仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

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自分を変えるきっかけ

充実してるかも

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何でボクシングなの?って言われたら…

だろうな…オレも解らない。

ひとつ言えるのは、自分を変えたい。

今までの自分から生まれ変わりたいという願望は、以前から持ち続けていた。


別にボクシングじゃなくても良かったんだが、成り行きでストライカーに勧められるがままにボクシングにトライした。


それから3ヶ月。



体力は見違えるようにアップし、念願のバキバキの細マッチョにシックスパックの腹筋も手に入れた。



だが、相変わらずモテない…


何故だ!

こんなストイックな生活をして、何故モテないのだ?



…と、自問自答しても答えは出ないし、深く考えてもしょうがない。



そんな事すら、どうでもよくなってきた。


オレがジムに通うようになると、弾丸も触発されるようにジムに入門。

オレたちはストライカーの指示の下、メキメキと上達した。


ストライカーはプロになってみないか?と勧めたが、元々プロになるつもりはなく、25才という年齢を考慮して丁重に断った。

そもそも、そこまで闘争心も無いし、身体を鍛える為だけに始めたボクシングだから、そこまで突き詰める理由も無い。



だが、弾丸はボクシングファンだったという事もあり、プロになる決意をかため、ほぼ毎日ジムに通うようになった。


素直な性格の弾丸は、ストライカーの教えもあってか、オレを遥かに上回る程の上達ぶりを見せ、半年後にはスパーリングで他の練習生を圧倒する程のボクシングセンスを見せつけた。

「オレ、絶対にプロになる!そして必ずチャンピオンになってやる!」

弾丸の並々ならぬ意志が伝わる。


目指す階級はフェザー級、約55㎏から約57㎏の間だ。

ちなみに、弾丸の本名は佐野 圭佑(さの けいすけ)


ジム内で「弾丸」とは呼べないしw



それに前から思っていたのだが、もうサークルは消滅したし、これを機にお互い本名で呼び会おうと決め、厨二丸出しのハンネで呼ぶのを止めた。


オレはストライカーを「橋本さん」と呼び、弾丸を「ケースケ」と呼ぶようになった。

この2人と出会って1年以上経つが、本名で呼び合うようになってから、本当の付き合いが出来たような気がする。


ストライカーはもうすぐパパになる予定だ。


この前まで童貞だったクセに、パパになるとはwww


弾丸はプロテストに合格する事しか頭になく、女っ気無しのストイックな生活を続けている。


そしてオレは…オレは相変わらずのダメダメで、いまだ童貞だ。



だが、オレの心に多少なりの変化が生まれた。


確かに童貞だが、ボクシングを始めてからは、童貞に対して後ろめたい気持ちは幾分軽くなった。


実際には焦っているが、ジタバタしても仕方ない。

今では「童貞でーすww」とカミングアウトしてしまう程、どうでもいい事になってしまった。

それだけ成長したのかもしれない。



今のオレは、弾丸がプロテストに合格出来るよう、スパーリングの相手をしたり、トレーニングの相手をすることで精一杯だ。


朝起きて会社に行き、終わればジムに通い、トレーニングの傍ら、弾丸の練習相手を努めている。



そのせいか、顔が腫れたまま会社に行く事も多々ある。


「ケンカっ?誰にやられたの?」

特に沙織はかなり心配するが、ボクシングの事はひた隠しにしていた。


大した理由は無いが、ボクシングに関しては3人だけの秘密にしたいという気持ちがどこかにあったのは確かだ。



ハードな毎日だけど、どこか充実した日を送ってるような、そんな気持ちが芽生えてきた感じだ。




そしてとうとう、弾丸のプロテストまで後一週間となった。


オレみたな素人じゃ、スパーリングの相手にはならない程、弾丸は強くなった。

この前は左フックをモロに食らって大の字に倒れた。



能力の差もあるが、オレにとってボクシングは運動不足解消の為で、弾丸のように志は高くないし、覚悟も無い。
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