41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
88 / 96
楽しい中2ライフ

1991年

しおりを挟む
年が明けて1991年になった。

正月と言っても特に何もやる事はない。


宿題はまだ何もやってない。


勉強するって気分じゃないしな。

じゃあ、素振りでもしようか…

いや、さすがに正月は休もう。


ならばゲームか。

この年代のゲームは散々やったし、今のオレには懐かしさしかない。

いくら最新と言われても、もっと最新で高度なゲームをやっていたから、子供騙しみたいなゲームにしか感じない。



あぁ、ヒマだ。

ふと横を見ると、ポメ夫はいつものようにベッドでひっくり返ってグーグー寝ている。


…コイツが羨ましい。
こんなに何時間も寝れるなんて。

他にやる事は無いのか…



「今日は晩御飯いらないから。それじゃ行って来まーす!」

ドアの向こうでは、アネキの声がする。


この頃、オトコを取っかえ引っ変えしていた。

まだJKの分際でアッシーくんや、メッシーくんなんてのもいた。



まだバブル崩壊前だから、浮かれているんだろう。


バブル崩壊と同時にアネキのオトコ遍歴も落ち着いた。


アネキは高校を卒業すると、女子の短大に入学してその後は一般企業に就職する。


28才の時、職場の上司と結婚。

1女1男の母になる。


この長女がクソ生意気なんだよな。


「オジサン、ママに聞いたけど、私と同じぐらいの年は全く勉強出来なかったんだってw」


事ある毎にオレをdisってきやがる。

それもこれも、アネキが余計な事を吹き込むからだ。


阿莉砂はパパっ子だから、そんな長女の事を嫌っている。


「パパ、私あの人嫌い!だってパパの事バカにしてるんだもん」


阿莉砂はいい子に育ってくれた。




そんないい子と会えるのはいつになるのやら…





いや、そんな事を考えても仕方ない。

オレは決めたんだ。今を楽しもうと。


いずれ、元の世界に戻るだろう。

その時にここで悔いのない生活を送ろうと決めたんだ。




居間でおふくろの声がした。

「智、電話よ!」



電話?一体誰だろう?


「誰から?」

どうせまた龍也達だろう。


「アンタ綾坂先生って、佐伯先生の代わりに国語の授業やってる先生だっけ?」

ん、梅から?

何で梅がオレの家に電話かけてくるんだよ。

イヤな予感がする。


受話器を取った。


「はい、もしもし」

【ねーねー、ヒマでしょ?】


第一声がそれかよ!


「ヒマじゃない、切るぞ」


【わー、ちょっとちょっと待った!】


「何だよ、一体?」


【ほら、前に私の家見てみたいって言ってたでしょ?良かったら、今から来ない?】


「は?」

【いや、だから家に来ないって言ってるの。どうせヒマなんでしょ?】


そんな事で電話掛けてくるなよ。

話なら、直接オレの心に話せばいいのに、何でまた電話なんて…


「じゃあ、今から龍也達に行けるか聞いてみるよ」


【あぁーっと、今日は金澤くん達は呼ばなくていいかも…】

ん?一体どういう事?


「何だよ、アイツら呼ばくていいのかよ?」


【うーん、ちょっと…ね。で、どうする?来るの、来ないの?】


何、この彼氏彼女みたいな会話は?


「そもそも、オレ一人で行って何するんだよ?」


【いや、ほら!そうだ、私がご飯作るから食べに来ない?何か食べたいのあるでしょ?】


龍也達は、梅が作る料理は美味いって言ってたっけ。


「イカスミパスタとか、そんなのも大丈夫なの?」


【うんうん、任せて!どう、来る?】


何か企んでないだろうか?


「つーか、本来の目的は何だよ?」

オレ一人ってのが引っ掛かる。


【いや、何もないのよ…ただ、この前呼ばれなかったから、呼んでみようなかぁって】


「それは、オレがテストで90点取れなかったからだし、約束は約束だろ?」


【んー、まぁいいじゃん!ね?】


「ったく…オレはそういう抜け駆けみたいな事はしたくないんだよ」


【いいじゃないの、黙っていれば判らないんだし、ねっ】


「ホントの理由は何?」


【何も無いわよ!ただ呼んでみたかっただけだってば】


どうすっかな…

ヒマだしなぁ。

その前にポメ夫にも聞いてみるか。


「とりあえず、ポメ夫にも聞いて何の問題も無かったら行くよ」


【えっ!ちょ、ちょっと待ってよ!何で部長に聞くの?これは個人的な事なんだし、部長には関係無いでしょ!】


…怪しい!


「個人的な事なら、別に今じゃなくても、学校で話せばいいだろ。それに、話だけならオレの心の中で会話出来るだろ」


【もう、それだけじゃ伝わらない話もあるでしょう!】


「わかったわかった!じゃあこれから行くよ」


【ホント?じゃあ待ってるね】


【ガチャっ、プープープーっ…】


何だコイツ、すぐに切りやがって!




「オレ、これから出掛けるから」

居間でテレビを観ていたオヤジとおふくろに声を掛けた。


「何だ、これからかよ。先生から電話があったって事は、お前また何かやったのか?」


「しかも、正月に電話がくるなんて、よっぽどの事をやったんでしょ?」


ただでさえ、どうしようもないバカ息子だと思われてるのに、これじゃ何も言えないじゃないか!


「違うよ、先生が特別に勉強を教えてくれるって、オレたちに連絡してきたんだよ!」

嘘も方便だ。


「あら、こんな時に勉強を教えてくれるって、いい事じゃないの!行ってらっしゃい!」


「そうだ、さっさと先生のとこへ行け!」


…手のひら返しかよ!



かくして、オレは梅の家に行くのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...