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自分を変えるきっかけ
デビュー戦
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あれ以来、野村は会社に来なくなった。
沙織に殴られ、醜態を晒したせいか。
それ以降、亜美に連絡してないらしい。
オレが亜美の兄だと知って気まずくなったんだろうか。
とりあえず一件落着だと思いたい。
そしてついに、弾丸のプロデビュー戦だ。
「ヨッシー、今日は会社の先輩も一緒に来るんだろ?だったら、リングサイドで観戦してくれよ」
控え室での弾丸はいつも通りだった。
オレは沙織と一緒にリングサイドで観戦した。
対戦相手は弾丸より一足早くデビューしており、一戦一勝KO勝利をしている選手だった。
弾丸の試合は第1試合だ。
今日のメインは日本ライト級のタイトルマッチとあって、格闘技の聖地、都内某ホールは超満員だ。
「うゎ~、何かドキドキするね、この雰囲気!」
沙織はハイテンションだ。
「大丈夫かな、ケースケ…」
デビュー戦だし、この雰囲気に飲まれなきゃいいんだが…
「仲村くん、来たよ!」
花道から弾丸が現れた。
ストライカーやジムの会長の先導で、緊張した面持ちでリングインした。
「青コーナー、123パウンド二分の一、阪田ジム所属、佐野ぉ~圭佑ぇ~」
弾丸がコールされ、四方に頭を下げた。
「尚、佐野選手は本日がデビュー戦です!」
リングアナウンサーの紹介で弾丸に声援が飛ぶ。
「頑張れ~!」
「負けんじゃねーぞーっ!」
リングの中央で両者が対峙する。
しつこいが、この雰囲気に飲み込まれなきゃいいんだが…
コーナーに戻り、マウスピースを口に含んだ。
「すごい緊張感…」
沙織が膝の上で拳を握りながら固唾を飲む。
オレも緊張する。
【カーーン!】
第1Rのゴングが鳴った。
相手は弾丸の浮き足立った隙に懐に入り、あっという間の連打でコーナーに追い込み、ダウンを奪った。
開始から僅か数秒だ。
「ケースケ!立て!落ち着くんだっ!!」
大声で叫んだ。
カウント8で弾丸は立ち上がり、ファイティングポーズを取った。
弾丸の隙を突いた攻撃。
先にデビューしているから、この雰囲気は弾丸より慣れている。
セコンドのストライカーも指示を出す。
「足を使え!カウンター狙いにきてるぞっ!」
ダウンしたお陰で緊張がほぐれたのか、弾丸の動きが速くなった。
弾丸特有のノーモションジャブが相手の顔面にヒットする。
「いいぞ、ジャブを有効に使え!」
オレは思わず立ち上がった。
「ラスト10秒!」
拍子木が鳴り、ストライカーが残り時間を教える。
【カーーーーン!】
第1R終了のゴングが鳴った。
「ふぅ~、危なかったね!」
沙織が興奮して声が上ずってる。
「ケースケっ、次のラウンド気をつけろ!」
オレの声援は届いたのか、こちらを向き、軽く頷いた。
リングサイド3列目の席で観戦しているから声が聞こえたのだろう。
インターバルが終わり、第2Rのゴングが鳴った。
今度は弾丸が素早く相手の距離を縮め、ボディから左のスクリュー気味のフックで相手をダウンさせた。
「やった、ダウンだっ!ケースケ、お前ならKOできるぞっ!」
今までこんなに大声を出したのは初めてだ。
もう、声がガラガラだ!
沙織に殴られ、醜態を晒したせいか。
それ以降、亜美に連絡してないらしい。
オレが亜美の兄だと知って気まずくなったんだろうか。
とりあえず一件落着だと思いたい。
そしてついに、弾丸のプロデビュー戦だ。
「ヨッシー、今日は会社の先輩も一緒に来るんだろ?だったら、リングサイドで観戦してくれよ」
控え室での弾丸はいつも通りだった。
オレは沙織と一緒にリングサイドで観戦した。
対戦相手は弾丸より一足早くデビューしており、一戦一勝KO勝利をしている選手だった。
弾丸の試合は第1試合だ。
今日のメインは日本ライト級のタイトルマッチとあって、格闘技の聖地、都内某ホールは超満員だ。
「うゎ~、何かドキドキするね、この雰囲気!」
沙織はハイテンションだ。
「大丈夫かな、ケースケ…」
デビュー戦だし、この雰囲気に飲まれなきゃいいんだが…
「仲村くん、来たよ!」
花道から弾丸が現れた。
ストライカーやジムの会長の先導で、緊張した面持ちでリングインした。
「青コーナー、123パウンド二分の一、阪田ジム所属、佐野ぉ~圭佑ぇ~」
弾丸がコールされ、四方に頭を下げた。
「尚、佐野選手は本日がデビュー戦です!」
リングアナウンサーの紹介で弾丸に声援が飛ぶ。
「頑張れ~!」
「負けんじゃねーぞーっ!」
リングの中央で両者が対峙する。
しつこいが、この雰囲気に飲み込まれなきゃいいんだが…
コーナーに戻り、マウスピースを口に含んだ。
「すごい緊張感…」
沙織が膝の上で拳を握りながら固唾を飲む。
オレも緊張する。
【カーーン!】
第1Rのゴングが鳴った。
相手は弾丸の浮き足立った隙に懐に入り、あっという間の連打でコーナーに追い込み、ダウンを奪った。
開始から僅か数秒だ。
「ケースケ!立て!落ち着くんだっ!!」
大声で叫んだ。
カウント8で弾丸は立ち上がり、ファイティングポーズを取った。
弾丸の隙を突いた攻撃。
先にデビューしているから、この雰囲気は弾丸より慣れている。
セコンドのストライカーも指示を出す。
「足を使え!カウンター狙いにきてるぞっ!」
ダウンしたお陰で緊張がほぐれたのか、弾丸の動きが速くなった。
弾丸特有のノーモションジャブが相手の顔面にヒットする。
「いいぞ、ジャブを有効に使え!」
オレは思わず立ち上がった。
「ラスト10秒!」
拍子木が鳴り、ストライカーが残り時間を教える。
【カーーーーン!】
第1R終了のゴングが鳴った。
「ふぅ~、危なかったね!」
沙織が興奮して声が上ずってる。
「ケースケっ、次のラウンド気をつけろ!」
オレの声援は届いたのか、こちらを向き、軽く頷いた。
リングサイド3列目の席で観戦しているから声が聞こえたのだろう。
インターバルが終わり、第2Rのゴングが鳴った。
今度は弾丸が素早く相手の距離を縮め、ボディから左のスクリュー気味のフックで相手をダウンさせた。
「やった、ダウンだっ!ケースケ、お前ならKOできるぞっ!」
今までこんなに大声を出したのは初めてだ。
もう、声がガラガラだ!
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