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表裏シリーズ
同じ人形がいい【裏編】(約10分 男女不問1人読み)
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ジャンル【ミステリー】
配役 1名
語り手(不思議な雰囲気を持つ謎の人物。キャラ付け自由)
《概要》
双子の姉妹に起きた悲劇のお話。
出題編にあたる【表編】から先にお読みください。
一応続き物で前作がありますが(『生贄はいなかった【表編・裏編】』)、1話完結なので今作だけで問題なくお読み頂けます。
====================
○静かな場所(演者が自由に想像・設定してください)
「おや、あなたですか。これは予想外に早く来てくれましたね。もう答えがわかってしまったのですか? それとも、考えるよりも早く答えが知りたくなったのか、あるいは………………早く私に会いたくなってしまったのかな?」
「(笑いながら)冗談ですよ。そんな怖い顔をしないでください。何にせよ、これからお聞かせすることは決まっているのですから」
「……えぇ。大変お待たせいたしました。『同じ人形がいい』。その真相のお話です」
何でも同じがいいという双子の姉妹に、同じ人形が1体ずつ贈られました。そして最後に双子の姉だけが、二人のうちのどちらかの人形の怨念に殺された。
姉を殺したのは、姉と妹、どちらの人形か。それが、表編であなたにお出しした問題でしたね。
今回、このお話の鍵となるのは、人形たちが『とても上等な人形だった』ことです。
双子の父親は、自分の娘たちには必ず品質にこだわり抜いた最高のものを与える主義で、この人形も、彼が信頼する人形職人に1体ずつ手作りで注文しようとしたものでした。
しかし、彼は人形製作にどれほどの時間がかかるのかを知らなかったようで、余裕をもって注文したつもりでいても、「今からでは2体どころか1体作るのだって間に合うかどうかわからない」と言われてしまったのです。
困った父親は、仕方なく職人に「君の作った今ある既製品の中で一番良い人形と二番目に良い人形を見せてくれ」と頼みました。
職人の持ってきた一番良い人形を見て「1体はこれでいい」、そして二番目に良い人形を見て彼はこう言いました。
「この人形を、一番良い人形と同じ見た目になるように手直ししてくれ。そのぐらいの時間ならあるだろう?」。
そんな経緯があり、1体の人形をもう1体と同じに見えるように作り変えることで、2体の同じ人形が完成したのでした。
さて、そんなことを知らない双子の姉妹たちは、同じ人形をプレゼントされて大変喜んだものですが、……ここで一度考えてみませんか? ……そう、【人形の気持ち】をです。
一番良い人形」は問題ありません。そのままの形で、主となる双子の妹のもとへと贈られただけでしたから。
しかし問題は、姉のもとへ贈られた、「一番良い人形と同じ見た目になるように作り変えられた」人形です。
あなたは彼女がどんな気持ちだったのか、想像ができますかな?
彼女はとても傷付き、とても悲しんでいました。
職人の手によって大事に作られ、1体のオリジナルとしてこの世に生み出された美しい人形。そこに一番も二番も関係ありません。彼女は自分が自分として生まれてきたことに誇りを持っていたのに、勝手に別の人形に変えられてしまった。それは彼女にとってどれほど悲しいことだったのでしょう。
二番目に良かった人形……姉の人形は、その憎しみを双子の姉妹にぶつけるようになりました。
双子たちが何でも同じであることにこだわるから自分は変えられてしまった。だから双子が同じであろうとすることが許せなくなったのでした。
彼女たちを『何でも同じ』ではなくしてしまおう。
そう考えるまでに時間はかからなかったようです。…しかし、人形は本来自分の主には忠実なもので。姉の人形は、自分の主である姉のことはどうしても傷付けることができなかったのでした。
だから自然と、その【行動】は、妹だけに矛先が向いてしまった。
双子を違う見た目にするため、…妹を姉と同じでなくするため。ある時はお揃いのワンピースを汚させ、ある時は長い髪をバッサリ切らせ、自分の怨念を晴らそうとしました。
さて、ここで一度思い出してみてほしいのは、妹の人形の存在です。
この一部始終を間近で見ていた妹の人形は、一体どんな気持ちでいたのでしょう?
自分は手直しされなくてラッキーだった? 変えられてしまった姉の人形が可哀想だ? いいえ、違います。
先程お伝えしたように、人形は本来、自分の主には忠実なもの。この時の妹の人形は、『これ以上私の主ばかりを傷付けるのは許せない。お前にも同じ思いをさせてやる』と、…そう思っていたのでした。
妹の人形がついに怒りをあらわにし、その怨念を双子の姉への攻撃に変えた時、そこで何が起きたのでしょうか?
……ときにあなたは、上等な人形を手にしたことがありますか?
素材にも縫製にもこだわり抜いた、一流の職人の手で丁寧に製作された人形は、かなり頑丈にできています。
…それこそ、高いところから落下しても壊れない程度にはしっかりしたものなのですよ。
では、話を戻しましょう。妹の人形は、姉の人形のように双子を同じでなくする…などという目的は持たず、非常にシンプルに仕返しがしたいだけの気持ちでした。
…なので、そのやり方もとてもシンプル。公園の遊具から突き落とすという、ただそれだけの発想でした。
……人形は、あくまで人形を基準にしか考えられなかったのかもしれませんね。
まさか生身の人間が、人形よりもずっと脆(もろ)く出来ているなんて、……彼女は知らなかったのですから。
「これが、このお話の真相でした。……『こんなのわかるはずないだろ』って顔ですね。…以前別のお話をお聞かせした時には、その表情を読み取ることができなかったけれど。……どうです? 私も少しずつ、あなたのことがわかってしまうようになっているでしょう? …またここへ来てくれたら、私達の関係も、もっと深くなっていくのかもしれないですね」
「ふふふ。気持ち悪いなんて、嘘ですね。だって、その顔はきっと、…また私に会いに来てくれる顔ですから」
【裏編】終
配役 1名
語り手(不思議な雰囲気を持つ謎の人物。キャラ付け自由)
《概要》
双子の姉妹に起きた悲劇のお話。
出題編にあたる【表編】から先にお読みください。
一応続き物で前作がありますが(『生贄はいなかった【表編・裏編】』)、1話完結なので今作だけで問題なくお読み頂けます。
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○静かな場所(演者が自由に想像・設定してください)
「おや、あなたですか。これは予想外に早く来てくれましたね。もう答えがわかってしまったのですか? それとも、考えるよりも早く答えが知りたくなったのか、あるいは………………早く私に会いたくなってしまったのかな?」
「(笑いながら)冗談ですよ。そんな怖い顔をしないでください。何にせよ、これからお聞かせすることは決まっているのですから」
「……えぇ。大変お待たせいたしました。『同じ人形がいい』。その真相のお話です」
何でも同じがいいという双子の姉妹に、同じ人形が1体ずつ贈られました。そして最後に双子の姉だけが、二人のうちのどちらかの人形の怨念に殺された。
姉を殺したのは、姉と妹、どちらの人形か。それが、表編であなたにお出しした問題でしたね。
今回、このお話の鍵となるのは、人形たちが『とても上等な人形だった』ことです。
双子の父親は、自分の娘たちには必ず品質にこだわり抜いた最高のものを与える主義で、この人形も、彼が信頼する人形職人に1体ずつ手作りで注文しようとしたものでした。
しかし、彼は人形製作にどれほどの時間がかかるのかを知らなかったようで、余裕をもって注文したつもりでいても、「今からでは2体どころか1体作るのだって間に合うかどうかわからない」と言われてしまったのです。
困った父親は、仕方なく職人に「君の作った今ある既製品の中で一番良い人形と二番目に良い人形を見せてくれ」と頼みました。
職人の持ってきた一番良い人形を見て「1体はこれでいい」、そして二番目に良い人形を見て彼はこう言いました。
「この人形を、一番良い人形と同じ見た目になるように手直ししてくれ。そのぐらいの時間ならあるだろう?」。
そんな経緯があり、1体の人形をもう1体と同じに見えるように作り変えることで、2体の同じ人形が完成したのでした。
さて、そんなことを知らない双子の姉妹たちは、同じ人形をプレゼントされて大変喜んだものですが、……ここで一度考えてみませんか? ……そう、【人形の気持ち】をです。
一番良い人形」は問題ありません。そのままの形で、主となる双子の妹のもとへと贈られただけでしたから。
しかし問題は、姉のもとへ贈られた、「一番良い人形と同じ見た目になるように作り変えられた」人形です。
あなたは彼女がどんな気持ちだったのか、想像ができますかな?
彼女はとても傷付き、とても悲しんでいました。
職人の手によって大事に作られ、1体のオリジナルとしてこの世に生み出された美しい人形。そこに一番も二番も関係ありません。彼女は自分が自分として生まれてきたことに誇りを持っていたのに、勝手に別の人形に変えられてしまった。それは彼女にとってどれほど悲しいことだったのでしょう。
二番目に良かった人形……姉の人形は、その憎しみを双子の姉妹にぶつけるようになりました。
双子たちが何でも同じであることにこだわるから自分は変えられてしまった。だから双子が同じであろうとすることが許せなくなったのでした。
彼女たちを『何でも同じ』ではなくしてしまおう。
そう考えるまでに時間はかからなかったようです。…しかし、人形は本来自分の主には忠実なもので。姉の人形は、自分の主である姉のことはどうしても傷付けることができなかったのでした。
だから自然と、その【行動】は、妹だけに矛先が向いてしまった。
双子を違う見た目にするため、…妹を姉と同じでなくするため。ある時はお揃いのワンピースを汚させ、ある時は長い髪をバッサリ切らせ、自分の怨念を晴らそうとしました。
さて、ここで一度思い出してみてほしいのは、妹の人形の存在です。
この一部始終を間近で見ていた妹の人形は、一体どんな気持ちでいたのでしょう?
自分は手直しされなくてラッキーだった? 変えられてしまった姉の人形が可哀想だ? いいえ、違います。
先程お伝えしたように、人形は本来、自分の主には忠実なもの。この時の妹の人形は、『これ以上私の主ばかりを傷付けるのは許せない。お前にも同じ思いをさせてやる』と、…そう思っていたのでした。
妹の人形がついに怒りをあらわにし、その怨念を双子の姉への攻撃に変えた時、そこで何が起きたのでしょうか?
……ときにあなたは、上等な人形を手にしたことがありますか?
素材にも縫製にもこだわり抜いた、一流の職人の手で丁寧に製作された人形は、かなり頑丈にできています。
…それこそ、高いところから落下しても壊れない程度にはしっかりしたものなのですよ。
では、話を戻しましょう。妹の人形は、姉の人形のように双子を同じでなくする…などという目的は持たず、非常にシンプルに仕返しがしたいだけの気持ちでした。
…なので、そのやり方もとてもシンプル。公園の遊具から突き落とすという、ただそれだけの発想でした。
……人形は、あくまで人形を基準にしか考えられなかったのかもしれませんね。
まさか生身の人間が、人形よりもずっと脆(もろ)く出来ているなんて、……彼女は知らなかったのですから。
「これが、このお話の真相でした。……『こんなのわかるはずないだろ』って顔ですね。…以前別のお話をお聞かせした時には、その表情を読み取ることができなかったけれど。……どうです? 私も少しずつ、あなたのことがわかってしまうようになっているでしょう? …またここへ来てくれたら、私達の関係も、もっと深くなっていくのかもしれないですね」
「ふふふ。気持ち悪いなんて、嘘ですね。だって、その顔はきっと、…また私に会いに来てくれる顔ですから」
【裏編】終
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