8 / 30
7-2・喧嘩を売られたがどういうわけか……
しおりを挟む
魔法体術の授業が進む中、組み手をすることになった。
俺の相手は、俺のことが気に食わないボス生徒「ジョセフ」だった。
見てわかるくらい、敵意むき出しだった。
「初め!」
ロイク・バーンハルト先生の掛け声と同時に、ジョセフは俺に向かって突進し、拳を振り上げてきた。
だが、俺は簡単にそれを避け、首の付け根に肘打ちを一撃。
それで、すべてが終わった。
ジョセフはその場に倒れ、ピクリとも動かず、すぐに保健室へ運ばれていった。
怒られるかと思ったが、ロイク先生は「獣人だから仕方ない」とだけ言って、お咎めはなし。
まあ、俺がまだ手加減していたから、というのもある。
逆に言えば、ジョセフがマナの力の加減を誤ったのかもしれない。
下手をすれば「マナ失速症」になっていてもおかしくなかった。
最悪の場合、死ぬこともある。
マナ失速症とは、未熟な者が急激にマナを使いすぎて、命のマナまでも削ってしまう症状だ。
「アイツ、阿保なのかなー?」
「そう言うな……ローウェル様」
ローウェルと一緒に廊下を歩いていると、エミールが生徒会長に呼ばれて別の方へ向かっていった。
「なんであいつ、ルシェルにあんなに突っかかるんだろうな。逆に仲良くしておいた方が、色々と得なこともあるのに」
「俺が獣人だからか?」
「それもあるけど……でもやっぱ、いろんな種族と関わって、自分の視野を広げた方が楽しいよね」
ニコッと笑うローウェルを見て、俺は「やっぱり商人の血が流れてるな」と思った。
きっと、いい商人になる。
「ルシェル、気をつけろよ。なんか嫌な予感がする」
「ああ、俺もそう思ってる」
そう。
このあと、エミールが通るルートの中で、初めての“バトルクエスト”が発生する。
そして、それは今まさに始まろうとしていた。
寮へ向かって歩いていると、向かいからエミールと、魔法騎士の家系に生まれた侯爵「ダミアン・ラルフ」が歩いてきた。
その瞬間だった。
空間が歪んだ。
俺たちは、それに抗うことができなかった。
辺りは真っ暗だったが、俺たちには光が差していた。
「これは……一体?」
エミールの不安そうな声が聞こえる。
「エミール、戦闘体勢に構えろ」
俺がそう言うと、エミールは動揺しつつも、マナで防備を固める。
黙っていたローウェルとダミアンも臨戦態勢に入った。
「ルシェル殿、この状況に心当たりがあるのか?」
「いえ、初めてです。ダミアン様」
ゲームでは見たことがあるが、現実では初めてだけどな。
「そうか……」
魔法騎士の家系の出であるダミアンは、驚くほど冷静だった。
ふと横を見ると、ローウェルはなにか嫌なものを感じ取ったような顔をしている。
そして、その時。
保健室に運ばれたはずのジョセフが、2体の“闇の魔人”を連れて現れた。
そこからが――本当の大変さの始まりだった。
俺の相手は、俺のことが気に食わないボス生徒「ジョセフ」だった。
見てわかるくらい、敵意むき出しだった。
「初め!」
ロイク・バーンハルト先生の掛け声と同時に、ジョセフは俺に向かって突進し、拳を振り上げてきた。
だが、俺は簡単にそれを避け、首の付け根に肘打ちを一撃。
それで、すべてが終わった。
ジョセフはその場に倒れ、ピクリとも動かず、すぐに保健室へ運ばれていった。
怒られるかと思ったが、ロイク先生は「獣人だから仕方ない」とだけ言って、お咎めはなし。
まあ、俺がまだ手加減していたから、というのもある。
逆に言えば、ジョセフがマナの力の加減を誤ったのかもしれない。
下手をすれば「マナ失速症」になっていてもおかしくなかった。
最悪の場合、死ぬこともある。
マナ失速症とは、未熟な者が急激にマナを使いすぎて、命のマナまでも削ってしまう症状だ。
「アイツ、阿保なのかなー?」
「そう言うな……ローウェル様」
ローウェルと一緒に廊下を歩いていると、エミールが生徒会長に呼ばれて別の方へ向かっていった。
「なんであいつ、ルシェルにあんなに突っかかるんだろうな。逆に仲良くしておいた方が、色々と得なこともあるのに」
「俺が獣人だからか?」
「それもあるけど……でもやっぱ、いろんな種族と関わって、自分の視野を広げた方が楽しいよね」
ニコッと笑うローウェルを見て、俺は「やっぱり商人の血が流れてるな」と思った。
きっと、いい商人になる。
「ルシェル、気をつけろよ。なんか嫌な予感がする」
「ああ、俺もそう思ってる」
そう。
このあと、エミールが通るルートの中で、初めての“バトルクエスト”が発生する。
そして、それは今まさに始まろうとしていた。
寮へ向かって歩いていると、向かいからエミールと、魔法騎士の家系に生まれた侯爵「ダミアン・ラルフ」が歩いてきた。
その瞬間だった。
空間が歪んだ。
俺たちは、それに抗うことができなかった。
辺りは真っ暗だったが、俺たちには光が差していた。
「これは……一体?」
エミールの不安そうな声が聞こえる。
「エミール、戦闘体勢に構えろ」
俺がそう言うと、エミールは動揺しつつも、マナで防備を固める。
黙っていたローウェルとダミアンも臨戦態勢に入った。
「ルシェル殿、この状況に心当たりがあるのか?」
「いえ、初めてです。ダミアン様」
ゲームでは見たことがあるが、現実では初めてだけどな。
「そうか……」
魔法騎士の家系の出であるダミアンは、驚くほど冷静だった。
ふと横を見ると、ローウェルはなにか嫌なものを感じ取ったような顔をしている。
そして、その時。
保健室に運ばれたはずのジョセフが、2体の“闇の魔人”を連れて現れた。
そこからが――本当の大変さの始まりだった。
26
あなたにおすすめの小説
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
贖罪公爵長男とのんきな俺
侑希
BL
異世界転生したら子爵家に生まれたけれど自分以外一家全滅という惨事に見舞われたレオン。
貴族生活に恐れ慄いたレオンは自分を死んだことにして平民のリオとして生きることにした。
一方公爵家の長男であるフレドリックは当時流行っていた児童小説の影響で、公爵家に身を寄せていたレオンにひどい言葉をぶつけてしまう。その後すぐにレオンが死んだと知らされたフレドリックは、以降十年、ひたすらそのことを悔いて生活していた。
そして十年後、二人はフレドリックとリオとして再会することになる。
・フレドリック視点は重め、レオン及びリオ視点は軽め
・異世界転生がちょいちょい発生する世界。色々な世界の色々な時代からの転生者の影響で文明が若干ちぐはぐ。
・世界観ふんわり 細かいことは気にしないで読んでください。
・CP固定・ご都合主義・ハピエン
・他サイト掲載予定あり
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
魔力ゼロの転生モブだけど、死に戻りは許さない
犬白グミ
BL
僕は主人公リカルドに出会った瞬間、気づいた。
BL小説『死に戻った疎まれ令息は逃げられない』にモブ転生したのだと。
「俺のことを好きだったんじゃないのか?」
「え? 違うけど」
原作では不憫受けとして死に戻るはずのリカルド。
なのに、美形で自信満々の攻めに成長して、なぜかモブの僕を追いかけてくる。
自惚れリカルド × 鈍感なモブ転生者アーロン
果たして死に戻りは回避できるのか?
本来の攻めも登場して、ふたりのじれったくも切ない恋は加速する。
お気に入り、ハート、感想ありがとうございます!
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる