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レスリングマスター、そしてコマンドサンボ
戦慄のロシアンフック
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世界遺産にも認定されたイギリスの主要な港湾都市、リヴァプール。
そのリヴァプール大聖堂が見下ろすような位置にカーウィンが渡してくれたメモの住所を頼りにジムを探していた。
【Kombat sambo MMA-Gym U.K.(コンバットサンボ ミクスト マーシャルアーツ ジム ユナイテッド キングダム)】
歴史を感じさせるレンガ造りの建物が多く、ロンドンとそれほど変わりは無いが、どことなく情緒溢れる都市だ。
すると前方にレンガ造りの壁に大きく【 Kombat sambo MMA-Gym U.K.】と書かれてある看板を見つけた。
(ここか、コマンドサンボをやってるジムは)
外から中の様子を覗いてみた。
熱気でガラスがやや曇っていたが、中ではスパーリングをしたり、サンドバッグを叩いたり、バーベルを持ち上げているジムの練習生が7,8人程いた。
そう言えば、ここのジムの主は誰なのか?
オレはカーウィンにその事を聞くのをすっかり忘れていた。
だが、カーウィンの名前を出せば話しは通るだろう、そう思い、オレはジムのドアを開けた。
一斉にオレをジロリと見ている。
まさか道場破りと勘違いされてるのだろうか?
コーチをしていた青い瞳が印象的な白人の中年男性がオレに気がつき、声を掛けた。
「何だ、入門希望か?それとも道場破りか?」
道場破りという言葉を聞いた練習生達は途端に練習を止め、オレに敵意剥き出しの顔で数人が詰め寄ってきた。
このままじゃ本当に道場破りだと誤解されそうだ。
オレは荷物を床に置き、両手でストップのジェスチャーをした。
「オレはナオト ジングウジ。ロイズ・カーウィン氏の紹介でここに行け、と言われた者だ」
するとコーチは「ちょっと待ってな」と言い残し、階段を上っていった。
ジムの広さはカーウィンのジムよりやや広い。
中には迷彩服を着てスパーリングをしている者もいた。
コマンドサンボとはロシアの格闘技と言われるサンボ、いわゆるスポーツサンボと違い、打撃も加わる為、総合格闘技やロシア連邦軍の徒手格闘術に分化されている。
オレもコマンドサンボという格闘技で総合格闘技イベント【Diamond(ダイアモンド)】のヘビー級GPに輝いた選手もコマンドサンボをベースにしたスタイルで圧倒的な強さを見せつけたロシアの選手と一緒に大会終了後、リングに全選手が集まり記念撮影を撮った時、オレはその選手の隣にいた。
その時、ロシア語で何か言われたのだが、オレはロシア語が分からないのでただ握手を交わしていただけだったんだが。
コマンドサンボって確か護身術で、素手で武器を持った相手を倒す格闘術、いや殺人術と言った方がいいのだろうか、そんなスタイルだったと聞いた事がある。
しばらくしてコーチが階段を下りてきて、オレに奥の席に座って待っててくれと言われ、オレはジムの奥にポツンとあったテーブルと椅子を見つけ、椅子に座りながら練習風景を見ていた。
ありゃ格闘技というより、実戦的な護身術だな…
ナイフを持たせた相手にどうやってケガせずに倒すのか、そんな動作を繰り返し行っている。
ましてやロシアの軍人が使う格闘術だ、相手の命を奪うのが目的の闘い方だろう。
「お前かジングウジというのは?」
その声に振り返り、オレの横に立っていた初老の白人男性を見て、どこかで見たような気がする。
プロレスラーみたいな雰囲気を身に纏っているが、カーウィンとは全く違う。
どこか威厳な感じの武道家という表現をした方がいいのか。
「はい、はじめまして。カーウィンさんの紹介でここに来ました」
オレは立ち上がり、右手を差し出した。
「何だその手は?」
その白人男性は握手をするために差し出した右手を何の真似だ?とばかりに握手を拒否した。
(何だこのジイさんは!せっかく握手を求めようとしてるのに拒否かよ!)
オレは差し出した右手を引っ込めた。
随分と好戦的な態度なオッサンだな、オレはここへ来ていきなりこのジムの中の誰かと闘え、とか言うつもりなのだろう、何せ歓迎されてないムードだ。
「オレは歓迎されてないのは分かりました。で、誰を相手にすればいいんですか?」
白人男性はフフっと不敵に笑い、サンドバッグを叩いていた黒人の練習生を相手にスパーリングしろ、と言った。
「言っておくが、カーウィンのオヤジがやるようなシュートだとか言う甘いレスリングじゃない、打撃ありの実戦スパーだ。
おい、ローマン!この日本人の相手をしろ!MMAスタイルで潰せ!」
ローマンという黒人は、白人男性の親指を下に向けるジェスチャーに頷き、オープンフィンガーグローブをはめた。
何だよそのジェスチャーは?
殺れって事かよ?
どうやらただでは済まないようなスパーリングみたいだな…
オレもオープンフィンガーグローブをはめ、ジムの中央にあるレスリング用のマットで対峙した。
黒人特有のバネのある身体で手足が長い。
190は越えてる長身で線は細いが、かなり危険な雰囲気を身に纏っている。
「よし、では始めろ!」
白人男性の声でスパーリングが始まった。
一体どんな闘い方をするのか、全く分からない。
ガードを固め、相手の出方を伺った。
リーチを生かしたジャブがオレの顔面を捕らえようとしたが、オレはブロックした。
「…!」
何だこのジャブは?ブロックした腕がビリビリと痺れる程の威力だ。
オレはローキックを繰り出した。
こういう長身の相手はいきなり顔面にパンチやキックをしても当たらない、末端部分から攻めるのがセオリーだ。
ローキックをものともせず、ローマンはラッシュをかけてきた。
左右の連打からハイキック、オレは辛うじて避けた。
だが次の瞬間、ガードをしていたオレの顔面にパンチを放ったが、ストレートでもフックでもない見えない角度からのスイングでガードをしていた正面からではなく、側頭部に衝撃を食らった!
(何だ今のパンチは…)
間一髪で腰を落とし、的確にヒットしなかったが、まともに側頭部を捕らえられたら1発でKOされるとこだった。
だが、軽い脳震盪を起こし、オレは倒れ込むようにして相手を寝技に引きずりこんだ。
しかし上手く体勢をかわし、ガードポジションの状態で上になった相手の攻撃を両足でガッチリとカニ挟みのようにしてボディシザーズに捕らえた。
するとローマンは肘を使い、オレの膝の内側目掛けて打ち下ろしてきた。
「ぐぁっ!」
膝に何度も肘を落としてくる。
「反則じゃねえのかよ!」
だが全く聞き入れてくれない。
膝に激痛が走り、ボディシザーズを外した瞬間、ローマンは馬乗りになり、物凄い回転の速さで左右のパウンドをたたき込む。
これ以上食らったらヤバイ!
するとローマンはパウンドを打つフリをして、オレの左目に指を入れてきた!
「…ぎゃっ!」
目潰しに肘に今度は何だ?
視界がややボヤけてきた。
構わずローマンはパウンドを打ち下ろす、しかも指で目を狙っている。
卑怯もへったくれもないって闘いか、上等だ、やってやるよ!
オレはローマンが目に入れてきた指を掴み、【ペキッ】という乾いた音を立ててへし折った。
このスパーリングな本当の意味で【何でもあり】なルールだ。
指を折られてのたうち回るローマンの背後に膝を落とした。
脊柱の部分に遠慮なくニードロップの要領で体重を乗せて膝を叩き込んだ。
ローマンはほとんど動けなくなった。
そしてオレはカーウィンから教わったシュート技、フロントフェイスロックで真正面からローマンの顔面を締めた。
手首の外側に出ている骨の部分をローマンの頬骨を捻るかのようにして頸椎ごと捻り締め上げた。
フロントチョークやフロントスリーパー、フロントネックロックと呼ばれるらしいが、オレが出したのは顔面を捻り、そのまま身体を押し出すようにして頸椎ごと破壊してしまうフロントフェイスロックだ。
カーウィンはかつて「もしリングで人を殺めるとするならばフロントフェイスロックを使う」と言わしめた程の究極のシュート技だ。
ローマンの顔が横に捻れ、このまま持ち上げるように腹を突き出すようにしたら頸椎損傷で車椅子生活だ。
コイツこんな状況でもタップしないのか…ならばこのまま一生車椅子生活を送れ!
オレはグイッと腹を突き出し、ミシミシという音が感触がして、このままへし折るしかない!
オレを悪く思うな、思うならお前に指示したあの白人を恨め!
「そこまでだ!」
例の白人男性の声でストップがかかった。
オレはグローブを外し床に叩きつけた。
【バスン!】
「おい、どういう事だ一体?何がスパーリングだ?目ん玉に指突っ込むのがテメーんとこのやり方かよ、おい!」
オレはまだ先程のスイングしたパンチのダメージが残っているせいか、まだ頭がフラフラする。
「やり方?リアルプロレスラーなんだろ?相手が誰であれ、どんな状況でも勝つ。それがお前の言うリアルプロレスラーじゃないのか?」
このジジイ、名前すら名乗らずに一体何様気取りだ?
「おい、アンタ何て名前なんだよ?名乗らねえなら、こっちが適当にアンタの事を呼んでやるよ」
ククッと笑いながら白人男性は口を開いた。
「オレはダク・シュナイダー。
デヴィッド・シュナイダーはオレの兄だ」
デヴィッド・シュナイダーだと?
プロレス界の帝王して君臨したあのデヴィッド・シュナイダーの実弟なのか?
「ちなみにさっきお前が貰ったパンチ、あれはロシアンフックと言うんだ。まぁ、とりあえず合格だな。
今日からここに住め!そして明日からコマンドサンボの怖さを教えてやる」
ダクはそう言い残し、階段を上っていった。
相手のローマンは首を負傷したらしい。
おれも脳震盪と左目に指を入れられ、視力が元に戻らない。
初日からこんなケガじゃ明日以降はどうなるのか…
ここにいれば確実に強くなる。
だが、オレがやりたいのはケンカじゃない、レスリングなんだ。
カーウィンめ、よくこんな場所を紹介してくれたもんだ…
そのリヴァプール大聖堂が見下ろすような位置にカーウィンが渡してくれたメモの住所を頼りにジムを探していた。
【Kombat sambo MMA-Gym U.K.(コンバットサンボ ミクスト マーシャルアーツ ジム ユナイテッド キングダム)】
歴史を感じさせるレンガ造りの建物が多く、ロンドンとそれほど変わりは無いが、どことなく情緒溢れる都市だ。
すると前方にレンガ造りの壁に大きく【 Kombat sambo MMA-Gym U.K.】と書かれてある看板を見つけた。
(ここか、コマンドサンボをやってるジムは)
外から中の様子を覗いてみた。
熱気でガラスがやや曇っていたが、中ではスパーリングをしたり、サンドバッグを叩いたり、バーベルを持ち上げているジムの練習生が7,8人程いた。
そう言えば、ここのジムの主は誰なのか?
オレはカーウィンにその事を聞くのをすっかり忘れていた。
だが、カーウィンの名前を出せば話しは通るだろう、そう思い、オレはジムのドアを開けた。
一斉にオレをジロリと見ている。
まさか道場破りと勘違いされてるのだろうか?
コーチをしていた青い瞳が印象的な白人の中年男性がオレに気がつき、声を掛けた。
「何だ、入門希望か?それとも道場破りか?」
道場破りという言葉を聞いた練習生達は途端に練習を止め、オレに敵意剥き出しの顔で数人が詰め寄ってきた。
このままじゃ本当に道場破りだと誤解されそうだ。
オレは荷物を床に置き、両手でストップのジェスチャーをした。
「オレはナオト ジングウジ。ロイズ・カーウィン氏の紹介でここに行け、と言われた者だ」
するとコーチは「ちょっと待ってな」と言い残し、階段を上っていった。
ジムの広さはカーウィンのジムよりやや広い。
中には迷彩服を着てスパーリングをしている者もいた。
コマンドサンボとはロシアの格闘技と言われるサンボ、いわゆるスポーツサンボと違い、打撃も加わる為、総合格闘技やロシア連邦軍の徒手格闘術に分化されている。
オレもコマンドサンボという格闘技で総合格闘技イベント【Diamond(ダイアモンド)】のヘビー級GPに輝いた選手もコマンドサンボをベースにしたスタイルで圧倒的な強さを見せつけたロシアの選手と一緒に大会終了後、リングに全選手が集まり記念撮影を撮った時、オレはその選手の隣にいた。
その時、ロシア語で何か言われたのだが、オレはロシア語が分からないのでただ握手を交わしていただけだったんだが。
コマンドサンボって確か護身術で、素手で武器を持った相手を倒す格闘術、いや殺人術と言った方がいいのだろうか、そんなスタイルだったと聞いた事がある。
しばらくしてコーチが階段を下りてきて、オレに奥の席に座って待っててくれと言われ、オレはジムの奥にポツンとあったテーブルと椅子を見つけ、椅子に座りながら練習風景を見ていた。
ありゃ格闘技というより、実戦的な護身術だな…
ナイフを持たせた相手にどうやってケガせずに倒すのか、そんな動作を繰り返し行っている。
ましてやロシアの軍人が使う格闘術だ、相手の命を奪うのが目的の闘い方だろう。
「お前かジングウジというのは?」
その声に振り返り、オレの横に立っていた初老の白人男性を見て、どこかで見たような気がする。
プロレスラーみたいな雰囲気を身に纏っているが、カーウィンとは全く違う。
どこか威厳な感じの武道家という表現をした方がいいのか。
「はい、はじめまして。カーウィンさんの紹介でここに来ました」
オレは立ち上がり、右手を差し出した。
「何だその手は?」
その白人男性は握手をするために差し出した右手を何の真似だ?とばかりに握手を拒否した。
(何だこのジイさんは!せっかく握手を求めようとしてるのに拒否かよ!)
オレは差し出した右手を引っ込めた。
随分と好戦的な態度なオッサンだな、オレはここへ来ていきなりこのジムの中の誰かと闘え、とか言うつもりなのだろう、何せ歓迎されてないムードだ。
「オレは歓迎されてないのは分かりました。で、誰を相手にすればいいんですか?」
白人男性はフフっと不敵に笑い、サンドバッグを叩いていた黒人の練習生を相手にスパーリングしろ、と言った。
「言っておくが、カーウィンのオヤジがやるようなシュートだとか言う甘いレスリングじゃない、打撃ありの実戦スパーだ。
おい、ローマン!この日本人の相手をしろ!MMAスタイルで潰せ!」
ローマンという黒人は、白人男性の親指を下に向けるジェスチャーに頷き、オープンフィンガーグローブをはめた。
何だよそのジェスチャーは?
殺れって事かよ?
どうやらただでは済まないようなスパーリングみたいだな…
オレもオープンフィンガーグローブをはめ、ジムの中央にあるレスリング用のマットで対峙した。
黒人特有のバネのある身体で手足が長い。
190は越えてる長身で線は細いが、かなり危険な雰囲気を身に纏っている。
「よし、では始めろ!」
白人男性の声でスパーリングが始まった。
一体どんな闘い方をするのか、全く分からない。
ガードを固め、相手の出方を伺った。
リーチを生かしたジャブがオレの顔面を捕らえようとしたが、オレはブロックした。
「…!」
何だこのジャブは?ブロックした腕がビリビリと痺れる程の威力だ。
オレはローキックを繰り出した。
こういう長身の相手はいきなり顔面にパンチやキックをしても当たらない、末端部分から攻めるのがセオリーだ。
ローキックをものともせず、ローマンはラッシュをかけてきた。
左右の連打からハイキック、オレは辛うじて避けた。
だが次の瞬間、ガードをしていたオレの顔面にパンチを放ったが、ストレートでもフックでもない見えない角度からのスイングでガードをしていた正面からではなく、側頭部に衝撃を食らった!
(何だ今のパンチは…)
間一髪で腰を落とし、的確にヒットしなかったが、まともに側頭部を捕らえられたら1発でKOされるとこだった。
だが、軽い脳震盪を起こし、オレは倒れ込むようにして相手を寝技に引きずりこんだ。
しかし上手く体勢をかわし、ガードポジションの状態で上になった相手の攻撃を両足でガッチリとカニ挟みのようにしてボディシザーズに捕らえた。
するとローマンは肘を使い、オレの膝の内側目掛けて打ち下ろしてきた。
「ぐぁっ!」
膝に何度も肘を落としてくる。
「反則じゃねえのかよ!」
だが全く聞き入れてくれない。
膝に激痛が走り、ボディシザーズを外した瞬間、ローマンは馬乗りになり、物凄い回転の速さで左右のパウンドをたたき込む。
これ以上食らったらヤバイ!
するとローマンはパウンドを打つフリをして、オレの左目に指を入れてきた!
「…ぎゃっ!」
目潰しに肘に今度は何だ?
視界がややボヤけてきた。
構わずローマンはパウンドを打ち下ろす、しかも指で目を狙っている。
卑怯もへったくれもないって闘いか、上等だ、やってやるよ!
オレはローマンが目に入れてきた指を掴み、【ペキッ】という乾いた音を立ててへし折った。
このスパーリングな本当の意味で【何でもあり】なルールだ。
指を折られてのたうち回るローマンの背後に膝を落とした。
脊柱の部分に遠慮なくニードロップの要領で体重を乗せて膝を叩き込んだ。
ローマンはほとんど動けなくなった。
そしてオレはカーウィンから教わったシュート技、フロントフェイスロックで真正面からローマンの顔面を締めた。
手首の外側に出ている骨の部分をローマンの頬骨を捻るかのようにして頸椎ごと捻り締め上げた。
フロントチョークやフロントスリーパー、フロントネックロックと呼ばれるらしいが、オレが出したのは顔面を捻り、そのまま身体を押し出すようにして頸椎ごと破壊してしまうフロントフェイスロックだ。
カーウィンはかつて「もしリングで人を殺めるとするならばフロントフェイスロックを使う」と言わしめた程の究極のシュート技だ。
ローマンの顔が横に捻れ、このまま持ち上げるように腹を突き出すようにしたら頸椎損傷で車椅子生活だ。
コイツこんな状況でもタップしないのか…ならばこのまま一生車椅子生活を送れ!
オレはグイッと腹を突き出し、ミシミシという音が感触がして、このままへし折るしかない!
オレを悪く思うな、思うならお前に指示したあの白人を恨め!
「そこまでだ!」
例の白人男性の声でストップがかかった。
オレはグローブを外し床に叩きつけた。
【バスン!】
「おい、どういう事だ一体?何がスパーリングだ?目ん玉に指突っ込むのがテメーんとこのやり方かよ、おい!」
オレはまだ先程のスイングしたパンチのダメージが残っているせいか、まだ頭がフラフラする。
「やり方?リアルプロレスラーなんだろ?相手が誰であれ、どんな状況でも勝つ。それがお前の言うリアルプロレスラーじゃないのか?」
このジジイ、名前すら名乗らずに一体何様気取りだ?
「おい、アンタ何て名前なんだよ?名乗らねえなら、こっちが適当にアンタの事を呼んでやるよ」
ククッと笑いながら白人男性は口を開いた。
「オレはダク・シュナイダー。
デヴィッド・シュナイダーはオレの兄だ」
デヴィッド・シュナイダーだと?
プロレス界の帝王して君臨したあのデヴィッド・シュナイダーの実弟なのか?
「ちなみにさっきお前が貰ったパンチ、あれはロシアンフックと言うんだ。まぁ、とりあえず合格だな。
今日からここに住め!そして明日からコマンドサンボの怖さを教えてやる」
ダクはそう言い残し、階段を上っていった。
相手のローマンは首を負傷したらしい。
おれも脳震盪と左目に指を入れられ、視力が元に戻らない。
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