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夜が待ち遠しい
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美樹と電話番号を交換した。
先に電話をしてきたのは美樹だった。
「貴久、堀内さんて女の人から電話よ。」
母親からそう言われたが、最初誰だか解らなかった。
堀内?そんな女は知らないな。
誰だろうと思い電話に出た。
「はい、モシモシ。」
【あ、モシモシ。こんばんは。覚えてる?アタシの事?】
あっ、この声は美樹だ。
「あぁー、モシモシ。うんもちろん。」
【良かったぁ、この番号デタラメなんじゃないかと思って、試しにかけてみたんだけど、ウソじゃなかったんだね?】
「そりゃそうだよ。うん。」
【今何してるの?】
「いや、特に何もしてないけど。」
僕の家の電話は居間にあり、すぐ側で父親と母親がテレビを観ていた。
母親が父親に小指を立てていた。
【彼女なんじゃない?】
って仕草で。
僕は会話を聞かれるのが恥ずかしかった。
【今ね、友達と会っててその帰りなの。】
公衆電話からかけてるのか。
随分と騒がしい所からかけてるんだな。
「そうなんだ。何してたの?」
正直僕はこの会話を切り上げたかった。
これ以上親に聞かれたくなかったからだ。
【ご飯食べに行って、ちょっと飲んできたの。】
「あ、飲むんだ?」
【うん、それほどじゃないけど。】
あぁ、早く終わらせたい。
「そっか、じゃオレ風呂に入るからまた電話するよ。」
【うん、わかった。待ってるね。】
「うん、バイバイ。」
電話を切ってすぐに部屋に入った。
あれこれ聞かれるのがイヤだったから。
でも僕は部屋で美樹から電話がかかってきたのを喜んだ。
どんな娘なんだろ、声は可愛かったなぁ。
携帯が無い時代だから、顔は解らない。
おまけに電話は固定電話だから最初に親が電話に出る。
これがネックだった。
でもこの時代はこれしか連絡出来る手段が無かった。
翌日は僕から電話した。
家から離れた電話ボックスに入り、中にあるテレカ(テレフォンカード)の自販機に千円を入れ、美樹と話した。
どのくらい話したか解らないが、結構長い時間話した。
美樹と僕の共通点はBUCK-TICKを聴いていた事だった。
この年の初めに、当時付き合っていた彼女と武道館のライブを観に行った。
BUCK-TICKは前年の1988年にシングル【JUST ONE MORE KISS】がヒット、そしてこの年の初めに出したアルバム【TABOO】がオリコンチャート一位を獲得し、ビジュアル面でも人気を集めていたバンドだった。
【いいなぁ、アタシもライブ観に行きたいなぁ。】
「じゃあ、都合が合えば行こうよ。」
【うん、そうだね。】
僕は美樹と意気投合した。
「じゃあ、遅くなったからまた明日ね。」
【うん、待ってるね。】
「じゃあ、おやすみ。」
【おやすみなさい。】
僕は電話を切った。
家に帰ってきたときは時計が午前0時を過ぎていた。
早く次の夜にならないかな、なんて事を思い、僕はベッドに入った。
美樹と話すのが楽しくて仕方がない。
ドキドキワクワクする日が続いた。
先に電話をしてきたのは美樹だった。
「貴久、堀内さんて女の人から電話よ。」
母親からそう言われたが、最初誰だか解らなかった。
堀内?そんな女は知らないな。
誰だろうと思い電話に出た。
「はい、モシモシ。」
【あ、モシモシ。こんばんは。覚えてる?アタシの事?】
あっ、この声は美樹だ。
「あぁー、モシモシ。うんもちろん。」
【良かったぁ、この番号デタラメなんじゃないかと思って、試しにかけてみたんだけど、ウソじゃなかったんだね?】
「そりゃそうだよ。うん。」
【今何してるの?】
「いや、特に何もしてないけど。」
僕の家の電話は居間にあり、すぐ側で父親と母親がテレビを観ていた。
母親が父親に小指を立てていた。
【彼女なんじゃない?】
って仕草で。
僕は会話を聞かれるのが恥ずかしかった。
【今ね、友達と会っててその帰りなの。】
公衆電話からかけてるのか。
随分と騒がしい所からかけてるんだな。
「そうなんだ。何してたの?」
正直僕はこの会話を切り上げたかった。
これ以上親に聞かれたくなかったからだ。
【ご飯食べに行って、ちょっと飲んできたの。】
「あ、飲むんだ?」
【うん、それほどじゃないけど。】
あぁ、早く終わらせたい。
「そっか、じゃオレ風呂に入るからまた電話するよ。」
【うん、わかった。待ってるね。】
「うん、バイバイ。」
電話を切ってすぐに部屋に入った。
あれこれ聞かれるのがイヤだったから。
でも僕は部屋で美樹から電話がかかってきたのを喜んだ。
どんな娘なんだろ、声は可愛かったなぁ。
携帯が無い時代だから、顔は解らない。
おまけに電話は固定電話だから最初に親が電話に出る。
これがネックだった。
でもこの時代はこれしか連絡出来る手段が無かった。
翌日は僕から電話した。
家から離れた電話ボックスに入り、中にあるテレカ(テレフォンカード)の自販機に千円を入れ、美樹と話した。
どのくらい話したか解らないが、結構長い時間話した。
美樹と僕の共通点はBUCK-TICKを聴いていた事だった。
この年の初めに、当時付き合っていた彼女と武道館のライブを観に行った。
BUCK-TICKは前年の1988年にシングル【JUST ONE MORE KISS】がヒット、そしてこの年の初めに出したアルバム【TABOO】がオリコンチャート一位を獲得し、ビジュアル面でも人気を集めていたバンドだった。
【いいなぁ、アタシもライブ観に行きたいなぁ。】
「じゃあ、都合が合えば行こうよ。」
【うん、そうだね。】
僕は美樹と意気投合した。
「じゃあ、遅くなったからまた明日ね。」
【うん、待ってるね。】
「じゃあ、おやすみ。」
【おやすみなさい。】
僕は電話を切った。
家に帰ってきたときは時計が午前0時を過ぎていた。
早く次の夜にならないかな、なんて事を思い、僕はベッドに入った。
美樹と話すのが楽しくて仕方がない。
ドキドキワクワクする日が続いた。
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