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1984年、中3

こんな学校は無理だって…

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再び3学期の話しになるんだけど、受験まで残り数日。

僕はひたすら勉強した。

康司の部屋にも行かず、勉強をした。

あのバカは、しばらくポコチンが痛くてその晩は寝れなかったらしい。

そりゃ、輪ゴムで締め付けられて鬱血するぐらいのバカだからね。


あんなバカに構ってる暇はない!

勉強して波多野と同じ高校に行くんだ!

波多野と同じ高校に合格したら、波多野に告白しよう、そうしよう!

最初は滑り止めのS学院の入試を受けた。

校舎に入り、試験場である教室を見て愕然とした。

(何だコイツら?どいつもこいつも、ガラの悪いヤツらしか居ないじゃないか…)

S学院を受験するほとんどヤツらは単願で、僕のように滑り止めで受験する者は少なかった…これは失敗したと思った。

金髪に染めているヤツ、受験をしに来たのか、ケンカをしに来たのかよくわからない連中に囲まれ、僕はイヤになった。

ほとんどがヤンキーみたいな格好をしていた。

うゎ~、コイツら思いっきりバカそうだなぁっと。

国語、数学、英語と3科目のテストの後、面接試験があった。

面接では何を言ったか忘れたが、当たり障りのないような事を質問され、それに答えただけだ。

テストの出来はまあまあだったが、多分合格圏内に入ってるだろうと思った。


帰りは真っ直ぐにウチに帰らず、他のクラスからS学院を受けたヤツらと、反対方向の場所の電車に乗り込み、アテもなくブラブラしていた。

電車で通学というのが僕らにとっては珍しかったせいもあって、乗り換えをしながら行ったことの無い場所を回ってウチに着いた。

だが、あんな掃き溜めが集まる高校には絶対に行かない!
例え合格しても、僕にとっては必要の無い学校だ。

問題は第一志望の高校だ。
絶対に合格しなきゃならない。

都立校の受験まで後僅か…

この数日間、人生で一番勉強した期間だと思う。


波多野と同じ高校に行くんだ!

そう自分に言い聞かせ、勉強に没頭した。

ついこの前まで
「勉強?そりゃバカのやる事だよ、オレには必要ないね」
なんて、周りからシカトされる様な事を言ってたが、いざ入試を迎えると、さすがにビッグマウスを連発してる場合じゃない…

今思えば、僕はこの時点で既に負けていたのかなぁ…

何の準備もしないで、受験に挑む事自体が無謀ってもんだ。

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