41才の中学二年生(改訂版)

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1991年

最終回 嗚呼、愛しき中2ライフ

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結果的に言うと、オレは数学だけ86点で残りの教科は90点をクリアした。


ダメだった。



あぁ、もう真奈美や阿莉砂には会う事が出来ない。






「合格だポメ」


「は?」


何だって?



「お前を元の世界に戻してやろうポメ」


「何でだよ、だって全科目クリア出来なかったんだぜ」


何だこの変わりようは。


「お前は十分努力をしたポメ。元々徳を積めなんて言ったが、人間そうそう徳を積む事がなんて出来ないポメ」


「じゃ、じゃあ何が目的でオレを中2に?」


するとポメ夫の背後にジジイと茶坊主が現れた。


「ゲッ、お前ら!」


「フォッフォフォフォフォフォ、お主は相変わらずだのう」


「山本智さん、私わかります(^-^)」


一体これは?



「お前はこれと言った努力もせずに大人になったポメ。だが、それは本当の成長とは言えないポメ。
そこで我々はお前に努力をして欲しく、中2に戻したんだポメ」


「何ぃ~っ!」


努力だと?そんなもん、他のヤツらだっていっぱいいるんじゃないか!


「ちょっと待て!努力だと言うが、他のヤツらもこれと言った努力はしてないだろ!それなのに何でオレだけこんな目に遭うんだ!」



すると、ヤツらは爆笑した。


「そりゃそうだポメw何せ、今回も山本智(やまもとさとし)ではなく、山本智(やまもととも)と間違えたんだポメw」


「フォッフォフォフォフォフォ!」


「笑っちゃいますね(^-^)」



またかよ…また勘違いなのかよ…



「おい、テメーら」


「まぁまぁ、あちき達も間違いはあるんだし、今回は元に戻すという事で水に流してくれだポメ」




「ふざけるなぁ~っ!!1度ならず2度もオレをこんな世界に!
テメーら、ボッコボコにしてやる~っ!」




「おっと、そうはいかないポメ」


すると、ヤツらは宙に浮いた。


「な、何だ、これは!」



そして、それぞれ呪文を唱えた。


「ポメポメポーメ、ポーメポメ」


「んだな、んーだな、んーだなーち!」


「ホンダラコンダラ、ハニャマニャヒー」



突如、空が光った!


「うわーっ!何だ、眩しい!何も見えない」



そこから先は覚えてない。












「…長、山本課長!」


ん?



はっ、ここは…


「課長!どうしたんですか、寝不足ですか?」


「え?」


あっ、戻ってる!


て事は、ここは会社か!



「あ…いや、ちょっと…お恥ずかしいな」



これは夢じゃなく、現実だよな。




「ちょっと、トイレ行ってくる」



ホントに元に戻ったのか、確認したい。


トイレで鏡に映る自分の姿を見た。


「おっ、ホントだ!元に戻ってるぞ!」


はぁ~、ようやく元に戻れた…


随分と長い時間が経ったような気がする。



でも、またアイツらが来るんじゃないだろうな。


いや、それはもうないだろうな。




思い起こせば、楽しかったような、最悪だったような。



いや、何も言うまい。


2回も中2に戻れたんだ、普通なら有り得ない事なんだし。



とにかく、オレは今を生きよう!










「ただいま~」



「おかえり~、パパ!」


おぉ、阿莉砂!


久しぶりに見る娘の笑顔!


あぁ、戻って良かった。



「おかえりなさい。夕飯にします?それとも先にお風呂にする?」


おっ、真奈美!


「んー、とりあえずメシでも食うかな」



我が家が1番だ!




「グゥ、ワンワンワン!」


「おぉ、シバオ!元気にしてたか?」


相変わらずだな、こいつは。


ポメ夫じゃないよな?


いや、そんな事はないか!




「そう言えばねぇ、先程お隣さんが引越ししてきて挨拶に来たのよ」


「へー、隣に。どんな人だった?」


「うーん、まだ奥様しか見てないんだけど、随分と派手な人だったわね」


「派手ねぇ」


何故か梅を思い出した。


梅はあれからどうしたんだろう。

人間になって、教師として新たな道を歩む事になったが、その後の事は知らない。


龍也や泰彦、チャッピーに謙司、優希やデザイアー、悠。

皆はどうしてるんだろう。


予定通りの道を歩んだのか、それともまた違った道を歩んだのか。


まぁ、元気でいればそれでいいかな。







ピンポーン!



「あら、こんな時間に誰かしら」

妻が玄関に行った。



「お、今日はトンカツか」


「そうだよ。パパ、トンカツ好きだよね」


そう、オレはトンカツが大好物なのだ。


「ちょっと、パパ来てくれる!」


「何だよ、せっかく食べようとしたのに」

ヤレヤレと思い、席を立った。



「どうしたの?」


「あ、パパ。先程挨拶に来たお隣さんから頂いたんだけど」


「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます」


中々高級そうなお菓子の詰め合わせだ。



「はじめまして。隣に引っ越してきた綾坂です。よろしくお願いします」


ん?



「ゲッ!!」


「パパ、どうかしたの?」


「い、いや…何も。はじめまして。山本です。これからよろしくお願いします」


梅じゃないか!


何で?何で梅が隣に越してくるんだよ!





「はじめまして」


まさか…


「私、綾坂ひろし言います!山本さん、よろしくお願いします」


「あの、ウチの主人です」


茶坊主じゃねえかよ!


梅と茶坊主が夫婦だと!




この先、どうなっちまうんだよ!





~完~
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