84 / 159
6月オールスターファン投票
孤高の打撃職人
しおりを挟む
2回の表、Glanzの攻撃は4番徳川から。
ブレーブス先発の山本は、東山の無回転フォークに触発されたのか、更にギアを上げてきた。
徳川をセンターフライに打ち取ると、5番森高、6番麻生を得意のファントムスプリットで連続三振に斬ってとる。
「私わかります(^_^)
山本選手は絶好調ですち!」
「そんなモン、見れば分かるだろ!」
「んだな(^ ^)」
「お前、バカなのか天才なのかどっちなんだよ」
何から何まで不思議な存在だ。
2回の裏、ブレーブスの攻撃は4番結城から。
【4番ん、ファーストぉ~…結城ぃぃぃ~!背番号23ん】
このウグイス嬢、結城の時だけ声が張る。
ひょっとして、結城のファンなのかも。
深紅のヘルメットを被り直し、スパイクの紐を結び直して左打席に入る。
去年は.337で4度目の首位打者を獲得。
初めて首位打者になったのは19歳。
10代での首位打者は史上初。
その後、20代で2度、去年は33歳での獲得、おまけに、アポロリーグで2度、ネプチューンリーグで2度と両リーグ首位打者も史上唯一。
鬼束が現役最高の右打者ならば、結城は現役最高のバッターと称される。
チームメイトの唐澤と容姿も然ることながら、タイプも似ている為に比較されがちだが、唐澤は天才型、結城は打撃を追い求める求道者タイプ。
バッティングに関して言えば、唐澤はチームメイトと一緒に練習をこなすが、結城は独りで黙々と練習を行い、少しでも疑問を感じたら一晩中バットを振り続ける孤高の打撃職人。
櫻井も、自分の記録を塗り替えるのは唐澤か結城のどちらかだと明言する程で、将来の殿堂入りは間違いない。
唐澤同様、リラックスした自然体でバットを構えるが、相手投手にはどこを投げても打たれる雰囲気が漂う。
(唐澤さんもそうだけど、この人はそれ以上に打たれる気配を感じる…とにかく、カウントを稼いでフォークで仕留めるリードをしなきゃ)
比村のリードが問われる場面だ。
(まずはこれでいこう)
比村がサインを出した。
(オレも同じ意見だ)
東山が頷き、初球を投げた。
榊直伝の大きく縦に割れるカーブがストライクゾーンを縦断する。
(イメージ通りだ…)
結城も投げた瞬間に球種が浮かんでくる。
ボールの軌道を予測してポイントで打ち返した。
打球はレフトへ高く上がるが、大きく左へ切れてスタンドに入る。
「ファール!」
三塁塁審がファールを宣告する。
(カーブのキレが良かったせいでファールになった…)
普通のカーブならば、レフトスタンドに叩き込まれただろう。
「…」
(カーブを読んでいたのか)
これがあるから、結城は何度も首位打者を獲得したのだ。
「結城選手は唐澤選手と一緒で球種を読むんじゃなくて、脳裏に閃く事が出来ますち!」
「超能力じゃあるまいし、そんな事が可能なのかよ?」
榊にとっては信じ難い事だ。
「私わかります(^ ^)」
「ハイハイ、お次は何だ?」
「打席で極限まで集中力を高めると、ピッチャーが投げた瞬間に球種が浮かんでくるんですち!」
「それだったら、4割バッターどころか、5割、6割を打つバッターだらけじゃないか?何で3割止まりなんだよ?」
「ムッシュ、それは浮かぶ球種と実際の球にズレがあるからですち!」
「ズレ?」
ひろしが言うには、頭に浮かぶ球種はあくまでイメージで、実際の球はイメージ通りの軌道ではないという事だ。
例えばスライダーが浮かんだとしても、キレや変化量がイメージ通りと違っており、打ち損じをしてしまう事もあれば、野手に阻まれてしまうせいで、極端に打率が上がるという事は無いと言う。
それでも、この二人は常に3割をキープ出来るのだから、類まれなる存在と言える。
「バッティングってのは、難しいもんなんだなぁ」
「んだな(^^)」
打席の結城は、獲物を狙う獰猛な肉食動物の様で、マウンド上の東山を捉える。
(この三人を相手にしなきゃなんないって、めっちゃ神経使うじゃん!)
並の投手ならば、プレッシャーに耐えきれず、まともに投げる事すら難しい。
だが、東山にはこの試合でモノした無回転フォークがある。
(こうなったら、フォークの連投しかない)
比村がフォークのサインを出した。
東山はそれに従い、2球目を投げた。
途中までストレートの軌道だが、ユラユラ揺れながら大きく右下に変化した。
「っ!」
結城は咄嗟にバットを出したが、当たり損ねの打球は転々と三塁線へ。
サードの吉岡が素早く捕って一塁へ。
「アウト!」
結城を2球でサードゴロに仕留めた。
(ヤバい…いくら何でも、フォークを多投すれば、いずれは打たれる)
マスターしたばかりの球だが、連投すれば痛打される…
東山は一抹の不安を感じた。
ブレーブス先発の山本は、東山の無回転フォークに触発されたのか、更にギアを上げてきた。
徳川をセンターフライに打ち取ると、5番森高、6番麻生を得意のファントムスプリットで連続三振に斬ってとる。
「私わかります(^_^)
山本選手は絶好調ですち!」
「そんなモン、見れば分かるだろ!」
「んだな(^ ^)」
「お前、バカなのか天才なのかどっちなんだよ」
何から何まで不思議な存在だ。
2回の裏、ブレーブスの攻撃は4番結城から。
【4番ん、ファーストぉ~…結城ぃぃぃ~!背番号23ん】
このウグイス嬢、結城の時だけ声が張る。
ひょっとして、結城のファンなのかも。
深紅のヘルメットを被り直し、スパイクの紐を結び直して左打席に入る。
去年は.337で4度目の首位打者を獲得。
初めて首位打者になったのは19歳。
10代での首位打者は史上初。
その後、20代で2度、去年は33歳での獲得、おまけに、アポロリーグで2度、ネプチューンリーグで2度と両リーグ首位打者も史上唯一。
鬼束が現役最高の右打者ならば、結城は現役最高のバッターと称される。
チームメイトの唐澤と容姿も然ることながら、タイプも似ている為に比較されがちだが、唐澤は天才型、結城は打撃を追い求める求道者タイプ。
バッティングに関して言えば、唐澤はチームメイトと一緒に練習をこなすが、結城は独りで黙々と練習を行い、少しでも疑問を感じたら一晩中バットを振り続ける孤高の打撃職人。
櫻井も、自分の記録を塗り替えるのは唐澤か結城のどちらかだと明言する程で、将来の殿堂入りは間違いない。
唐澤同様、リラックスした自然体でバットを構えるが、相手投手にはどこを投げても打たれる雰囲気が漂う。
(唐澤さんもそうだけど、この人はそれ以上に打たれる気配を感じる…とにかく、カウントを稼いでフォークで仕留めるリードをしなきゃ)
比村のリードが問われる場面だ。
(まずはこれでいこう)
比村がサインを出した。
(オレも同じ意見だ)
東山が頷き、初球を投げた。
榊直伝の大きく縦に割れるカーブがストライクゾーンを縦断する。
(イメージ通りだ…)
結城も投げた瞬間に球種が浮かんでくる。
ボールの軌道を予測してポイントで打ち返した。
打球はレフトへ高く上がるが、大きく左へ切れてスタンドに入る。
「ファール!」
三塁塁審がファールを宣告する。
(カーブのキレが良かったせいでファールになった…)
普通のカーブならば、レフトスタンドに叩き込まれただろう。
「…」
(カーブを読んでいたのか)
これがあるから、結城は何度も首位打者を獲得したのだ。
「結城選手は唐澤選手と一緒で球種を読むんじゃなくて、脳裏に閃く事が出来ますち!」
「超能力じゃあるまいし、そんな事が可能なのかよ?」
榊にとっては信じ難い事だ。
「私わかります(^ ^)」
「ハイハイ、お次は何だ?」
「打席で極限まで集中力を高めると、ピッチャーが投げた瞬間に球種が浮かんでくるんですち!」
「それだったら、4割バッターどころか、5割、6割を打つバッターだらけじゃないか?何で3割止まりなんだよ?」
「ムッシュ、それは浮かぶ球種と実際の球にズレがあるからですち!」
「ズレ?」
ひろしが言うには、頭に浮かぶ球種はあくまでイメージで、実際の球はイメージ通りの軌道ではないという事だ。
例えばスライダーが浮かんだとしても、キレや変化量がイメージ通りと違っており、打ち損じをしてしまう事もあれば、野手に阻まれてしまうせいで、極端に打率が上がるという事は無いと言う。
それでも、この二人は常に3割をキープ出来るのだから、類まれなる存在と言える。
「バッティングってのは、難しいもんなんだなぁ」
「んだな(^^)」
打席の結城は、獲物を狙う獰猛な肉食動物の様で、マウンド上の東山を捉える。
(この三人を相手にしなきゃなんないって、めっちゃ神経使うじゃん!)
並の投手ならば、プレッシャーに耐えきれず、まともに投げる事すら難しい。
だが、東山にはこの試合でモノした無回転フォークがある。
(こうなったら、フォークの連投しかない)
比村がフォークのサインを出した。
東山はそれに従い、2球目を投げた。
途中までストレートの軌道だが、ユラユラ揺れながら大きく右下に変化した。
「っ!」
結城は咄嗟にバットを出したが、当たり損ねの打球は転々と三塁線へ。
サードの吉岡が素早く捕って一塁へ。
「アウト!」
結城を2球でサードゴロに仕留めた。
(ヤバい…いくら何でも、フォークを多投すれば、いずれは打たれる)
マスターしたばかりの球だが、連投すれば痛打される…
東山は一抹の不安を感じた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる