリスマスパーティーやろうぜ!」
「ええっ!」
「集まるのかよ?」
「えっと、山本くん?どうしたの?」
フン、こっちにはコッチのやり方でパーッと楽しもう!
「オレ、ヒマだし参加するけど、何処でやるんだ?」
おっ、マサ!お前はかなり食いそうだな!
「私も」
えっと、あの女子は田中唯(たなかゆい)オレがこの中学に入学して、初めて隣の席になった女子だ。
アイツもオレと同じ88点で呼ばれなかった。
「じゃあ、私も」
次に手を挙げたのは、内海沙織(うつみさおり)コイツは少しヤンキーっぽい外見の女だ。
皆とは積極的に絡む事は無く、どっちかと言えば独りでいる事が多かった。
別に仲間外れにされてるワケでは無いが、個人行動が多く、謎な人物だった。
コイツも僅かの差で梅に招待されなかった。
「じゃあ、私も」
「はーい!」
「やろう、やろう!」
「よーし、じゃあオレたちだけでクリスマスパーティーをしよう!」
「場所は何処で?」
それが問題でもあるんだが…
いっその事、カラオケルームでやろうか。
この時代はカラオケルームが出来て間もない頃だし。
「私んちでやる?6人ぐらいなら、家に呼ぶ事出来るし」
沙織の家って、何処にあるんだ?
「いいけど、大丈夫なのかよ?」
「うん、大丈夫。でも、ケーキとか買うとなれはそれなりにお金必要でしょ?」
何言ってんだ、そんなもんオレに任せろって!
「それなら大丈夫。オレが全て費用を出すから」
「智が?」
「どうした、お前そんなに金持ちなのかよ?」
「いいから、いいから。じゃあ、オレたちは色んな物買って行こう」
「何買うの?」
「そりゃ、ケーキとかケンタッキーでチキン買ってコンビニでジュースとか買ってだから…皆で買いに行こう!」
「いいよーっ!」
「よし、じゃあ明日は内海の家に行く前に店に寄っていっぱい買おう!」
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