I Love Baseball 主砲の一振り 6

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オープン戦

来日

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そして大物メジャーリーガー、マイケル・ロビンソンが来日した。


193cm 98kgという堂々とした体格。

栗毛色の髪は短く刈り上げ、青い瞳に精悍な輪郭。


ハリウッドスターばりに取り巻き連中を引き連れ、颯爽と空港ロビーを歩く。


「何であんなにいっぱい連れているんだ?」


「何でも、専属のトレーナーやシェフまで一緒に来日してるんだとさ」


「専属かよ…」


メジャーリーガーは専属のトレーナーやシェフを雇っているケースが多い。


ロビンソンも例外に漏れず、自費で専門家を雇い体調管理に余念が無い。



「I came to Japan to win the championship.
I can't give you a specific number, but I'll just do my best in every game.(Glanzを優勝させる為に来日した。
具体的な数字を挙げることは出来ないが、毎試合ベストを尽くすだけだ)」


報道陣の問いにそう答え、ロビンソンは空港を後にした。




その頃、Glanzは東京KINGDOM とのオープン戦を敵地東京ボールパークで行っていた。


Glanzの先発は昨年最多勝を獲得した片山。

対するKINGDOMは3年連続2桁勝利を狙う登坂。



Glanzのオーダーは、


1 RF 武藤 5
2 SS 石川 8
3 1B 徳川 23
4 CF 森高 7
5 3B 庵野 4
6 LF 唐澤 1
7  C  毒島 6
8 DH 財前 10
9 2B 南野 25


ほぼベストメンバーで、今日こそオープン戦初勝利と意気込む。



試合がスタートした。


KINGDOM先発の登坂はMAX148km/hのストレートを主体にスライダーを織り交ぜ、Glanz打線をノーヒットに抑える。


対する片山も独自の間を使ったピッチングでKINGDOM打線を3回1安打に抑える。


試合が動いたのは5回の裏。


この回5番の棚橋が2番手ピッチャー、神楽のチェンジアップを強振。


打球はグーンと左中間スタンドへ、オープン戦第2号のソロホームランでKINGDOMが先制。


Glanzも毎回ランナーは出すものの、KINGDOM投手陣を打ち崩す事が出来ず、最終回は去年から抑えに回ったプレイングマネージャーの翔田が3人で抑え、完封負けを喫した。


これでGlanzは4連敗でいまだ勝ち星なし。


オープン戦とは言え、こんな内容では今年の順位は期待出来ない。



「気にしなくていいって!どうせ、ロビンソンが入れば穴は埋まるんだからって!」


「ノー天気だな、おいっ!」


「ノー天気にならざるを得ないだろ、下を見ればキリがないんだからさっ」


中田も本心は不安で仕方ないのだが、弱みを見せるわけにはいかない。


(頼むぜ、ホントに…助っ人が活躍してくれなきゃ、オレはヒロトみたいにシーズン途中で休養なんて事になるかもしれないんだからさ)



頼みの綱はロビンソン一人。


そのロビンソンは翌日チームメイトと初顔合わせをした。


「I came to Japan to win this team.

I don't know much about Japanese baseball, but I do my best in my own way.(オレはこのチームを優勝させる為に日本に来た。
日本の野球はよく分からないが、オレはオレのやり方でベストを尽くす)」



自信に満ちた表情でチームメイトに挨拶した。



「オイオイ、ホントに大丈夫なんだろうな…」


中田の不安がもう一つ増えた。
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