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Roots Of Wrestling 最強
レスラーとは何か?
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元々WWAという団体は、カイザー大和というレスラーがそれまで所属していた帝国プロレスという団体から抜けて設立したものだ。
カイザー大和は今までのプロレスに無かった斬新なアイデアを持ち込んだ。
その中の1つが異種格闘技戦だ。
世界の格闘家と闘い、プロレス最強という称号を得る為に、時には柔道のメダリスト、時には空手の世界チャンピオン、そして何よりも一番すごかった異種格闘技戦は現役のヘビー級世界チャンピオンのボクサーと闘った事だ。
この試合にこぎつけるまで、ルールや莫大なギャラの問題で実現不可能と言われていたが、見事に実現させた。
そして世間に対する、プロレスは八百長という風潮に反論するような形で他の格闘家と闘い、プロレスラーは強いという印象を与えた。
そして時には海外の強豪レスラー相手にシュートを仕掛け、腕をへし折り、カイザー大和の強さは本物だと言わしめた。
WWA設立当時に、プロレス界の帝王と言われたデヴィッド・シュナイダーの妥協無きレスリングスタイルを吸収し、ストロングスタイルとして、他のプロレス団体よりも強さを追及した。
しかしカイザー大和が現役を退き、同時に総合格闘技Diamondや、立ち技の最強を決めるイベントの開催、そして何より、総合格闘技でその強さをいかんなく発揮させたブラジリアン柔術という格闘技の前では、何人かのプロレスラーが総合格闘技にチャレンジしたが、呆気なく敗れ去り、プロレス最強説は音を立てて崩れていった。
総合格闘技の試合こそがリアルファイトで、プロレスはあくまでフェイクだ、とまで揶揄された。
勢いに乗る総合格闘技Diamondは、世界各国の格闘家をビッグマネーで招聘し、世界一を決めるグランプリを開催し、大成功に収めた。
それに対してプロレスは衰退の一途をたどった。
苦肉の策として、あらゆる手段で総合格闘技に対抗してみたが、結局は裏目に出でしまい、観客動員数も全盛期の頃と比べると、ガクッと落ち込み、赤字続きで崩壊寸前まで追い込まれた。
そのプロレスの危機を救ったのは財前だった。
彼のルックスと技のキレ、天性のプロレスセンスに加え、パフォーマンスを取り入れ、徐々にプロレス人気は少しずつだが取り戻してきた。
そしてオレの総合格闘技チャレンジでの勝利により、更なる発展を遂げるかという矢先に、カイザー大和はWWAを売却した。
もう、自分はプロレス界にいる必要は無い、後はお前たちに託した、という事なのだろう。
新しいオーナーはネット配信のゲームで急成長を遂げた会社だ。
そこの社長がWWAのオーナーに就任した。
これで安泰かと思った。
だが新オーナーは、新体制となったWWAは今後総合格闘技とは関わらずに、独自のエンターテイメントスタイルのプロレスとして、カイザー大和がいた頃のスタイルとは正反対のショーアップされたプロレス団体を目指すと発表した。
入場シーンに火花を吹き上げ、各選手のコスチュームがカラフルになり、新たなベルトを作り上げ、試合内容もアクロバットな空中殺法や、派手なアクション、そして極めつけは危険度の高い大技の連発だ。
そのほとんどは頭を垂直に落とすような危険極まりない技の応酬だ。
リングはそのダメージを少しでも和らげようとスプリングを効かしているが、今までのマットとは違い、少しフワフワするので、上手く対応出来ない選手達は団体を離れ、フリーとして、またはインディー団体でデスマッチをするといった選手も何名かいた。
ビジュアル的にも、強さを誇示する選手よりも、カッコよく、イケメンな選手が増え、会社側はそういった選手をプッシュするようになった。
会場には女性客も多く、成功を収めたかのように見えた。
そのエンターテイメントプロレスを真っ向から否定した選手と、エンターテイメントスタイルを得て団体のエースになった選手が現れた。
オレと財前だ。
財前はプロレス低迷期からスター性と持ち前の身体能力良さを駆使した技に、この新体制の団体の絶対的エースとして揺るぎない地位を築いた。
そしてオレは、このエンターテイメントスタイルに逆行するような形でファイトスタイルを変えていった。
それまでは、ラリアットやパワーボム、垂直落下式のブレーンバスター等、パワーを生かしたファイトスタイルで闘っていたが、総合格闘技に出場したのを機にシフトチェンジしていった。
ラリアットは使わなくなり、パワーボムの代わりにパイルドライバーやツームストンパイルドライバー。垂直落下式のブレーンバスターを封印し、それまで試合中にあまり見せた事の無いグランドでの攻防、バックの取り合いやハンマーロックやリストロック、レッグシザーズ(首四の字固め)、インディアンデスロックやコブラツイストといったクラシカルな技を駆使した。
そして極めつけはレスリング仕込みのスープレックスだ。
それまではバックドロップにしても、抱えあげて大きく投げていた見映えのある投げ技から、低く、投げるというより落とすという、受け身の取りにくいスープレックスに変えた。
これは帝王デヴィッド・シュナイダーの持論でもあり、角度を変えた投げ技のダメージはかなりのものだ。
そしてオレはクラシカルなレスリングを追求し、シュナイダーが学んだという、【キャッチ アズ キャッチ キャン レスリング】別名ランカシャースタイルやシュートレスリングと呼ばれる関節技を駆使したレスリングスタイルに傾倒していた。
他の選手が鮮やかなコスチュームを使用しているのに対し、オレは黒のショートタイツに黒のレスリングシューズという昔ながらのコスチュームで試合をした。
エンターテイメントだか何だか知らないが、プロレスとは何か?それを問われればオレはこう答えている。
「そんなもん強さに決まってるだろっ!」
確かにプロレスはショーだ。しかし鍛え上げられたレスラーが繰り出す技は力強く、スピード、キレがあり、どれもが必殺技になり、フィニッシュホールドにもなり得る。
だからこそ、プロレスラーは強くなくてはならない。
オレの行き着いた答えは強さだった。
カイザー大和は今までのプロレスに無かった斬新なアイデアを持ち込んだ。
その中の1つが異種格闘技戦だ。
世界の格闘家と闘い、プロレス最強という称号を得る為に、時には柔道のメダリスト、時には空手の世界チャンピオン、そして何よりも一番すごかった異種格闘技戦は現役のヘビー級世界チャンピオンのボクサーと闘った事だ。
この試合にこぎつけるまで、ルールや莫大なギャラの問題で実現不可能と言われていたが、見事に実現させた。
そして世間に対する、プロレスは八百長という風潮に反論するような形で他の格闘家と闘い、プロレスラーは強いという印象を与えた。
そして時には海外の強豪レスラー相手にシュートを仕掛け、腕をへし折り、カイザー大和の強さは本物だと言わしめた。
WWA設立当時に、プロレス界の帝王と言われたデヴィッド・シュナイダーの妥協無きレスリングスタイルを吸収し、ストロングスタイルとして、他のプロレス団体よりも強さを追及した。
しかしカイザー大和が現役を退き、同時に総合格闘技Diamondや、立ち技の最強を決めるイベントの開催、そして何より、総合格闘技でその強さをいかんなく発揮させたブラジリアン柔術という格闘技の前では、何人かのプロレスラーが総合格闘技にチャレンジしたが、呆気なく敗れ去り、プロレス最強説は音を立てて崩れていった。
総合格闘技の試合こそがリアルファイトで、プロレスはあくまでフェイクだ、とまで揶揄された。
勢いに乗る総合格闘技Diamondは、世界各国の格闘家をビッグマネーで招聘し、世界一を決めるグランプリを開催し、大成功に収めた。
それに対してプロレスは衰退の一途をたどった。
苦肉の策として、あらゆる手段で総合格闘技に対抗してみたが、結局は裏目に出でしまい、観客動員数も全盛期の頃と比べると、ガクッと落ち込み、赤字続きで崩壊寸前まで追い込まれた。
そのプロレスの危機を救ったのは財前だった。
彼のルックスと技のキレ、天性のプロレスセンスに加え、パフォーマンスを取り入れ、徐々にプロレス人気は少しずつだが取り戻してきた。
そしてオレの総合格闘技チャレンジでの勝利により、更なる発展を遂げるかという矢先に、カイザー大和はWWAを売却した。
もう、自分はプロレス界にいる必要は無い、後はお前たちに託した、という事なのだろう。
新しいオーナーはネット配信のゲームで急成長を遂げた会社だ。
そこの社長がWWAのオーナーに就任した。
これで安泰かと思った。
だが新オーナーは、新体制となったWWAは今後総合格闘技とは関わらずに、独自のエンターテイメントスタイルのプロレスとして、カイザー大和がいた頃のスタイルとは正反対のショーアップされたプロレス団体を目指すと発表した。
入場シーンに火花を吹き上げ、各選手のコスチュームがカラフルになり、新たなベルトを作り上げ、試合内容もアクロバットな空中殺法や、派手なアクション、そして極めつけは危険度の高い大技の連発だ。
そのほとんどは頭を垂直に落とすような危険極まりない技の応酬だ。
リングはそのダメージを少しでも和らげようとスプリングを効かしているが、今までのマットとは違い、少しフワフワするので、上手く対応出来ない選手達は団体を離れ、フリーとして、またはインディー団体でデスマッチをするといった選手も何名かいた。
ビジュアル的にも、強さを誇示する選手よりも、カッコよく、イケメンな選手が増え、会社側はそういった選手をプッシュするようになった。
会場には女性客も多く、成功を収めたかのように見えた。
そのエンターテイメントプロレスを真っ向から否定した選手と、エンターテイメントスタイルを得て団体のエースになった選手が現れた。
オレと財前だ。
財前はプロレス低迷期からスター性と持ち前の身体能力良さを駆使した技に、この新体制の団体の絶対的エースとして揺るぎない地位を築いた。
そしてオレは、このエンターテイメントスタイルに逆行するような形でファイトスタイルを変えていった。
それまでは、ラリアットやパワーボム、垂直落下式のブレーンバスター等、パワーを生かしたファイトスタイルで闘っていたが、総合格闘技に出場したのを機にシフトチェンジしていった。
ラリアットは使わなくなり、パワーボムの代わりにパイルドライバーやツームストンパイルドライバー。垂直落下式のブレーンバスターを封印し、それまで試合中にあまり見せた事の無いグランドでの攻防、バックの取り合いやハンマーロックやリストロック、レッグシザーズ(首四の字固め)、インディアンデスロックやコブラツイストといったクラシカルな技を駆使した。
そして極めつけはレスリング仕込みのスープレックスだ。
それまではバックドロップにしても、抱えあげて大きく投げていた見映えのある投げ技から、低く、投げるというより落とすという、受け身の取りにくいスープレックスに変えた。
これは帝王デヴィッド・シュナイダーの持論でもあり、角度を変えた投げ技のダメージはかなりのものだ。
そしてオレはクラシカルなレスリングを追求し、シュナイダーが学んだという、【キャッチ アズ キャッチ キャン レスリング】別名ランカシャースタイルやシュートレスリングと呼ばれる関節技を駆使したレスリングスタイルに傾倒していた。
他の選手が鮮やかなコスチュームを使用しているのに対し、オレは黒のショートタイツに黒のレスリングシューズという昔ながらのコスチュームで試合をした。
エンターテイメントだか何だか知らないが、プロレスとは何か?それを問われればオレはこう答えている。
「そんなもん強さに決まってるだろっ!」
確かにプロレスはショーだ。しかし鍛え上げられたレスラーが繰り出す技は力強く、スピード、キレがあり、どれもが必殺技になり、フィニッシュホールドにもなり得る。
だからこそ、プロレスラーは強くなくてはならない。
オレの行き着いた答えは強さだった。
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