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今度はこっちから仕掛けてやる!
銭湯に行けばいいじゃん
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放課後、オレはいつものように部活をサボり、西日のさす教室で一人、優季を待っていた。
優季はソフトボール部に所属、ポジションはサード。
優季に野球を教えたのは、何を隠そうオレだ。
幼稚園の頃、友達と近所の公園で、ゴムボールにグラブとプラステック製のバットを持って、野球をしていたのを、優季が遠くのベンチで座りながら、見ていた。
そして【私も打ちたい】と言い出したのがきっかけだ。
オレはバットの持ち方やスイング、キャッチボールの時は、相手の胸元目掛けて投げる事等を教えた。
小学生になると、オレは少年野球チームに入った。
優季も入りたかったらしいが、女子は入れないという事に加え、優季の母親が猛反対し、チームに入れなかった。
だが近所に住むオレたちは、練習が無い日は優季に素振りやキャッチボール、ノックをした。
そのせいか、優季はメキメキと上達した。
優季がサードのポジションにこだわるのも、オレの影響らしい。
オレはチームではサードを守り、打順は5番だった。
自分で言うのも何だが、チーム内では上手な方であった。
そのオレから教わるから、どうしても守備的な教え方は、サードの動きになってしまう。
やがて高学年になると、身体の成長により、互いに意識し始めた。
この辺りから、優季とは距離を置き始めた。
その時期、オレは試合中に、デコボコのグランドでサードゴロを捕球しようとした際、ボールがイレギュラーし、右目を直撃。
それが原因で視力が低下し、オレは野球を止め、中学に上がった時、野球とは関わりを持たないよう、サッカー部に入部した。
逆に優季は、中学でソフトボール部に入部すると頭角を現し、あっという間にサードのポジションを獲った。
もし、あのまま野球を続けていたら、どうなっていたのだろうか?
大人になっても、そんな夢を見る事が多かった。
教室の時計に目をやると、5時を回っていた。
そろそろ優季が、教室に戻ってくる時間だ。
机の上に足を放り出し、優季が来るのを待っていた。
教室のドアが開いて、優季が入ってきた。
開口一番、
「さっちゃん態度悪すぎ!偉そうに、足なんか放り出して!」
早速、小言を言われた。
「誰もいないから、いいんだよ。それよか、お前に話があって残ってたんだよ」
優季は首筋が汗ばんでいた。
初夏という事もあり、ちょっとの運動で、汗が毛穴から吹き出る程のジメっとした、湿気の多い時期だ。
「なぁに、待ってたのって?」
怪訝そうな顔でバッグの中を整理して、帰り支度をしていた。
「宇棚の事なんだけど。アイツ、何か変じゃないか?何から何まで異様というか、挙動不審っぽくないか?」
オレがもし警官なら、有無を言わさず職務質問をするだろう。
「別に。ちょっと物覚え悪いかなって思うけど、真面目な方よ、誰かと違って」
誰かと違ってねぇ…そりゃ、オレの事じゃん!
「誰かって、オレの事だろうが。まぁいいや。たまには一緒に帰ろうぜ」
バッグを手にし、一緒に教室を出た。
帰り道、オレと優季は色んな話をした。
どこでメガネの話題を出そうか、伺っていた。
「さっちゃん、宇棚くんと何かあるの?」
不意に優季が聞いてきた。
「アイツがメガネ外したところを見てみたいんだよ。あいつ何があっても、絶対にメガネを外さないからな」
あのメガネをどうやったら外せるのか、その事で頭がいっぱいだった。
「それがどうしたの?メガネ外そうが外さないが、さっちゃんに関係あるの?」
そりゃ、ごもっともだ。でも、ホントの事を言えないし…
何て言えば、いいんだろうか?
「いや、アイツどっかで見かけた事あるんだよ。多分メガネを外せば分かると思うんだけど、なかなか外さないから、お前がアイツにメガネ外してみて、って言ってくれないだろうか?」
メガネを外す、大義名分が欲しいだけなんだが。
「私が言うの?直接宇棚くんに言えばいいじゃん」
「オレも、何度かメガネ外してくれって頼んだけど、絶対に外さないんだよ。その点優季だと、アイツはホイホイと外すだろうから」
茶坊主は優季の顔眺めて、ニターっとして気がありそうな感じがするから、頼めばすぐに外してくれるに違いない。
「何で私だと、簡単に外すの?」
「そりゃ、お前…アイツは、お前の事好きだと思ってるぞ」
「ゲーッ、マジ?」
さすがの優季も、一瞬嫌な表情をした。
夕暮れ時、蒸し暑い通学路を歩きながら、どうにかしてメガネを外してくれるよう、優季に頼んだ。
「頼む!一回だけでいいんだ。何なら、ここで土下座してもいいから!」
オレはアスファルトにおでこを擦り付け、土下座した。
「ちょっと!止めてよ!恥ずかしいじゃない!」
優季はオロオロしている。
「頼む優季!メガネ外すように言ってくれ!そしたら、何でも言うこと聞くから!」
土下座のまま、再度頼んだ。
優季は立ち止まって、どうしていいか解らない様子だ。
「さっちゃんさぁ…それなら一緒に銭湯に行こう、とか言ってみれば?さすがにお風呂に入る時ぐらいは、メガネ外すでしよ?」
あっ、そうか!銭湯か!
「何だ、そうか!あぁ、土下座して損した!よし、アイツを銭湯に誘おう!」
その手があった!何で気づかなかったんだ、オレは!
「何よ、損したって?」
優季はポカーンとしている。
「んじゃ、そういうワケだ!またな~っ!」
家まで走って帰った。
こうなりゃ、優季には用は無い!
要は、アイツと銭湯に行けばいいだけの事だ!
…それにしても、身も心も中2になりつつある。
実年齢が41才だという事を忘れていた…
優季はソフトボール部に所属、ポジションはサード。
優季に野球を教えたのは、何を隠そうオレだ。
幼稚園の頃、友達と近所の公園で、ゴムボールにグラブとプラステック製のバットを持って、野球をしていたのを、優季が遠くのベンチで座りながら、見ていた。
そして【私も打ちたい】と言い出したのがきっかけだ。
オレはバットの持ち方やスイング、キャッチボールの時は、相手の胸元目掛けて投げる事等を教えた。
小学生になると、オレは少年野球チームに入った。
優季も入りたかったらしいが、女子は入れないという事に加え、優季の母親が猛反対し、チームに入れなかった。
だが近所に住むオレたちは、練習が無い日は優季に素振りやキャッチボール、ノックをした。
そのせいか、優季はメキメキと上達した。
優季がサードのポジションにこだわるのも、オレの影響らしい。
オレはチームではサードを守り、打順は5番だった。
自分で言うのも何だが、チーム内では上手な方であった。
そのオレから教わるから、どうしても守備的な教え方は、サードの動きになってしまう。
やがて高学年になると、身体の成長により、互いに意識し始めた。
この辺りから、優季とは距離を置き始めた。
その時期、オレは試合中に、デコボコのグランドでサードゴロを捕球しようとした際、ボールがイレギュラーし、右目を直撃。
それが原因で視力が低下し、オレは野球を止め、中学に上がった時、野球とは関わりを持たないよう、サッカー部に入部した。
逆に優季は、中学でソフトボール部に入部すると頭角を現し、あっという間にサードのポジションを獲った。
もし、あのまま野球を続けていたら、どうなっていたのだろうか?
大人になっても、そんな夢を見る事が多かった。
教室の時計に目をやると、5時を回っていた。
そろそろ優季が、教室に戻ってくる時間だ。
机の上に足を放り出し、優季が来るのを待っていた。
教室のドアが開いて、優季が入ってきた。
開口一番、
「さっちゃん態度悪すぎ!偉そうに、足なんか放り出して!」
早速、小言を言われた。
「誰もいないから、いいんだよ。それよか、お前に話があって残ってたんだよ」
優季は首筋が汗ばんでいた。
初夏という事もあり、ちょっとの運動で、汗が毛穴から吹き出る程のジメっとした、湿気の多い時期だ。
「なぁに、待ってたのって?」
怪訝そうな顔でバッグの中を整理して、帰り支度をしていた。
「宇棚の事なんだけど。アイツ、何か変じゃないか?何から何まで異様というか、挙動不審っぽくないか?」
オレがもし警官なら、有無を言わさず職務質問をするだろう。
「別に。ちょっと物覚え悪いかなって思うけど、真面目な方よ、誰かと違って」
誰かと違ってねぇ…そりゃ、オレの事じゃん!
「誰かって、オレの事だろうが。まぁいいや。たまには一緒に帰ろうぜ」
バッグを手にし、一緒に教室を出た。
帰り道、オレと優季は色んな話をした。
どこでメガネの話題を出そうか、伺っていた。
「さっちゃん、宇棚くんと何かあるの?」
不意に優季が聞いてきた。
「アイツがメガネ外したところを見てみたいんだよ。あいつ何があっても、絶対にメガネを外さないからな」
あのメガネをどうやったら外せるのか、その事で頭がいっぱいだった。
「それがどうしたの?メガネ外そうが外さないが、さっちゃんに関係あるの?」
そりゃ、ごもっともだ。でも、ホントの事を言えないし…
何て言えば、いいんだろうか?
「いや、アイツどっかで見かけた事あるんだよ。多分メガネを外せば分かると思うんだけど、なかなか外さないから、お前がアイツにメガネ外してみて、って言ってくれないだろうか?」
メガネを外す、大義名分が欲しいだけなんだが。
「私が言うの?直接宇棚くんに言えばいいじゃん」
「オレも、何度かメガネ外してくれって頼んだけど、絶対に外さないんだよ。その点優季だと、アイツはホイホイと外すだろうから」
茶坊主は優季の顔眺めて、ニターっとして気がありそうな感じがするから、頼めばすぐに外してくれるに違いない。
「何で私だと、簡単に外すの?」
「そりゃ、お前…アイツは、お前の事好きだと思ってるぞ」
「ゲーッ、マジ?」
さすがの優季も、一瞬嫌な表情をした。
夕暮れ時、蒸し暑い通学路を歩きながら、どうにかしてメガネを外してくれるよう、優季に頼んだ。
「頼む!一回だけでいいんだ。何なら、ここで土下座してもいいから!」
オレはアスファルトにおでこを擦り付け、土下座した。
「ちょっと!止めてよ!恥ずかしいじゃない!」
優季はオロオロしている。
「頼む優季!メガネ外すように言ってくれ!そしたら、何でも言うこと聞くから!」
土下座のまま、再度頼んだ。
優季は立ち止まって、どうしていいか解らない様子だ。
「さっちゃんさぁ…それなら一緒に銭湯に行こう、とか言ってみれば?さすがにお風呂に入る時ぐらいは、メガネ外すでしよ?」
あっ、そうか!銭湯か!
「何だ、そうか!あぁ、土下座して損した!よし、アイツを銭湯に誘おう!」
その手があった!何で気づかなかったんだ、オレは!
「何よ、損したって?」
優季はポカーンとしている。
「んじゃ、そういうワケだ!またな~っ!」
家まで走って帰った。
こうなりゃ、優季には用は無い!
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