Baseball Freak 主砲の一振り 7

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オープン戦!

ミラクルうだなぁ〜その2

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さすがに試合後のコメントでは榊ではなく、ひろしの采配で勝利したなんて言えず、榊はテキトーにお茶を濁すようなコメントで球場を後にした。


「クソっ、何であんな円柱みたいな頭したヤツの采配が的中すんだよっ!」


ベンチでひたすらスマホゲームをやっていただけだった。


「明日の試合もあのアホが意見してくるのかよ…いや、待てよ…そもそも監督はオレじゃねぇか!
オレはGM兼監督なんだぜ!
全ての決定権はオレにあるんだ!
あんなヤツなんかに意見されてたまるか!」


明日も何か言ってきたら、問答無用に却下だ!
そう思い、運転手が待機する駐車場へ。


「お疲れ様です(^_^)
カントク、運転席へどうぞ(^^)」


車の前でひろしが待機していた。


「元々運転手はテメーじゃねぇかっ!何でオレが運転しなきゃなんねーんだよ!」


ひろしの正式な肩書きは運転手兼マネージャーだ。


だが、ひろしの運転は危なかっしく、とてもじゃないが同乗したくない程のレベルだ。


そんな運転だから、榊が

「テメーは二度とハンドル握るな!オレはまだ死にたくない!」


と激怒して運転させてもらえない。


仕方なく、榊が運転する事となった。



「私わかります(^_^)」


「いい加減、その出だし止めてくんねぇかな」


この言葉を聞くと、ドッと疲れが出る。


「明日はクロフォード選手を4番で使いましょう(^ ^)」


「いいか、二度とオレの采配に口を出すな!
じゃなきゃ、オメーは球場への出入り禁止にすんぞ!」


「私わかります(^^)」


再度言う。ホントに疲れる。


「あ”ぁ~!マジでイラつくな、コイツ」


誰だってイラついてくる。


「私、静岡出身です(^_^)
静岡はサーカー大国です(^ ^)」


静岡と言えば、Glanzの前身でもある静岡ピストルズの本拠地だ。


「サーカーって何だよ?」


「足でボールを蹴るスポーツです(^_^)」


「サッカーじゃねぇか!」


以前、メールでサッカーと打つところを、サーカーと打ってしまい、それ以来サーカーと読んでいる。


「朝の朝食に…」



バキッ…


「ウギャっ…」


すかさず榊がシャイニングウィザードをひろしの顔面にヒットさせた。


「同じこと何回も言うんじゃねぇ!」


口を開けばロクな事言わない。


榊は運転席に座り、そのままひろしを置き去りにして走り去って行った。


「私、油使わずに中火でチャハーン作れますち(^^)」


置いてけぼりにされたのに、意味不明な事を言うひろしだった。






翌日は札幌ウォーリアーズとの一戦だったが、あいにくの空模様で、本降りの雨で試合は中止となった。


室内練習場でナインが調整を行ってる最中、監督室では榊、中田、ひろしの3人が集まり、開幕のオーダーを決めていた。


本来ならば、財前をはじめとするコーチ陣と話し合うのだが、どういうワケか、GM補佐の中田と監督補佐のひろしが同席している。


しかも榊一人に対し、補佐が二人いるのは甚だ疑問だ。




「中ちゃんは分かるけど、何でお前がここにいるんだよ?」


「私わかります(^^)」


「分からなくても、分かるって言ってるんだろ」

中田の言う通りだ。


この男は分かろうが、分かるまいが、とりあえず【私わかります(^ ^)】と言っている。



「ま、いいや。コイツは無視しておこう」


「で、誰を開幕スタメンにしようか?」


「私わかります(^^)
今年は石川選手を1番にして、2番をクロフォード選手にしましょう(^_^)」


【うるせぇ、黙ってろ!】


バキッ、ドカッ…


「ウギャ…」


二人のサンドイッチラリアットが決まり、ひろしは失神KO。


「コイツ、ベンチの軒下にでも吊るしておこうか」


「縄でぐるぐる巻きにしてやろうぜ」


そんなワケで土砂降りの中、ベンチの軒下に簀巻きにされて吊し上げされてしまった。





オープン戦第3戦は、山口Knightsとの一戦。


Knightsは昨年アポロリーグ西地区の首位で、KINGDOMの対抗馬として優勝候補に挙げる解説者も多い。


この日は本拠地のさいたま S Villageで試合はスタート。


新外国人選手のクロフォードは4番センターでスタメン出場。


どうやら、新球団社長のナダウ・ヤマオカこと、宇棚珍太郎がひろしの意見を採用せよ、とのお達しにより、仕方なくクロフォードを4番に起用した。



先発はKnightsが金城、Glanzは今年が背水の陣でもある東山。


そしてこの日もひろしの予言が的中。


クロフォードが攻守に渡り活躍。


長打コースの当たりをファインプレーで阻止すると、打っては3打数3安打2打点と勝利に貢献。


「何で、アイツの采配が当たるんだ…」


「まるで予言者だな」


天才なのか、天然なのか、ますますワケが分からなくなってきた。
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