(快楽に溺れ、過ちを繰り返す生命体)アナザーストーリー

sky-high

文字の大きさ
60 / 105
第二章 彼女

こういうとこ、初めてだから…

確かこの繁華街の裏通りはホテル街のはず。

まさか楓からホテルに行こうだなんて思ってもいない展開だ。

ホテルに行くって事は…そういう事になるよな、フツーは。

あの時以来、キスをしていない。
また拒絶されるのもイヤだし、手を繋ぐだけで止めている。

終電も無くなった事だし、他に行く所も無い。

会計を済ませて階段を下りた。

「うゎっ、スゴい寒~い」

そんなに寒いなら短いスカートなんて履かなきゃいいのに…と思うんだが、拘りなんだろうか。

付き合い始めてから楓はニーハイを履かなくなった。
もっぱら黒のストッキングで美脚を披露している。

「目の前にインターネットカフェあるじゃん。ここじゃダメなの?」

居酒屋の向かいのインターネットカフェを指さした。

「えぇ~っ、だってネカフェって確かアルコールの持ち込み禁止じゃなかった?まだ飲み足りないし、ホテルでいいじゃん」

オレもそこに行くつもりは無い。
念の為に敢えてネカフェはどう?と聞いただけだ。

もし、楓が「うん」と言ったらネカフェで一晩過ごす事になっただろう。
悶々としながら。


よし、じゃあ行こう。

裏路地に足を踏み入れると、とても住宅街ではありえない建物ばかりが並んでいた。

お城のような造りや、インテリアデザイナーが手掛けたようなモダンな建物が軒並みに建ってある。

どこにしようか?

「あっ!」

何かを思い出したように、楓が声を上げた。

「その前にコンビニ行こうよ。ビール買って中で飲もう?」

もう、酒はいいだろ!
ホントに朝まで飲むつもりかよ?

「…あのさ。ビール買うのはいいけど、ああいう場所だよ?しかもオレたち付き合ってるんだよ。
そういう感じになってもいいの?」

しつこいようだが、何度も念を押す。
当の本人は何の事だか理解出来ておらず、キョトンとしている。

「そういう感じって?どんな感じ?」

勘が鈍いのか、天然なのか、それとも惚けているのか…

「いや、その…まぁいいや、コンビニ行こう」

【これからセックスするんだよ、オレたちは!】ハッキリ言うつもりだったのに。

ホテル街にポツンと一軒のコンビニがあった。

「いつも亮ちゃんに出して貰ってるから、ここは私が払うね」

かごを片手にアルコールのコーナーへ向かい、次から次へと缶をかごに入れた。

「一体何本入ってんだ?…10本以上あるじゃないか!」

空いた口が塞がらない…

「後はおつまみと…ポテチとかでいい?」

嬉しそうな表情だ。

もしかして楓はラブホに行ったことがあるのか?
オレは初めてだけど。

そう考えたら、オレの方がドキドキしてきた。
どうしよう、慣れてないからテンパりそうだ…

「あ…いいよ、楓。オレが出すから」

「いいの、ここは私が払うから」

楓は財布から一万円札を出した。

アルコール類だけでかなりの金額だ。
缶がギッシリ入って袋が重い。破けないか心配だ。


「…亮ちゃん」

コンビニを出ると楓は真顔になり、畏まったような口調で話した。

「ん?」

オレは立ち止まり、耳を傾けた。

「私、こういうとこに入るの初めてだから…亮ちゃんと一緒に朝までいられるのが嬉しいから…」

下を向きながら恥ずかしそうにしてオレに寄り添った。

オレは楓の肩を抱くようにして、お城のような建物のホテルに入った。
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…