異世界召還されたのでありがたく敵をぶっ殺します

バナナの人

文字の大きさ
9 / 20
自由の魔獣召喚編

俺に指図するな

しおりを挟む
 翌朝、俺は玉座の間に呼ばれた。

 獣としての感覚のせいか、それとも元からそういった性格なのか。もうあのベッドの感触が恋しくなってきた。眠くはないんだが、ずっとあの場所にいたいと思わせる感覚は前世のこたつと酷似している。まさかあのベッドは俺のこたつの生まれ変わりなのか!?……なわけねえか。

 今日の玉座の間にいるのはプリマ姫さま。彼女は王座に座り、その左右には護衛らしき騎士が待機していた。

 一人は銀髪碧眼の美少女騎士。彼女はオリヴィアといってプリマ姫さまの妹らしい。
 スッとした鼻筋とキリッとした目つき。彼女も姉同様に美しい相貌をしており、顔つきは違うがパーツは姉妹であることを証明している。……まあお胸の方は残念だが。

 もう一人は全身を覆い隠すような黒い全身鎧フルプレートを身に纏っている中年騎士。立派な顎髭に顔の所々に刻まれた古傷。そんな情報を並べられると強面そうに思えるが、快活な笑みを浮かべる親近感を感じるおっさんだ。

「おはようございます勇者さま」
「ああ、はよ」

 適当に挨拶すると姫さまの側に控えていた姫騎士が剣を抜いて怒った。

「おい貴様!プリマお姉様になんて口の聞き方してるんだ!?」

 どうやら俺の態度が気に入らなかったらしい。剣をちらつかせて俺を脅そうとする。

「お前はお姉様によって呼び出されたんだ!ならば従うのが道理だろ!! お前はお姉さまに召喚されたのだからお姉さまの所有物同然だ!! お姉さまに従え!!」
「…………は?」

 姫騎士の言葉を聴いてムカついたので、俺は軽く睨んだ。
 俺としては軽く力を込めた程度。かつて自由だった頃、ちょっかいをかけるバカ鳥サンシャイン・クイーン・フェニックスを追い払う程度の威圧だ。人間相手にはきついとは思うのだが、奴は俺の逆鱗に触れた。むしろこのまま殴ったり胸ぐらを掴まないだけ褒めて欲しいぐらいだ。

「ひ……ヒィ!!?」

 俺の目を見て一歩退くオリヴィア姫騎士。
 足は内股になり、全身が僅かに震えている。凛々しい顔は恐怖で弱々しく歪んでいた。
 面白いぐらいの変わりようだな。さっきまではまるで漫画とかで見る完全無欠の生徒会長みたいだったのに、いきなり不良に絡まれるいじめられっ子に一変したぞ。

 だが俺は容赦しない。お前は俺の許せない領域に足を踏み入れたのだ。許すわけにはいかない。

「おいテメエ、なに俺に命令してやがる?俺はお前らの手下になった覚えはねえぞ?」
「で……でも伝承じゃ! 伝承じゃ勇者は王に従ってたのにお前は……!」
「知るかんなもん!!」
「ぴい!!」

 勝気そうな目に涙を浮かべて尻餅をつく姫騎士さま。
 ……そこまでビビらなくてもいいだろうが。これじゃあ俺がいじめてるみたいじゃん。まあ、それでも許さねえけどな。

 俺を従えようとする奴、縛ろうとする奴、支配しようとする奴は誰であろうと許さねえ。たとえどれほど強大な存在だろうともだ。
 そうだ、今まで俺はそんな奴らと戦ってきた。俺から何かを奪おうとする奴、俺を隷属させようとする奴、俺を虐げようとする奴、全て倒してきた。

 俺は誰にも従わねえ。誰にも縛られねえ。誰かの支配に付いて窮屈な思いをするなんざ願い下げだ。それなら牢屋に戻って惰眠を貪っている方が万倍もマシだ!

「俺は誰の下にも付かねえ。誰の指図も聞かねえ。俺は誰かにを支配するのもされるのも絶対許せねえんだよ!!」
「「「………」」」

 尻餅をついている姫騎士だけでなく周囲にいる全員に向かって言う。
 俺に反論するものは誰もいない。皆下を向いて沈黙を決め込んでいた。

「俺とお前は対等だ。これを曲げる気はねえ」







「もしお前らがそれを破ろうってなら………俺はテメエら王国を滅ぼす」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる

ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。 レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。 これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...