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自由の魔獣召喚編

ステータス確認と模擬戦

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 あの不愉快な邂逅の後、俺は王宮の広場へと向かった。
 なんでもそこで俺の能力の査定と訓練を行うらしい。さて、どんな未知が待っているのか……。

「じゃあ、最初に自己紹介といくか。俺はアンドリュー。王国黒虎騎士団団長を務めている。今日からお前の実戦訓練の教官……つってもお前にはいらなさそうだな」

 おお、さっきも思ったが、このおっさんもなかなか元気が良いぞ。流石は騎士団の団長を務めるような人だ。獣である俺にも誠意のようなものがしっかりと伝わってきた。

「俺はリオン・グリフィンオールだ。以後よろしく。まあ俺は剣や格闘技については素人だから勉強しておきてえ。使えるかは疑問だが知っておくだけで対策も出来るだろうし」
「確かにそうだな! じゃあまず最初にステータスプレートを配る。これは身分証明にも使えるから無くすんじゃないぞ」

 ステータスプレート。それはその人の情報が記された金属カードらしい。
 ステータスという自分の能力を数値化したものがそこには描き出され、王国ではそれが身分証明にも使えるのだとか。無くしたところで特に罰則などはないが、金がかかるのでなるべく無くさないでほしいという話だったな。

 俺にステータスプレートを渡してきた。
 見た目はなんの変哲もない、ただの金属板だ。しかし魔力のようなものがあり、若干生き物の体温のような熱を感じる。
 軽くそれを見ていると、今度は針を渡してきた。なんでもそれを使って、ステータスプレートに血を垂らせばいいらしい。
 あとはステータスプレートが機能を果たしてくれるそうな。まったく、魔法というのは科学以上に便利な代物だ。

 右の親指に針を薄く突き刺す。指を伝った血をステータスプレートに垂らすと、ステータスプレートが暖かな光を放ち、次々と文字が浮かび上がってきた。




名前:リオン・グリフィンオール 

種族:人間族(仮)

年齢:年齢不詳

レベル:測定不能

体力:測定不能

魔力:測定不能

物攻:測定不能

物防:測定不能

特攻:測定不能

特防:測定不能

敏捷:測定不能

≪自己支援スキル≫
変身 狂化 絶対五感

≪創造系スキル≫
上位~下位魔獣創造 上位~下位分身創造

≪阻害系スキル≫
不死殺し 再生阻害 吸収無効 物理無効突破 耐性無効化 気配遮断

≪探知系スキル≫
鑑定 見切り 気配絶対察知 獲物絶対探索 悪意・敵意絶対探知 危険絶対察知

≪味方支援スキル≫
味方強化 軍勢狂化 ポジティブタッチ

≪耐性・吸収系スキル≫
魔法全般絶対的耐性 物理全般絶対的耐性 属性攻撃無効 スキル全般絶対的耐性 毒無効 幻覚無効 呪術無効 死霊系無効 致死系無効 精神攻撃無効 クリティカル無効 熱吸収 魔力吸収 プラズマ吸収 エネルギー吸収

≪種族固有スキル≫
悪食 魔獣の咆哮 魔獣の威光

≪攻撃・防御系スキル≫
牙砲ファノン 魔獣の城壁牙シェルター・ファング 破壊魔光線デストロイ・ビーム

≪固有スキル≫
ハーレムの王

≪魔法≫
閲覧不可

※スキルの数が膨大なため省略させていただきます。




 ………なんか測定不能やら不能やらが多すぎない? プレートさん全然仕事してないじゃん。

「な……なんだこの異常なスキルの数々は!!?」

 どうやら俺のステータスは予想以上にすごいらしい。

「こんなでたらめなスキルはありえないはずだ!絶対的耐性などほぼ無効化と呼んでもいいほどのスキルなんだぞ!それをなぜ全般なんてとんでもない範囲で取得している!?しかも二つ!? お前は一体何者だ!?」

 魔界で魔物や魔獣を束ねる魔獣王してました。
 いや、俺自身は統治したり傘下に加えたつもりないんだよ?でも勝手に寄って来るんだ。
 倒したり治療したり問題を解決したりすることでどんどん俺のとこに魔物たちが集まってくる。それで気づいたら国が誕生して俺が王になってしまった。………自分でもマジ訳わかんない。

「しかもハーレムの王って……力と女、男の欲しいものをほとんど持ってやがるな」

 ライオンだからね。強い雄は群れを率いるのがルールなんだ。まあすぐに抜け出して放浪してたけど。放浪して王になっちゃったけど!

「俺のことはいいだろ?それより訓練だ」
「あ……ああそうだな!じゃあ訓練始めようか。俺が教えるのは剣術だ」

 俺はさっそく渡された剣を構える。
 獣だった俺は武術など使ったことがなかった。一応修行することで獣人体になることが出来るが、その際は格闘戦もしたことはあるのだが我流だ。武術なんて使ったことない。
 しかし今、俺の目の前には本物の戦士がいる。さて、どんな攻撃を仕掛けてくるか……。

「では行くぞ勇者リオン!」
「ああ。まあお手柔らかに」

 早速アンドリューが仕掛けてきた。
 居合いの構えを取って俺に飛びかかる。いや、すり足で体勢を保ちながら近づいてきた。
 いつでも抜刀出来る最善の状態を保ちながらの接近。これは暴れることしか能のない獣にはできない芸当だ。

 剣の射程距離内に入ったと同時に抜刀。俺は軌道上に剣を翳して受け止めようとするも、動きに違和感を覚えて中断。それと同時にアンドリューの剣の軌道が変わった。フェイントか!?
 だが問題ない。俺の動体視力とスピードで対処出来るレベルだ。
 俺は剣筋を読んで己の得物を翳し、アンドリューが振るう剣を受け流す。

「なに!?」

 アンドリューは自身の攻撃に対応されたことに驚きながらも剣を振るう手を緩めず、俺は冷静に攻撃を捌いていく。

 パワーやスピード等は俺のほうが上。
 剣士としての技術は相手のほうが上。

 この場合、通常は拮抗するはずが、その心情は正反対と言っていいものだった。

 入念にフェイントを入れることで、まさか対応されるとは思ってなかったアンドリュー。相手の行動を予測して行動した俺。

 動揺しているアンドリューと冷静な俺。勝敗を分けたのは、お互いの心構えの差だった。

 俺の剣がアンドリューの小手を叩いた。
 その衝撃で剣を落とし、大きな隙が生まれる。俺はそこを突いた。

「ていっ!」
「ぐあッ!!」

 力づくで剣を振るう。俺の剣は防御した相手の剣ごとアンドリューを吹っ飛ばした。

「俺の勝ちだな」
「そう……だな」

 アンドリューは少し悔しそうに言った。
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