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1.吐露
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『天花さん』
蓮の声が好きだ。
『天花さん、もう終えたんですか? 凄いですね』
蓮に褒められるのが好きだ。
蓮の香りが好きだ。蓮の優しい心が好きだ。伏せた目元も、美しい食事の所作も、小さなあくびも……。
蓮の全てが大好きだ。それは記憶の曖昧な頃から世話になっている相手への敬愛。そのはずだった。
昔から六花に何度も「天花は蓮様が大好きだから」と言われていたが、それはもちろん大好きに決まっていると思っていた。兄弟鬼である風花も六花も蓮が好きだ、それと同じだと……信じていた。
しかし、ここ数年は違うかもしれないと疑い始め、そして先日。とうとう自覚してしまった。
「蓮様……」
蓮を愛してしまった。
分かっている。蓮は恭吾という素晴らしい伴侶に恵まれ、幸せになったのだ。そして、二人の間に愛の証である赤子が産まれた。
もちろん嬉しかった。赤子はとても愛らしく、蓮のように艶やかな唇と美しい鼻筋、それに芯の強い目元は恭吾にそっくりだ。紛うことなき二人の証。
しかし、その子を抱いた時、蓮を愛してしまったと気付き、そして愛してはいけなかったのだと……失恋した。
日々、蓮に接するたびに、その優しさに触れるたびに、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「ふぅ…………」
冷たい湖から洗濯を終えた布を引き上げる。それを絞り、丁寧に桶の中に並べた。
赤子が産まれてから、増えた洗濯の担当を率先して引き受けたのには理由がある。
それは洗濯場である山の中腹にある湖は、屋敷から少しばかり離れているからだ。それに、まだ春先の湖はとても冷たい。鬼である天花は寒さは感じなくとも、冷たいということは分かる。
そんな場所にわざわざ風花や六花が来るはずはない。思う存分、一人きりになれる唯一の場所なのだ。
着物を脱ぐと、それを近くの木に掛け、足先から湖に入っていく。
「…………」
冷たい。凍ってしまいそうだ。
実際、夜には薄氷が張ることもまだある。きっと人間ならば長時間浸かれば凍傷になってしまうだろう。
そんな湖の中心へ向け、歩を進める。そして、ある場所で天花の身体はトプンと全て沈んだ。子供の頃から何度と遊んだ湖だ。そこだけが深くなっていることはもちろん知っている。
天花の消えた湖面は波紋を作り、ゆっくりと消えていった。
『蓮様――……』
頭まで冷水に浸かると、徐々に感情が溢れ出る。押さえ込むように固く閉じた鍵が開くように、天花は子供のように泣いた。
『うぁぁぁぁぁん!! 蓮様、蓮さまぁぁ!! ごめんなさい、でも、でも!! うぁぁぁぁぁぁぁ!!』
溢れた感情は止まらず、身体を刺すような水の冷たさが余計にそれを煽っているように感じる。今は誰もいないのだから、何も気にしなくていい。水の中でも苦しくないように術をかけてあるので、この苦しさは胸の痛みだ。
この思いは決して知られないようにする。だから、今だけは……素直に口にしても誰にも咎められないだろう。
『蓮様、蓮様っっ!! 大好きです!! 愛してます!! お慕いしております!! うぁぁぁぁぁぁぁぁ!! うぁぁぁぁぁん!!』
産まれたばかりの赤子のように泣き続けた。いっそのこと、蓮から本当に産まれていればこうはならなかった……と赤子にまで嫉妬心を抱いてしまいそうな天花自身の醜い心に気付き、余計に涙が出た。
『うぁぁぁぁぁ!! ごめんなさい、ごめんなさい! でも、愛してしまってっ!! うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
声枯れるほど泣き叫び、愛の言葉を吐いては謝罪する。繰り返していくと、少しずつ胸が軽くなった。感情を定期的に溢れさせなければ、きっといつか蓮の目の前で泣いてしまう。
それだけは、何としても阻止せねばと思っていた。
「………………」
湖面から顔を出す。冷たい水の中に慣れてしまうと、水の外の方が風が吹いているぶん冷える。
「……」
もう一度、頭まで浸かってから出ようかと湖面を眺めていると人影が視界に入った。
「――!?」
驚きのあまり声を出さずに顔を上げる。陽の光で輝く湖面を歩くように飛んで近付いてきたその存在に、天花は思わず息を飲む。
闇夜のように黒黒とした着物と羽織、一本下駄の鼻緒の紅さが異様に目立ち、腰に付けたカラスの面。背後に見える黒の双翼。そして、それらに負けないほど黒く長い髪が頭の頂点で一つに縛られ腰でふんわりと揺れている。
「おーい、水冷たくないか??」
本気で心配しているというように、切れ長の目がこちらを見ている。背も高く、美形……。この人物を天花はよく知っていた。
そもそもこの山に訪れる者は少ない。数少ない知り合いのその中でも、これほど見目の良い男は目の前の人物以外見たことが無いからだ。
「華月様……」
確か、華月が赤子の生誕を祝いに来ると聞いていたが、昨日の報せで今日だとは誰が思うだろうか。しかも、今はまだ早朝だ。
田舎者である天花はそれを自覚しているが、それでも常識を求める自分が間違っていたのかと一瞬考えた。しかし、どう考えても華月の行動が異常なのだと思う。
「……蓮の所の小鬼だよな? 天花、だったか? お前、蓮のこと好きだったんだな」
やはり聞かれていたか。ほんの少し、聞かれていない、今しがた来たばかりだと言ってくれるのを期待したが、無駄だったようだ。
「聞き間違いでは?」
「いやいや、あんな声で泣いてるの聞き間違うかよ」
「……うるさい」
「えぇ?? お前、本当に天花だよな? 口が悪いのって風花じゃねぇの?? いつもの丁寧さはどこいったよ? 蓮の前では猫被ってたのか?」
「……」
思わずでた言葉の悪さに天花自身でも驚いているが、それを正直に話してやる義理はない。むしろ睨みつけたあとに、背を向けて湖から上がる。
しかし、華月は気にする素振りもなく背後を飛びながらついてくる。
「まぁいいや、俺もさ、親が勝手にいつか嫁にーとか何とか言ってただけだけど、それなりに蓮のこと好きだったみたいだし。失恋仲間だな」
「は? 華月様……貴方、この五十年で数回しかこの山に来てないですよね? しかも何かの遣いの時に顔出すだけ。それなのに蓮様を好きだったと仰るんですか?? いつか嫁になんて勝手が過ぎます」
自分の想いと、華月のたった数回、しかも数時間にも満たない邂逅と一緒にして欲しくない。それを言葉尻の鋭さにのせるが、やはり華月は気にしていないようだ。
「そうだな。でも、ほら刷り込み? みたいな?? 親父から蓮は嫁になるって言われたし、こいつはいつか俺の嫁になるんだーってずっと思ってた。俺はさ、兄貴みたいに沢山の嫁はいらない。1人だけ、なのに失恋どころか久しぶりに呼ばれたのはいつの間にか出来てた男との赤子生誕祝いだぜ? 辛くて泣いちゃう」
軽々しい言葉に反吐が出る。せっかく思い切り泣いてスッキリとしたのに、またモヤモヤと心に影が落ちてきそうだ。
身体を拭いて着物を纏う。白い着物に真っ赤な帯を締め、白い羽織で身を包むと背筋が伸びた。
身なりを整え振り向くついでに、華月を再び睨む。
「……泣けばいいんじゃないですか?」
「お、じゃぁ一緒に泣くか?」
「――うるさい!!」
身体を拭いた布を華月に投げつけるが、それをヒョイと掴まれ距離を詰められる。
「ははっ、とりあえず、涙だらけの目元拭いてやるよ。お互い秘密ができたな。ほら、もう泣くな。綺麗な顔が台無しだぞ」
目元を拭ってくれる手付きがとても優しく、また泣き出しそうになるのを唇をグッと噛んで堪えた。
「……もう蓮様に御挨拶されましたか?」
「いや、まだだ」
「御案内します」
客としての扱いに切り替えたことを察したのか、華月は少しつまらないという顔をしてから顔を拭いてくれた布を返してきた。
「……へいへい、頼みますよ。若鬼様」
「そんなに若くないのですけど」
もう、蓮に引き取られかれこれ五十年が過ぎた。鬼の寿命も長いのだが、成長の速さは人間の概念とは違っている。
大人の身体になるべきと本人が判断した時から、一年で一気に大人になる。なので、天花達兄弟は蓮の懐妊が発覚した際に三人で話し合い、天花と風花だけが大人になった。
それまでは子供のままでも充分だったが、これからは赤子の世話をする際に大人の方が何かと便利だからだ。しかし、全員大人では赤子の遊び相手に
ちょうど良い見た目が居なくなる。
だから、一番遊びが上手い六花だけが子供のままでと決めたのだ。
鬼が大人になるにはそれなりの覚悟が必要。そう考えている天花にとって、この一年の変化はとてつもなく大きかった。
「たかが五十過ぎだろ?見た目だけ立派でも、俺との年齢差考えてみろって、これでも三百歳過ぎてるからな??」
「貴方とは……天狗と鬼では全く違いますから」
そう冷たく答えるしかなかった。
蓮の声が好きだ。
『天花さん、もう終えたんですか? 凄いですね』
蓮に褒められるのが好きだ。
蓮の香りが好きだ。蓮の優しい心が好きだ。伏せた目元も、美しい食事の所作も、小さなあくびも……。
蓮の全てが大好きだ。それは記憶の曖昧な頃から世話になっている相手への敬愛。そのはずだった。
昔から六花に何度も「天花は蓮様が大好きだから」と言われていたが、それはもちろん大好きに決まっていると思っていた。兄弟鬼である風花も六花も蓮が好きだ、それと同じだと……信じていた。
しかし、ここ数年は違うかもしれないと疑い始め、そして先日。とうとう自覚してしまった。
「蓮様……」
蓮を愛してしまった。
分かっている。蓮は恭吾という素晴らしい伴侶に恵まれ、幸せになったのだ。そして、二人の間に愛の証である赤子が産まれた。
もちろん嬉しかった。赤子はとても愛らしく、蓮のように艶やかな唇と美しい鼻筋、それに芯の強い目元は恭吾にそっくりだ。紛うことなき二人の証。
しかし、その子を抱いた時、蓮を愛してしまったと気付き、そして愛してはいけなかったのだと……失恋した。
日々、蓮に接するたびに、その優しさに触れるたびに、胸が締め付けられるように苦しくなった。
「ふぅ…………」
冷たい湖から洗濯を終えた布を引き上げる。それを絞り、丁寧に桶の中に並べた。
赤子が産まれてから、増えた洗濯の担当を率先して引き受けたのには理由がある。
それは洗濯場である山の中腹にある湖は、屋敷から少しばかり離れているからだ。それに、まだ春先の湖はとても冷たい。鬼である天花は寒さは感じなくとも、冷たいということは分かる。
そんな場所にわざわざ風花や六花が来るはずはない。思う存分、一人きりになれる唯一の場所なのだ。
着物を脱ぐと、それを近くの木に掛け、足先から湖に入っていく。
「…………」
冷たい。凍ってしまいそうだ。
実際、夜には薄氷が張ることもまだある。きっと人間ならば長時間浸かれば凍傷になってしまうだろう。
そんな湖の中心へ向け、歩を進める。そして、ある場所で天花の身体はトプンと全て沈んだ。子供の頃から何度と遊んだ湖だ。そこだけが深くなっていることはもちろん知っている。
天花の消えた湖面は波紋を作り、ゆっくりと消えていった。
『蓮様――……』
頭まで冷水に浸かると、徐々に感情が溢れ出る。押さえ込むように固く閉じた鍵が開くように、天花は子供のように泣いた。
『うぁぁぁぁぁん!! 蓮様、蓮さまぁぁ!! ごめんなさい、でも、でも!! うぁぁぁぁぁぁぁ!!』
溢れた感情は止まらず、身体を刺すような水の冷たさが余計にそれを煽っているように感じる。今は誰もいないのだから、何も気にしなくていい。水の中でも苦しくないように術をかけてあるので、この苦しさは胸の痛みだ。
この思いは決して知られないようにする。だから、今だけは……素直に口にしても誰にも咎められないだろう。
『蓮様、蓮様っっ!! 大好きです!! 愛してます!! お慕いしております!! うぁぁぁぁぁぁぁぁ!! うぁぁぁぁぁん!!』
産まれたばかりの赤子のように泣き続けた。いっそのこと、蓮から本当に産まれていればこうはならなかった……と赤子にまで嫉妬心を抱いてしまいそうな天花自身の醜い心に気付き、余計に涙が出た。
『うぁぁぁぁぁ!! ごめんなさい、ごめんなさい! でも、愛してしまってっ!! うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
声枯れるほど泣き叫び、愛の言葉を吐いては謝罪する。繰り返していくと、少しずつ胸が軽くなった。感情を定期的に溢れさせなければ、きっといつか蓮の目の前で泣いてしまう。
それだけは、何としても阻止せねばと思っていた。
「………………」
湖面から顔を出す。冷たい水の中に慣れてしまうと、水の外の方が風が吹いているぶん冷える。
「……」
もう一度、頭まで浸かってから出ようかと湖面を眺めていると人影が視界に入った。
「――!?」
驚きのあまり声を出さずに顔を上げる。陽の光で輝く湖面を歩くように飛んで近付いてきたその存在に、天花は思わず息を飲む。
闇夜のように黒黒とした着物と羽織、一本下駄の鼻緒の紅さが異様に目立ち、腰に付けたカラスの面。背後に見える黒の双翼。そして、それらに負けないほど黒く長い髪が頭の頂点で一つに縛られ腰でふんわりと揺れている。
「おーい、水冷たくないか??」
本気で心配しているというように、切れ長の目がこちらを見ている。背も高く、美形……。この人物を天花はよく知っていた。
そもそもこの山に訪れる者は少ない。数少ない知り合いのその中でも、これほど見目の良い男は目の前の人物以外見たことが無いからだ。
「華月様……」
確か、華月が赤子の生誕を祝いに来ると聞いていたが、昨日の報せで今日だとは誰が思うだろうか。しかも、今はまだ早朝だ。
田舎者である天花はそれを自覚しているが、それでも常識を求める自分が間違っていたのかと一瞬考えた。しかし、どう考えても華月の行動が異常なのだと思う。
「……蓮の所の小鬼だよな? 天花、だったか? お前、蓮のこと好きだったんだな」
やはり聞かれていたか。ほんの少し、聞かれていない、今しがた来たばかりだと言ってくれるのを期待したが、無駄だったようだ。
「聞き間違いでは?」
「いやいや、あんな声で泣いてるの聞き間違うかよ」
「……うるさい」
「えぇ?? お前、本当に天花だよな? 口が悪いのって風花じゃねぇの?? いつもの丁寧さはどこいったよ? 蓮の前では猫被ってたのか?」
「……」
思わずでた言葉の悪さに天花自身でも驚いているが、それを正直に話してやる義理はない。むしろ睨みつけたあとに、背を向けて湖から上がる。
しかし、華月は気にする素振りもなく背後を飛びながらついてくる。
「まぁいいや、俺もさ、親が勝手にいつか嫁にーとか何とか言ってただけだけど、それなりに蓮のこと好きだったみたいだし。失恋仲間だな」
「は? 華月様……貴方、この五十年で数回しかこの山に来てないですよね? しかも何かの遣いの時に顔出すだけ。それなのに蓮様を好きだったと仰るんですか?? いつか嫁になんて勝手が過ぎます」
自分の想いと、華月のたった数回、しかも数時間にも満たない邂逅と一緒にして欲しくない。それを言葉尻の鋭さにのせるが、やはり華月は気にしていないようだ。
「そうだな。でも、ほら刷り込み? みたいな?? 親父から蓮は嫁になるって言われたし、こいつはいつか俺の嫁になるんだーってずっと思ってた。俺はさ、兄貴みたいに沢山の嫁はいらない。1人だけ、なのに失恋どころか久しぶりに呼ばれたのはいつの間にか出来てた男との赤子生誕祝いだぜ? 辛くて泣いちゃう」
軽々しい言葉に反吐が出る。せっかく思い切り泣いてスッキリとしたのに、またモヤモヤと心に影が落ちてきそうだ。
身体を拭いて着物を纏う。白い着物に真っ赤な帯を締め、白い羽織で身を包むと背筋が伸びた。
身なりを整え振り向くついでに、華月を再び睨む。
「……泣けばいいんじゃないですか?」
「お、じゃぁ一緒に泣くか?」
「――うるさい!!」
身体を拭いた布を華月に投げつけるが、それをヒョイと掴まれ距離を詰められる。
「ははっ、とりあえず、涙だらけの目元拭いてやるよ。お互い秘密ができたな。ほら、もう泣くな。綺麗な顔が台無しだぞ」
目元を拭ってくれる手付きがとても優しく、また泣き出しそうになるのを唇をグッと噛んで堪えた。
「……もう蓮様に御挨拶されましたか?」
「いや、まだだ」
「御案内します」
客としての扱いに切り替えたことを察したのか、華月は少しつまらないという顔をしてから顔を拭いてくれた布を返してきた。
「……へいへい、頼みますよ。若鬼様」
「そんなに若くないのですけど」
もう、蓮に引き取られかれこれ五十年が過ぎた。鬼の寿命も長いのだが、成長の速さは人間の概念とは違っている。
大人の身体になるべきと本人が判断した時から、一年で一気に大人になる。なので、天花達兄弟は蓮の懐妊が発覚した際に三人で話し合い、天花と風花だけが大人になった。
それまでは子供のままでも充分だったが、これからは赤子の世話をする際に大人の方が何かと便利だからだ。しかし、全員大人では赤子の遊び相手に
ちょうど良い見た目が居なくなる。
だから、一番遊びが上手い六花だけが子供のままでと決めたのだ。
鬼が大人になるにはそれなりの覚悟が必要。そう考えている天花にとって、この一年の変化はとてつもなく大きかった。
「たかが五十過ぎだろ?見た目だけ立派でも、俺との年齢差考えてみろって、これでも三百歳過ぎてるからな??」
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そう冷たく答えるしかなかった。
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