Baseball Love 主砲の一振り

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一抹の不安

オープン戦

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キャンプが終了し、オープン戦に突入した。
二軍の選手や新人は一軍のキップを手にするためアピールする絶好のチャンスだ。

しかし、このオープン戦で全く快音が聞かない選手もいる。

「 What would you do desperately in exhibition game time?(たががオープン戦で何必死こいてるんだ?)」

トーマスJr.はマイペースだ。

「If your results of the exhibition game are bad, you have to go to the farm team. (トーマス、オープン戦の成績次第じゃファーム行きになるぞ)」

通訳の吉田はトーマスJr.に調子を上げろと伝えた。

オープン戦とはいえ、ノーヒットじゃ二軍に降格される。
いくらバリバリのメジャーリーガーとはいえ、結果が出なけりゃ一軍では使えない。

「 Is it still March? As for the early spring, condition is bad.(まだ3月じゃねぇか?オレは春先は調子よくねぇんだよ)」

トーマスはオープン戦を甘く見ているような感じがする。

「おいおい!メジャーリーガーだからって、わざと相手に花持たせてやってんのか?」

榊が皮肉を言う。

「ま、日本語わからねぇんだから、何言ってもこのゴリラにムダか」

多分吉田が訳したらまた乱闘になりそうだ。

「 Yoshida, that fellow say how?(吉田、アイツ何て言ってんだ?)」

訳せるはずがない。

訳したらまたケンカになる。

「Anyway,you should to practice seriously for yourself.(そんなことより、お前は自分自身のために真面目に練習にとりくんだほうがいいぞ)」

榊の言葉より、トーマスJr.の打撃が気ががりだ。

この日はオーナーも観戦している。

「トーマスJr.ってのは全く打ってないじゃないかぬ!
ありゃ、やる気あるのかぬ!」

オーナーも早くホームランを見たがっているようだ。

「ダメだぬーーーーーん!あれじゃダメだぬ!」

というと、一目散にベンチに駆けつけた。

「何でホームラン打たないんだぬ!ユーはホームランを打って、優勝しなきゃいけないぬ!ムヒョヒョヒョヒョヒョ」


「ギャーギャーうるせぇな!この、ぬーんヤローが!」

榊がオーナーに対して暴言を吐く。

「にゃんと!あちきに対してこのヤローとは、にゃんたる不穏!」

「 Shut up!(うるせえ!)」

「黙れくそオーナー!」

トーマスと榊が同時に前後からラリアットをかました。

「ぬーーーーーん!」

クロスボンバーを食らいオーナーは失神し、担架に運ばれた。

まぁ、確かに吉田の言うとおりかもな。

そう思い、ネクストバッターズサークルに入った。

「No.3、CF!HIROTO SAKURAI!(3番センター櫻井、背番号3)」

ピストルズの本拠地である、静岡グリーンフィールドは、いっちょ前にメジャースタイルのアナウンスをする。

天才 櫻井が左打席に入る。
彼もオープン戦の成績は芳しくない。

しかし、開幕に仕上げてくるのがプロだ。

あいつがメジャーが注目するバッターか。
どんなバッティングなんだろ。

トーマスJr.は櫻井のバッティングを観察していた。




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