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自由の魔獣召喚編
蹂躙の天使
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その男は、突然現れた。
背中から七色の翼を生やした、金髪金眼の男。靡く黄金の髪は獅子を、虹色に輝く翼を、爛々と輝くその眼は太陽を彷彿させた。
何よりも恐れるべきはその圧力。そこにいるだけで他者を屈服させるような存在感。その姿も相まって、彼らにはその男を一瞬だが天使と錯覚してしまった。
天使といっても、死を連想させる不吉な天使だが。
「「「・・・」」」
黙って警戒する魔族の盗賊たち。錆びた剣やこん棒を握りしめ、天使の様子を窺った
「よぉ劣等共。お前らに死を届けに来てやったぜ」
底冷えするほど低い声で、まるで獲物を目の前にした肉食獣のような顔で。天使―――リオンは心底嬉しそうに顔を歪めた。
天使から一変。その有様は血に飢えた魔獣そのものだ。
「や…やっちまえーーーーーーー!!!!」
人間では出せないような、大音量の怒鳴り声が村に響き渡った。牛、馬、犬、鼠……。様々な動物の頭部をした魔族たちが各々の武器を振りかざす。
彼らは決してボスの命令を聞いたわけではない。ただ恐怖で冷静な判断を失い、目の前にいる未知の生物にどうしていいかわからず。ほぼ反射レベルで襲い掛かった。例えるなら野良犬が恐怖で相手にかみつくようなものだ。
獣たちの攻撃が当たる前にリオンは空に逃げる。
翼があって飛べるのだ。当然こうする。
「まずは魔法の実験だ」
キヒッと邪悪な笑みを浮かべながら指先を魔族たちに向け……
「ファイヤボム」
地獄を落とした。
俺の指先からバスケットボールほどの大きさの火球を形成。それは盗賊の集団の中心に着弾すると同時に爆発した。
ズドォォォォォン!と、何十倍もの爆炎となって盗賊たちを飲み込み、焼き尽くす。なだれ込むかのように地面を嘗め回し、盗賊たちの半数を飲み込んだ。
あるものは一瞬で灰となり、あるものは火達磨となり、あるものは燃え移った炎を消そうと地面を転がる。
炎から逃れた者もまた最期を迎えた無事では済まされなかった。爆風と衝撃によって蹴散らされ、手足が妙な方向に曲がり、頭を粉砕され、内臓を押しつぶされた。
「「「・・・」」」
そのあまりの威力に盗賊たちだけでなく村人も唖然とした。
たった、たった一発でこのありさま。あんな短い詠唱のみでこの威力。まるで天災のような一撃を、悪魔のような天使は簡単にやってのけたのだ。
なら次はどうなる?
「「「う・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
彼らは逃げ出した。
少しでも体を軽くするために武器を捨て、少しでも遠くに逃げるために他者を押しのける。そんなことをしても無駄だと知らずに……。
「ファイアレンジ」
今度は地面から炎に包まれた巨石が盛り上がった。岩は盗賊を閉じ込める檻のように囲み、閉じ込めた囚人たちをその炎で焼き尽くす。
中は灼熱地獄そのもの。監獄が口を開ける頃には全てを焼き尽くし、骨どころか灰一つ残らなかった。
「ファイア」
こぼれ落ちた者たちを炎で焼き尽くす。
正確無比に狙いをつけ、村人や周囲の建物に火が付かないように。盗賊のみを灰にした。
「逃げるな。……ポイントファイア」
村人の中に逃げ惑う魔族が突如炎に包まれた。
まるで炎が瞬間移動したかのように、村人たちは傷つけないようにしているかのように。ピンポイントで魔族のみを焼いている。
「な、ななな! なんじゃこりゃ!!?」
盗賊の親方は震えた。
なんの冗談だコレは? 天使が現れて俺たちを虐殺? ―――悪い夢にもほどがあるぞ。
こんな突拍子もないデタラメ、人間でも妄想しないぞ。一度人間の英雄弾やおとぎ話を聞いて妄想も甚だしいと思ったが、この光景はそれ以上に不条理で頭がおかしい。もし誰からがこの話を書いているのなら、ソイツの頭を本気で疑う。
理不尽にも程がある。悪い夢ならさっさと覚めてくれ!
「な、なんでだ!?なんで……グハッ!!」
「決まってるだろ、お前が弱いからだ」
リオンは突如盗賊の親分の後ろに現れて蹴り飛ばす。面白いほどに吹っ飛び、15mほど離れた岩にぶつかった。岩と骨を粉々に砕き、土埃が舞う。
「あ、あぁぁ……。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴を上げて逃げる。ボロボロの体に鞭を打って。粉々に骨折し、筋の切れた肉で。彼は芋虫のように這って逃げようとした。
本来ならば指一本も動けないほどの激痛とダメージ。だが、死が目の前に迫っているせいか、彼の身体は本来持っている以上の何かを引き出し、必死に逃げようとした。
だが、死は決して彼を逃すことなどなかった。
「おうおう活きがいいねえ。そんな声出されたらもっとやりたくなっちまうぜ!」
美しい悪魔はその美貌を醜悪なヒャッハー顔に歪め、盗賊に宝剣のような鋭い爪を向ける。
………本来の目的である魔族の尋問を忘れて。
背中から七色の翼を生やした、金髪金眼の男。靡く黄金の髪は獅子を、虹色に輝く翼を、爛々と輝くその眼は太陽を彷彿させた。
何よりも恐れるべきはその圧力。そこにいるだけで他者を屈服させるような存在感。その姿も相まって、彼らにはその男を一瞬だが天使と錯覚してしまった。
天使といっても、死を連想させる不吉な天使だが。
「「「・・・」」」
黙って警戒する魔族の盗賊たち。錆びた剣やこん棒を握りしめ、天使の様子を窺った
「よぉ劣等共。お前らに死を届けに来てやったぜ」
底冷えするほど低い声で、まるで獲物を目の前にした肉食獣のような顔で。天使―――リオンは心底嬉しそうに顔を歪めた。
天使から一変。その有様は血に飢えた魔獣そのものだ。
「や…やっちまえーーーーーーー!!!!」
人間では出せないような、大音量の怒鳴り声が村に響き渡った。牛、馬、犬、鼠……。様々な動物の頭部をした魔族たちが各々の武器を振りかざす。
彼らは決してボスの命令を聞いたわけではない。ただ恐怖で冷静な判断を失い、目の前にいる未知の生物にどうしていいかわからず。ほぼ反射レベルで襲い掛かった。例えるなら野良犬が恐怖で相手にかみつくようなものだ。
獣たちの攻撃が当たる前にリオンは空に逃げる。
翼があって飛べるのだ。当然こうする。
「まずは魔法の実験だ」
キヒッと邪悪な笑みを浮かべながら指先を魔族たちに向け……
「ファイヤボム」
地獄を落とした。
俺の指先からバスケットボールほどの大きさの火球を形成。それは盗賊の集団の中心に着弾すると同時に爆発した。
ズドォォォォォン!と、何十倍もの爆炎となって盗賊たちを飲み込み、焼き尽くす。なだれ込むかのように地面を嘗め回し、盗賊たちの半数を飲み込んだ。
あるものは一瞬で灰となり、あるものは火達磨となり、あるものは燃え移った炎を消そうと地面を転がる。
炎から逃れた者もまた最期を迎えた無事では済まされなかった。爆風と衝撃によって蹴散らされ、手足が妙な方向に曲がり、頭を粉砕され、内臓を押しつぶされた。
「「「・・・」」」
そのあまりの威力に盗賊たちだけでなく村人も唖然とした。
たった、たった一発でこのありさま。あんな短い詠唱のみでこの威力。まるで天災のような一撃を、悪魔のような天使は簡単にやってのけたのだ。
なら次はどうなる?
「「「う・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
彼らは逃げ出した。
少しでも体を軽くするために武器を捨て、少しでも遠くに逃げるために他者を押しのける。そんなことをしても無駄だと知らずに……。
「ファイアレンジ」
今度は地面から炎に包まれた巨石が盛り上がった。岩は盗賊を閉じ込める檻のように囲み、閉じ込めた囚人たちをその炎で焼き尽くす。
中は灼熱地獄そのもの。監獄が口を開ける頃には全てを焼き尽くし、骨どころか灰一つ残らなかった。
「ファイア」
こぼれ落ちた者たちを炎で焼き尽くす。
正確無比に狙いをつけ、村人や周囲の建物に火が付かないように。盗賊のみを灰にした。
「逃げるな。……ポイントファイア」
村人の中に逃げ惑う魔族が突如炎に包まれた。
まるで炎が瞬間移動したかのように、村人たちは傷つけないようにしているかのように。ピンポイントで魔族のみを焼いている。
「な、ななな! なんじゃこりゃ!!?」
盗賊の親方は震えた。
なんの冗談だコレは? 天使が現れて俺たちを虐殺? ―――悪い夢にもほどがあるぞ。
こんな突拍子もないデタラメ、人間でも妄想しないぞ。一度人間の英雄弾やおとぎ話を聞いて妄想も甚だしいと思ったが、この光景はそれ以上に不条理で頭がおかしい。もし誰からがこの話を書いているのなら、ソイツの頭を本気で疑う。
理不尽にも程がある。悪い夢ならさっさと覚めてくれ!
「な、なんでだ!?なんで……グハッ!!」
「決まってるだろ、お前が弱いからだ」
リオンは突如盗賊の親分の後ろに現れて蹴り飛ばす。面白いほどに吹っ飛び、15mほど離れた岩にぶつかった。岩と骨を粉々に砕き、土埃が舞う。
「あ、あぁぁ……。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴を上げて逃げる。ボロボロの体に鞭を打って。粉々に骨折し、筋の切れた肉で。彼は芋虫のように這って逃げようとした。
本来ならば指一本も動けないほどの激痛とダメージ。だが、死が目の前に迫っているせいか、彼の身体は本来持っている以上の何かを引き出し、必死に逃げようとした。
だが、死は決して彼を逃すことなどなかった。
「おうおう活きがいいねえ。そんな声出されたらもっとやりたくなっちまうぜ!」
美しい悪魔はその美貌を醜悪なヒャッハー顔に歪め、盗賊に宝剣のような鋭い爪を向ける。
………本来の目的である魔族の尋問を忘れて。
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もっとやってやれー!w
ありがとうございますW
もっと派手にやってやります!
読んでて気持ちよく、面白いです!
頑張ってくださいm(_ _)m
ありがとうございます!
もっと蹂躙してやります!
姫様からリヴェンジャーの匂いがしますね
復讐だけですんだらいいのですが……。