異世界召還されたのでありがたく敵をぶっ殺します

バナナの人

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自由の魔獣召喚編

訓練終わりました

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「凄まじいパワーとスピードだ。これなら技術も駆け引きもいらねえな」
「………え?」

 訓練を一通り終えた後、アンドリューはとんでもないことをほざきやがった。

「な、なに言ってんだよ? 訓練はまだ始まったばっかじゃん」
「そうなんだけどな……正直下手な小細工いらねえほど強いんだよな。だってお前、今でも相当加減してるだろ?」
「……バレた?」
「気づくに決まってるだろ。あんな暇そうにされてたら嫌でも思う。ああ、俺はお前にとっては雑魚なんだなって」

 マジ?俺ってそんなにわかり易い?

「……すまん」
「いいって。実際のことだからな」

 気まずそうな笑みでアンドリューはそう言うも、やはり内心悔しがってるのが分かった。
 これは不味いな。いくら気にしている様子がないとはいえ俺はこの人のプライドを傷つけてしまった。こういった問題は後で大きくなるって前世じゃ何度も体験したのに……。

「そもそも膂力の差が天と地まであるんだ。これじゃ組み手が成立しない。それに、お前のバトルスタイルはすでに整ってるんだろ?なら余計なものを取り入れて乱すことはない」
「え?そんなものか?」
「そんなのものだ。武術なんて戦うための道具の一つに過ぎない。むしろ力押しで済むならそっちの方がありがたいくらいだ」

 まあ、言ってることは分かる。

 戦闘において理想的なのは、圧倒的なパワーによって一瞬で終わらせることだ。もしそれが可能ならば策も技もいらない。
 誰だって面倒な技の練習や難しい策を練るよりも、さっさと楽に終わらせる方がいいに決まっている。まっすぐ道があるのにわざわざ遠回りするような奴がいないのと同じだ。
 しかし、そんなに力差があるなら最初から争いにならない。大体戦う相手は自身と同格か格上だ。そういった相手を倒すために技や策があるのだが、どうやらここにはその同格がいないようだ。

「(……まだ俺は1パーセントの力も出してねえぞ。本当に大丈夫か?)」

 俺は大きなため息をついた。
 戦闘は圧倒的な力で最短に終わらせるのが理想。同格や格上は避けるべき。この理屈にケチをつける気はないし、俺自身も現実的に考えるならばそれが正しいと思う。だが、それでは楽しめないのだ。

 俺たち魔物にとって戦闘こそが唯一の美学。それは前世が人間である俺も変わりない。ゆえに、俺は避けられるはずの戦闘や格上との争いもしてしまうのだ。 
 こういえば前世の俺なら何を無駄なことをしてるのだと言うであろう。だが今の俺はこう答える。無駄の何が悪いと。


 世の中には必要な無駄や面白い無駄というものがある。
 たとえばいつも通っている道を遠回りするのは無駄であろう。しかし、違う道を通ることで面白いものが見つかるかもしれない。
 俺もいつもとは違う道順で遠回りして縄張りを回ったことがある。そのとき、魔界でも数少ない美味しい木の実を見つけることができた。
 戦闘も同じである。同格と戦うことで相手の面白い技を見つけることができた。相手のすごい策を見ることができた。

 もちろん戦いで痛い目を見る。俺はマゾじゃないから痛いのも苦しいのも嫌いだ。だが、それに相応する何かを見つけることができるかもしれない。そして、実際に何度も見つけることが出来た。


 無駄の中にこそ楽しみがあるのだ。………こんな単純なことを前世の俺は理解していなかった。

「(ま、一番の目的は戦いの高揚感や多好感、そして勝利した際の歓喜だけどな)」

 まあ、これはほかの魔物も同じことなので特に言うまでもないか。

「そもそも測定不能というのは人間の範疇で測れない存在を意味するんだ。そんな奴は魔族でもなかなかいないぞ。もしかしたら魔王を超えているかもな」
「ふ~ん」

 話を聞く限り、測定不能とは人間の物差しで見れる強さ以上を指すという。だから魔王もそれに当てはまるということだ。

「(しかし、それにしたって便利なカードだな)」

 アンドリューのステータス遠目で見ながら俺は感心する。

 戦闘において情報の有無は生死の一線を繋ぐ重要な要因。その中でも相手の強さや使える技は千金をも超えると言っていい。それをこんなプレート一枚で丸わかりなんて……なんかゾッとするな。

「しかしあまりにも超越した奴はステータスが映らないからな。万能というわけでもない。ちょうど勇者さまや魔王のことだな」
「そうだな」

 それでもそいつが桁違いの化け物だってことがわかるだけで十分な収穫だぞ?

「てかスキルってなんだ? 俺達にはない概念だぞ」
「…………は?」
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