41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

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1990年だと?

何だ、このヘアバンドみたいなのは?

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要は、その徳とやらを積めば、元の世界に戻れるというワケか…


【左様。お主が短期間で徳を積んだら、元に戻してやろう】


ホントかよ…見た目と一緒で胡散臭い話だな。


「じゃあ、例えば1日で徳を積んだら、ソッコーで元に戻してくれるんだろうな?」


【このバカもんが!徳なんてもんは、1日やそこらで身に付くもんではないわい!】


コイツはバカか?という表情を浮かべていやがる。

「なぬっ?…よし、決めた!オレ、今から修行僧になる!毎日滝に打たれて、座禅組んで写経読んで、ついでに米粒にも写経書けるぐらいの修行僧になってくるから、それならいいだろ?」


【おい】

「何だよ?オレは忙しいんだ!今から寺に行って修行してくるんだよ」


ゲーム機とマンガをバッグに詰め込んだ。


【お主はホントに41才か?41にしては、あまりにも幼稚な考えを持った男じゃの~…何が、今から修行僧になる、じゃ!お主は今、中学2年生なんじゃぞ!

しかも寺に修行しに行くと言いながら、何でそんな物を持っていく必要があるのじゃ!

全く…よくもまぁ、そんな幼稚な考えで今まで生きてきたもんだのぅ、ある意味感心するわぃ】


…うっ!そう言えば、妻や娘にもよく言われる事がある…


「パパって、何でそんなに子供っぽいの?」

とか、

「ほら阿莉紗…パパったら、また子供みたいにして~」

あぁ~、イヤだイヤだ!


「じゃあ、これから学校に通えばいいって事か。あ、そうだ!おいジジイ、もしこのまま元に戻らなくなったら、未来は変わってしまうんじゃないのか?」


オレが一番懸念している事はそれだ!一体、どう変わってしまうのか、気が気でならない…


だってこのままだと、未来が変わって、妻や娘とは会わない可能性もあるワケだよな?


【勿論じゃ。あの家庭を取り戻したかったら、徳を積めぃ!】


偉そうに、クソジジイ!

「…だってオレ、徳積んでなくても、ああやって家庭を築いてんだぞ!別に徳を積まなくったって、いいじゃないか!」


危ねぇ、危ねぇ。
うっかり、このジジイの口車に乗るとこだった。


【お主は何も解っとらんな!よいか、徳を積まない限り元には戻らん!よって、お主の頑張り次第で未来が左右されるのじゃ!】


マジかよ~っ!オレの行動次第で未来が変わるのかよ…


「だから、何でその役目がオレなんだよ?他にもいっぱいいるだろ?オレよりもっともっと、徳を積まなきゃならないヤツらが!」


…オレは確かに、ろくでもない人生を送ってきたが、犯罪に関わる様な事は、何一つやってない!


ごく平凡に生きて、ごくごく普通に過ごしてきたのに、何で、こんな目に遭わなきゃならんのだ…


【う~ん、お主の言う事にも一理あるのぅ】


「ならば、ソイツらに変更しろよ!何で、オレじゃなきゃダメなんだよ?」

するとジジイは、歯切れの悪い言葉を口にする。

【…うむ、実はの。ワシもお主を中2に戻すように、って上の者から言われての…】

何?上の者?

「何だ、その上の者って?ジジイ!テメー、仙人だろうが!
仙人に上も下もあるのか、このインチキヤローが!
だからそんな、胡散臭い格好してんのか。だったら、上の者ここに呼んでこい!オレが説教してやる!全く」

冗談じゃねえ、責任者をここへ呼べ!

【バカもん!何が説教じゃ!ワシがお主を説教する立場じゃぞい!】


…徳だの、上の者だのって、もうワケが解らなくなってきた…


あぁ…帰りてぇよ~、2017年に~っ!


【という事じゃ、
お主はある意味選ばれた人間なんじゃ!
その選ばれた人間が、未来を変える事が出来る!よく考えてみるがいい!お主の中学高校時代を薔薇色に変えてみたいと思わんか、んん?】


薔薇色か…

そうだよな…今思えば、学生時代はいい思い出は無かったよなぁ~…


「やい、ジジイ!今からオレが、薔薇色の中学時代、黄金の高校時代、そして、神の大学時代に変えてやる!それなら、文句は無いよな?」


そうだ!よく考えたら、オレは未来を予想できる人物じゃないか!


しかも、歴代の予言者よりも、100%的中する予言者じゃん!


ウハハハハ!


【こりゃ!】


ボコッ!

ゲッ!杖で頭を叩きやがった!


「痛え~っ!杖で殴るな、クソジジイ!」


【お主はこれからの間、未来を予言してはならん!もし予言する時、この輪がお主の頭を締め付ける。ほれっ】


オレの頭に細くて白い、ヘアバンドの様な輪っかを被せた。


「おい!何だ、このヘアバンドは?」


【これは、お主が良からぬ事を予言したり、何か悪さをする時、この輪がお主の頭を締め付けるようになっておるのじゃ】


こんな輪っか付けて、学校に通えるかよ!

「ざけんな、ジジイ!こんな輪っかいらねえよ!」


輪っかを外そうとした瞬間、頭がギリギリギリギリ、と締め付けられた!


「うぎゃ~っ!痛え!頭が痛え!」

あまりの痛さに、のたうち回った!

【フォッフォッフォッ…その輪は外れんようになっておる。よいか!お主は良からぬ事を考えずに、徳を積む事だけを考えるのじゃ、解ったな!】


…そしてドロン!と煙と共に消えて行った。


…何だよこれ?孫悟空の輪っかと一緒じゃねえかよ…


て事は、あのジジイは三蔵法師か?


それにしても、頭痛かった。


「あっ、ヤベッ!遅刻する!」


オレは数十年振りに学ランに着替え、家を出た。


…えっと…中学校って、何処にあったっけ?
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