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彼女が出来た
彼女は出来たが、何をすりゃいいのか…
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波多野と付き合うという夢が叶った。
確かに叶った。
…でも、何だろう?
嬉しかったのは最初のうちだけだった。
何て言うか…彼女が欲しい!とずっと思っていたのだが、いざ彼女が出来ると、何をすればいいのやら…
よく考えたら、彼女が欲しいというだけで、彼女が出来たら、その時点で僕の目標は達成した…後はどうすれば良いのやら。
とは言え、初めて彼女が出来たというのは、とても嬉しい。
(よし、この夏オレはオトコになる!)
高校1年生の男子に彼女が出来たとなると、どうやってセックスに持ち込もうか、という考えで一杯だ。
色んなシチュエーションを妄想しながら、初体験できる日を今か今かと待ち侘びる。
これは童貞あるあるだと思う。
その一方で、波多野とセックスするなんてゲスな考えは恥!
と思う、もう一人の自分もいて、常に【性と聖】の間で揺れ動いた。
オナニーでもして、さっさと賢者タイムになれば不埒な考えは無くなるのだが、何せ当時は15才で童貞。
いくらオナニーしても、翌朝には朝勃ちする元気の良さには感心するやら、呆れるやら…
前にも述べたが、僕にとってオナニーは快楽というより、煩悩を消し去る行為として捉えていた。
何はともあれ、念願が叶った…
今までのように、中学時代の友人という関係から、一歩踏み出した付き合いをしなければならないのだろうが、どう接すればいいのやら…
色々考えても、結局振り出しに戻ってしまう。
さて、どうしたものか…
余計な事を考えなきゃいいのに、性格なのか、それともこんな事を考えるのは、この時期にありがちな事なのか分からないけど。
例えば、今まで【波多野】【小野っち】という呼び名だったが、これからは【慶子】と呼ばなきゃならないのだろうか?
て事は、波多野は僕の事を【貴久】と呼ぶのか?
…いや、それは無い無い
今更呼び名を変えるなんて、恥ずかしくて言えない。
あぁ~、何か彼女ってめんどくせえ?
この繰り返しで、いくら自問自答しても答えは出てこない。
そんな感じで、いつも悶々としていた。
おまけに彼女が出来ると、マメに連絡する事になるだろうか?とか。
当時はLINEもスマホも無い…
電話すると言っても、親がいつもいる居間にあるから、会話を聞き耳立てるんじゃないか?とか。
しかも、波多野の家に電話しても、先に電話に出るのは親だろう。
(彼女いるって事は、案外不自由なのかなぁ)
そんなネガティブな考えが頭を過ぎる。
色々と面倒だ…
電話をする回数は今まで以上に増えるが、何を話せばいいのやら…
まず、何の話をしようか?
(姉ちゃんに相談しようか?…いや、アイツは無理だ!
あのさぁ、波多野と付き合うようになったけど、どんな会話をすりゃいいの?って聞くのかよ?)
それは、口が避けても言いたくない。
そんな事もあってか、波多野に連絡していなかった。
数日後、波多野から連絡がきた。
電話に出たのは姉だ。
「貴久ぁ~、慶子から連絡きたよ」
ビクッとして、受話器をとった。
「もしもし…」
「あっ、小野っち?中々連絡くれないから、こっちから電話しちゃった…
バイト忙しいの?」
口調が今までとは違う。
どこか声が弾んでいるような…
「あぁ…電話しなきゃなって思ってたとこで、タイミング良く電話がきたから」
「ホントに?じゃ、もう少し後だったら小野っちから電話きたんだね。電話かけるの待てば良かった」
波多野も同じ事を考えていたのか。
「でね、次の休みに遊園地行かない?」
遊園地?
遊園地ってことは、ジェットコースターに乗らなきゃなんないの?
僕は絶叫系の乗り物が苦手だった。
あんなG(重力)がかかる、速い乗り物なんてどこがいいんだろう?
何て事を思うのだが、波多野に言えるワケも無く。
「あぁ、イイネ~。じゃあ、何処に行こうか?」
「アタシ、後楽園遊園地行きたいなぁ」
「後楽園遊園地で、戦隊もののヒーローと握手でもするのか?」
「何それ?ッハハハハ!今の笑えた!遊園地行って、色んなの乗ろうよ!いいでしょ?」
断りたいのだが、断ると波多野が悲しむだろうな…
「いいねぇ!じゃあ、後楽園にしようか?」
イヤとは言えない…
「じゃあ、そうしよっ!アタシ、お弁当持ってくるから何食べたい?」
好物って何だっけ?
言われてみると、中々出て来ないもんだ。
「んー…じゃあ、おにぎりと唐揚げがいいな」
「いいよー!おにぎりの具は何がいい?」
「そうだな…シャケとコンブが入ったヤツ、あ!梅干しもいいな」
「梅干し?小野っち、梅干し好きなの?」
「えっ?いや、おにぎりじゃなくても、サンドイッチでもいいよ」
「いいよ、おにぎり作ってくるよ!おかずは唐揚げだけでいいの?」
「んー…波多野だって食べるじゃん?後は、波多野が好きなもん作ってくればいいんじゃない?」
「わかった!じゃあ、楽しみに待ってるね。それと、今度は小野っちが電話してよね?うん、じゃあまた」
電話をきった。
それにしても、矢継ぎ早に好物を聞かれたけど…あれでいいのかな?
遊園地ねぇ…ジェットコースターの他に、コーヒーカップとメリーゴーランド、空飛ぶじゅうたん、なんてのもあったような…
オレが乗れるのって、メリーゴーランドとコーヒーカップぐらいしか無いんじゃ…?
…初めてのデートは遊園地で、ジェットコースターに乗ってガタガタ震えてるのがバレたら…波多野はガッカリするだろなぁ…
「へー、貴久。慶子と遊園地行くの?」
姉が話を聞いてやがった。
「何だ、いきなり!」
「慶子と付き合うようになったの?」
ニヤニヤしやがって!
「別にいいじゃねーかよ」
親もそうだが、コイツが一番タチが悪い。
「慶子はアタシの後輩なんだから、大切にしなよ!」
「解ったから、勉強してろ!」
すると耳元で
「アンタ、デートの時タバコなんて吸うんじゃないよ、わかった?」
と言って部屋に入った。
ゲッ!タバコ吸ってんのバレてるのか?
ヤベェな、親にもバレてんだろうか?
確かに叶った。
…でも、何だろう?
嬉しかったのは最初のうちだけだった。
何て言うか…彼女が欲しい!とずっと思っていたのだが、いざ彼女が出来ると、何をすればいいのやら…
よく考えたら、彼女が欲しいというだけで、彼女が出来たら、その時点で僕の目標は達成した…後はどうすれば良いのやら。
とは言え、初めて彼女が出来たというのは、とても嬉しい。
(よし、この夏オレはオトコになる!)
高校1年生の男子に彼女が出来たとなると、どうやってセックスに持ち込もうか、という考えで一杯だ。
色んなシチュエーションを妄想しながら、初体験できる日を今か今かと待ち侘びる。
これは童貞あるあるだと思う。
その一方で、波多野とセックスするなんてゲスな考えは恥!
と思う、もう一人の自分もいて、常に【性と聖】の間で揺れ動いた。
オナニーでもして、さっさと賢者タイムになれば不埒な考えは無くなるのだが、何せ当時は15才で童貞。
いくらオナニーしても、翌朝には朝勃ちする元気の良さには感心するやら、呆れるやら…
前にも述べたが、僕にとってオナニーは快楽というより、煩悩を消し去る行為として捉えていた。
何はともあれ、念願が叶った…
今までのように、中学時代の友人という関係から、一歩踏み出した付き合いをしなければならないのだろうが、どう接すればいいのやら…
色々考えても、結局振り出しに戻ってしまう。
さて、どうしたものか…
余計な事を考えなきゃいいのに、性格なのか、それともこんな事を考えるのは、この時期にありがちな事なのか分からないけど。
例えば、今まで【波多野】【小野っち】という呼び名だったが、これからは【慶子】と呼ばなきゃならないのだろうか?
て事は、波多野は僕の事を【貴久】と呼ぶのか?
…いや、それは無い無い
今更呼び名を変えるなんて、恥ずかしくて言えない。
あぁ~、何か彼女ってめんどくせえ?
この繰り返しで、いくら自問自答しても答えは出てこない。
そんな感じで、いつも悶々としていた。
おまけに彼女が出来ると、マメに連絡する事になるだろうか?とか。
当時はLINEもスマホも無い…
電話すると言っても、親がいつもいる居間にあるから、会話を聞き耳立てるんじゃないか?とか。
しかも、波多野の家に電話しても、先に電話に出るのは親だろう。
(彼女いるって事は、案外不自由なのかなぁ)
そんなネガティブな考えが頭を過ぎる。
色々と面倒だ…
電話をする回数は今まで以上に増えるが、何を話せばいいのやら…
まず、何の話をしようか?
(姉ちゃんに相談しようか?…いや、アイツは無理だ!
あのさぁ、波多野と付き合うようになったけど、どんな会話をすりゃいいの?って聞くのかよ?)
それは、口が避けても言いたくない。
そんな事もあってか、波多野に連絡していなかった。
数日後、波多野から連絡がきた。
電話に出たのは姉だ。
「貴久ぁ~、慶子から連絡きたよ」
ビクッとして、受話器をとった。
「もしもし…」
「あっ、小野っち?中々連絡くれないから、こっちから電話しちゃった…
バイト忙しいの?」
口調が今までとは違う。
どこか声が弾んでいるような…
「あぁ…電話しなきゃなって思ってたとこで、タイミング良く電話がきたから」
「ホントに?じゃ、もう少し後だったら小野っちから電話きたんだね。電話かけるの待てば良かった」
波多野も同じ事を考えていたのか。
「でね、次の休みに遊園地行かない?」
遊園地?
遊園地ってことは、ジェットコースターに乗らなきゃなんないの?
僕は絶叫系の乗り物が苦手だった。
あんなG(重力)がかかる、速い乗り物なんてどこがいいんだろう?
何て事を思うのだが、波多野に言えるワケも無く。
「あぁ、イイネ~。じゃあ、何処に行こうか?」
「アタシ、後楽園遊園地行きたいなぁ」
「後楽園遊園地で、戦隊もののヒーローと握手でもするのか?」
「何それ?ッハハハハ!今の笑えた!遊園地行って、色んなの乗ろうよ!いいでしょ?」
断りたいのだが、断ると波多野が悲しむだろうな…
「いいねぇ!じゃあ、後楽園にしようか?」
イヤとは言えない…
「じゃあ、そうしよっ!アタシ、お弁当持ってくるから何食べたい?」
好物って何だっけ?
言われてみると、中々出て来ないもんだ。
「んー…じゃあ、おにぎりと唐揚げがいいな」
「いいよー!おにぎりの具は何がいい?」
「そうだな…シャケとコンブが入ったヤツ、あ!梅干しもいいな」
「梅干し?小野っち、梅干し好きなの?」
「えっ?いや、おにぎりじゃなくても、サンドイッチでもいいよ」
「いいよ、おにぎり作ってくるよ!おかずは唐揚げだけでいいの?」
「んー…波多野だって食べるじゃん?後は、波多野が好きなもん作ってくればいいんじゃない?」
「わかった!じゃあ、楽しみに待ってるね。それと、今度は小野っちが電話してよね?うん、じゃあまた」
電話をきった。
それにしても、矢継ぎ早に好物を聞かれたけど…あれでいいのかな?
遊園地ねぇ…ジェットコースターの他に、コーヒーカップとメリーゴーランド、空飛ぶじゅうたん、なんてのもあったような…
オレが乗れるのって、メリーゴーランドとコーヒーカップぐらいしか無いんじゃ…?
…初めてのデートは遊園地で、ジェットコースターに乗ってガタガタ震えてるのがバレたら…波多野はガッカリするだろなぁ…
「へー、貴久。慶子と遊園地行くの?」
姉が話を聞いてやがった。
「何だ、いきなり!」
「慶子と付き合うようになったの?」
ニヤニヤしやがって!
「別にいいじゃねーかよ」
親もそうだが、コイツが一番タチが悪い。
「慶子はアタシの後輩なんだから、大切にしなよ!」
「解ったから、勉強してろ!」
すると耳元で
「アンタ、デートの時タバコなんて吸うんじゃないよ、わかった?」
と言って部屋に入った。
ゲッ!タバコ吸ってんのバレてるのか?
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