Baseball Love 主砲の一振り

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球界の盟主

期限は明日

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「待ってくれ、ヤマオカ君!!」

振り返ると、阿佐オーナーが後を追ってきた。

「オーナー、穴堀さんをほったらかしていいんですか?」

「あちきはもう、用無しだから帰れと言われたんだぬ!
ヤマオカ君、申し訳ない!トレードの話はあちきが断ればよかったんだが、出来なかったぬ!」

「テメーが首を横に振ればいいだけじゃねぇか、コラっ!」

「ギャ~、ギブギブ、ギブアップぬ~っ!!」

阿佐に卍固めをガッチリ極めた。

「しかしオーナー。何故、あの人は浅野を手放そうとしているのでしょうか?しかも、シーズン途中でトレードなんて、絶対あり得ない事です」

「だぬだぬ!あちきもその辺が解らんのだぬ!ただ浅野は華がないからいらない、というだけでトレードに出すなんて考えられんぬ!」

阿佐も穴堀の考える事は読めないらしい。

(困ったな…あいつらを呼ぶにしても時間がないな…)

あいつらとは、以前モンスタードームでの不正を暴く為に動いてくれた、エージェント達の事だ。

今から依頼して、アメリカから日本に来るまでにはかなり時間がかかる。

(となると、このバカに動いてもらおう。いざとなったら、このバカを人柱にすりゃいいんだ)

ヤマオカは何かを思い付いたみたいだ。

「オーナー!」

ヤマオカが背後に回り、スリーパーホールドで締め上げる。

「うぇ~っ!!ぐ、苦しい、何だぬ~っ?」

「浅野の身辺を調べる事出来ないすかね?どうなんだ、おいっ!」

「ゎ、わかっだ~っ!!調べるから、ギブギブ…」

阿佐は締め落とされた。

明日の返答までに、浅野の身辺を調べれば何とかなるはず。

そう思い、大の字に失神している阿佐を残し、ヤマオカは宿舎に戻った。



部屋でキングダムのファームの試合を観ていた。

ファームにいる有能な選手を探す為だ。

キングダムのファームの選手の中には、どうせいくら頑張っても、FAで獲ってくる選手にポジションを与えるから、頑張ってもムダだ、という空気が漂っている。

ドラフト下位で指名された選手や、三桁の背番号を付けてる育成選手が、一軍に昇格するのはまずあり得ない。

それでも獲得するのは、世間体の目を気にしているからだ。

キングダムは即戦力のドラフト上位選手や、スター性のある選手が一軍のキップを手に入れている。

榊や垣原、浅野もドラフトで上位指名された選手だ。

彼らは少なくとも2,3年以内には一軍に昇格し、レギュラーを掴んだ。

稀に下位の選手が昇格するが、余程の結果や話題性がない限りは上がってこれない。

反対に、ファームの中にはキングダムのユニフォームを着ているだけで満足している選手も多い。

(どいつもこいつも、覇気のねぇツラしてやがんな)

試合を観て、そう思った。

しかし、1人だけハツラツとプレイしている選手がいた。

背番号は114。育成の選手だが、動きが違う。

他の選手に比べ、やる気に満ち溢れている。

闘志を前面に出し、キングダムにはないカラーの持ち主だ。

(コイツだ)

ヤマオカは浅野と共にキングダムに来る選手を決めた。

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