41才の中学二年生(改訂版)

sky-high

文字の大きさ
44 / 96
早く戻りてぇ~っ!

ちゃんと家族サービスしろよ!

しおりを挟む
校内放送で、オレたちは大至急会議室に来るように、と言われ、会議室へ向かった。


中には、担任の佐伯と学年主任の北川が待ち構えていた。


「お前らクリスマスイブに何をやったんだ?答えてみろ」


北川が問い詰めてくる。


「何って…オレたちだけで、龍也の家でクリスマスパーティーをしただけですよ」


皆を代表して、泰彦が答えた。


「ほう、クリスマスパーティーか。
そのクリスマスパーティーに、酒は必要だったのか?金澤、お前と山本と中野の3人でコンビニでビール買ってたらしいじゃないか?」


ゲッ!何故、それを知ってる?


「あなたたち、飲酒したみたいね。
お酒はハタチになってから飲むものよ!しかも、中2の分際で!何かあったらどうするつもりなの?」


誰だ、チクったのは!


「はぁ?酒?オレたちが酒なんて、飲むワケねえだろ。
誰だ、そんなデマ流したのは?」


龍也はシラをきってる。


「ウソ言わないの!あなたたちがコンビニでたくさんビール買うのを、見た人がいるんだから!」



「ビール?誰だ、そんなテキトーな事言ったヤツは?そいつを、ここに連れてきてくれよ!」


龍也は逆ギレして、佐伯を問い詰めた。



「誰だっていいだろ!とにかく、お前らがコンビニでビールを買ったって証言があるんだ!」


「だから、そいつは誰なんだよ?変な言いがかりつけてんじゃねぇよ!」


龍也みたく、ここまできたら、シラをきるしかない。


「誰だっていいでしょ!」


「良くねえよ!」


オレは反論した。


「何で、酒だと決めつけるんだよ!」


泰彦も反論だ。


とにかくバレたら大変だ。
それに酒を買ったというが、飲んだところを見られてないはず。


ここは何がなんでも、シラをきるしかない。


「酒買ったっていうけど、オレらが飲んだって証拠はあるの、先生?」


証拠が無ければ、ただの憶測にしか過ぎない。オレは証拠を出せ、と詰め寄った。


「証拠だ?お前ら3人がコンビニで酒を買う事が、何よりの証拠だろう。
それに、お前と中野と金澤という組み合わせがあまりにも不自然だ!」


北川が声を荒げるが、それじゃあ理由にならない。


「誰と誰が一緒にコンビニに入ろうが、関係ないだろ!
もしかして、それが証拠ってやつ?
先生~っ!もう少し、解るような証拠を出してくれよ。
誰が、そんな理由で納得するんだよ?」


全く、頼りない学年主任だ!


「中野さん…あなた、何でその場にいたの?普段あまり人と話をしないあなたが、どうして男子だけの集まりに参加したの?」


佐伯はデザイアーに的を絞って攻めてきた。


「それは、オレが誘ったんだよ。デザイアーとは席が隣でよく話すから、龍也の家でクリスマスパーティーやらないか?って誘ったんだよ」


「あなたには聞いてないの!私は中野さんに聞いてるの!中野さん、どうなの?」


佐伯はデザイアーを徹底的に問い詰めた。


「…あの…私、山本くんからクリスマスイブの日に誘われたけど、何処の店も満席で入る所が無くて…そんな時に金澤くんにバッタリ会って、オレの家でクリスマスパーティーやらないか?って言われて、それで…」


デザイアーは、酒を飲んだ後の事を全く覚えてない。


少し飲んだだけで、あんな酒乱になるとは思いもよらなかった。


「じゃあ、何で金澤くんの家でクリスマスパーティーやるのに、コンビニでお酒なんて買ったの?」


佐伯はデザイアーから、ホントの事を聞き出そうとするが、デザイアーがホントの事を言うはずがない。


「だからビール買ってこいって、母ちゃんに頼まれたんだよ!何なら、オレの母ちゃんに聞いてみりゃいいだろ!」


龍也が横から口をはさんできた。


「酒がどうのこうの言うより、後2年で教師辞める人に言われたかないね~」


あ…やべっ、思わず佐伯の未来の事を口ばしてしまった。


「はぁ?佐伯先生が後2年で教師を辞める?何バカな事言ってんだ、お前は!」


北川が間に割って入ってきた。


ついでだ!この際、北川の未来もぶちまけてやれ!


「先生、そんな事よりも家庭を大事にして下さいよ。
定年になったら、奥さんに離婚を迫られて熟年離婚するはめになるんだからw」


北川は定年を機に、それまで過ごしてきた奥さんから離婚を申し出され、定年後は淋しい一人暮らしを送る予定だ。


「何?お前、教師をバカにしてるのか!」


「バカにしてねえよ、ホントの事を言っただけだよ。家庭を省みず、教師として真面目にやってたつもりだけど、たまには家族サービスしないとホントに離婚する事になるよ?いいの、それで?」


オレの言葉で、全員が爆笑した。


「山本、ふざけるのもいい加減にしろ!」


バッチーーーーん!


「痛っえ~っ!何もビンタする事ねえだろ、おい!」


北川に思いっきりビンタを食らった…


これでビンタ食らうの何度目だ?


そして、問題の飲酒の件はうやむやになり、証拠不十分として、オレたちはグレーなまま無罪放免となった。


それにしても、中2に戻ってから、何発ビンタ食らえばいいのやら…


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...