仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

sky-high

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仲良くなりたいなぁ

淋しい3人

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食堂では、いつものように彩音のマシンガントークが炸裂している。


「今のプロレスは大技の連発ばかりで、もう少し間とか試合の組み立てを考えて闘って欲しいと思います!」


「UFCでようやくレスリングの選手が総合で通用するという事を証明してくれました!」


「K-1は第1回のアーネスト・ホーストがモーリス・スミスに出した見えない角度からのハイキックが素晴らしかったです!」


「パウンドフォーパウンドは何だかんだいっても、モハメド・アリでしょうね!ワタシ的にはパッキャオも捨てがたいんですが」


四六時中、格闘技の事ばかり考えてるんだろうな。


気がつくと食堂にはオレたち3人しかいない…


格闘技の話もいいけど、もう少し女子力高めは話は無いのかよ。


「酒井さん…その、アタシそこまで詳しくないからそこまで話しをされても…ねぇ?」

沙織もさすがにうんざりした顔をしている。

「酒井さんて、何でそんなに格闘技が好きなの?」

きっかけを聞いてみた。

「中学の時、受験勉強で夜中まで起きてたんです。で、たまたまテレビつけたらプロレスを中継していて。
ワァー、スゴいなぁ、カッコいい!って感じで、気がついたらプロレス雑誌買ってました!はい!」

「プロレスがきっかけなんだ」

「はい、それからK-1やPRIDE、UFCやRIZINを観るようになって。ワタシ総合格闘技観たさにお父さんに頼んでCS放送のチューナー買ってもらいましたから」


「スゴい格闘技マニアね…」


「でも…そこまで観てたら、自分でもやってみたいなぁとか思わなかったの?」

やってみたいとは思わなかったのだろうか。


「それが…ワタシ、スポーツは苦手で。運動神経ゼロだし、痛いのイヤだから観る専門なんです」


確かに彩音は少しトロいところもあるな。


「格闘技もいいけど、彼氏とかいないの?」

沙織は身を乗り出した。

「え、いや…その、あの…いません…」


「え~っ、ウソ?こんなに可愛いのに彼氏いないの?」


まぁ、こんなんじゃいないだろうな。


「あの…ワタシ、まだ男の人と付き合った事が無くて…」

顔を赤らめる。

彼氏いない歴=年齢となれば…

【処女】なのか?

付き合った事が無いんだからそうなるよな、ヤッパリ。

…オレ童貞、彩音処女。


…初めて同士じゃん!


どうしよう、上手くいくかな?


「そう言えば、仲村くんも彼女いないわよね?」

…それを言うな!


「は、はい。まぁ、その…」

「いっそ、酒井さんと付き合っちゃえば?仲村くんボクシングやってるし、格闘技好きなら仲村くんはうってつけよ」


余計なお世話だ!

…でも、そうなったらいいよなぁ。


「仲村さんですか?…えと、その、会社の先輩ですし、そういう風に見たことは無いですから…」

彩音は困惑する。

…オレは恋愛の対象ではないと言うのかっ!

…何かショック!

午後から仕事したくねぇっ!

「でも、仲村さんて頼れるなぁって。いつも仕事でワタシの事助けてくれますし…」


頼れるパイセンなのは嬉しいが…

「あぁ~、アハハハハ…まぁ、一緒に仕事してるからねぇ、うん」


頼れるパイセン止まりか。


「そうねぇ、仲村くんももうそんな立場になったからね。でも、たまにドジやらかすからねw」


…大きなお世話だ。

「高橋さんはぁ、今付き合ってる人いるんですかぁ?」


今度は沙織に聞いてみた。

「えっ、ワタシ?ワタシはほら、今それどころじゃないしさぁ」

アンタもしばらくご無沙汰だろうが。


沙織の彼氏になるには、余程神経が図太いヤツじゃないと無理だ。


「それじゃ、3人とも相手がいないって事ですよね。ワタシ、こんなマニアックな話しか出来ないから、彼氏なんてとても無理です~」

…マニアック過ぎて相手が引いてしまうんだろうな。

「まぁ、何て淋しい3人なんでしょうね。さぁ、午後も頑張りましょう!」

あっという間に昼休みが終わってしまう。


この日も彩音の格闘技話で終わってしまった…


だが、昼休みも彩音と一緒にいられるんだから、コミュニケーションとっていれば何れは…



それなら、オレだけでも彩音の格闘技話にとことん付き合ってやろうじゃないか!

オレの前途はチョー明るい!

…ハズ。


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